それはつまり、「対人の窓口を設けておくだけでは足りないということだ。まだ多くの人がさまざまな場所にいるハイブリッドな環境で、全員に情報が行き渡るようにするには、どうすればいいのかを考えなければならない」(Shah氏)
従業員に情報が行き渡るようにし、従業員の生産性を維持できるようにすることの難しさは、従来のプロセスに対する従業員の不満や苛立ちにつながっている、とShah氏は話し、こんなエピソードも紹介した。
「私は今日、会議に数分遅れて、謝り続けた。今やタイミングが大いに重視されているからだ。6時間もヘルプがなかったり、答えを延々と待たされたりすれば、なぜそんなに遅いのかと憤慨するだろう」
Moveworksのソフトウェアは、コミュニケーション用モジュールによってさらに広範なツールになる可能性がある。このモジュールでは、チャットボット機能の利用を広げ、従業員に積極的なメッセージを送れるようになる。
「コロナ禍で予想外だったのは、人がMoveworksをコミュニケーションの手段として利用し始めたことだ。例えば、新型コロナウイルスの検査を受けたことに対する補償の有無に関する最新情報はこちら、といった感じで、従業員に向けて最新情報を送ろうとしたところもある」(Shah氏)
「この点で変化が現れつつある。メールを送信したまま返信もないというのではなく、当社のツールを使って、いわば専門家をメッセージングツールに送り込む」とShah氏は説明している。従業員からの質問にはボットが対処できるので、誰かが通知を受け取ったまま途方に暮れることはなくなる。
「よくある返信不可のメールを受け取った場合、疑問があっても、その段階で行き詰まってしまい、行動を起こさなくなる」(Shah氏)
Shah氏によると、Moveworksではそうした(同社のツールを使った)メッセージでは「ほぼ70%のエンゲージメント率」を実現している一方、メールの場合は10~15%にとどまるという。
そうすると、Moveworksのオートメーションはアクションを引き出す仕組みと考えることもできる。言ってみれば、単に情報を提供するのではなく、企業の従業員に次のアクションを促すツールだ。OktaのようなIDシステムなど、ハンドシェイク通信が必要な複数のシステムを伴って複雑さが増していることを考えると、対処するアクションが増えれば増えるほど、同社にとっては実り多いビジネスチャンスが広がる可能性がある。
次のステップは、Moveworks独自の取り組みを超えて、プログラミングが可能なSoftware as a Platformとして開放することだ、とShahは言う。ちょうど、「iPhone」が当初は閉鎖的なシステムで、その後「App Store」が開設されたのと似ている。
「現在はほとんど、自分たちでイノベーションを進めている段階だ」とShah氏は述べ、「賢い人をもう少し引き入れて、ある程度の柔軟性を与え、このプラットフォームを前進させるにはどうすればいいか、という考えに向かっていると思う」とした。
Moveworksは2016年に創業し、2ラウンドのベンチャーキャピタルによる資金調達で1億500万ドルを確保した。資金調達後の現在の企業価値について、Shah氏から回答は得られなかった。現時点で、次の資金調達は予定されていない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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