リノべる「ARリノベ」を本格始動--こだわりの部分だけARで確認してオーダー

 リノベーション・プラットフォーム事業を展開するリノべるは、半完成の部屋にAR(拡張現実)を組み合わせて、自分好みの住まいを作る「ARリノベ」を本格始動した。キッチンや壁の色などをARで見ながら選べる。

「ARリノベ」による扉デザインの確認。タブレットの画面上では扉の色とデザインが変わっていることがわかる
「ARリノベ」による扉デザインの確認。タブレットの画面上では扉の色とデザインが変わっていることがわかる

 ARリノベは、キッチン、洗面化粧台、アクセント壁、建具などが未設置の半完成状態で内覧し、ユーザーは、ARを使い、未完成の部材をリアルな空間に配置することで、大きさや質感などの完成イメージを確認しながら決められるというサービス。2020年5月にスタートし、名古屋の物件で採用していた。

 今春、新たに首都圏に3物件が完成。東京・要町にある物件で、ARリノベを体験してきた。1981年に竣工した築40年の集合住宅で、面積は62.79平方メートル。現在、天井、床などのリノベーションが終わっており、キッチン、間仕切り壁、アクセント壁、LDKにつながる扉部分を、ARリノベでみながら選択できる。

 タブレットなどで室内をかざすと、選んだ壁やキッチンなどがAR上で映し出される仕組み。室内光などがそのままAR上でも反映されるため、実際の色味にかなり近い形で表示されるほか、映り込みなども表現。窓が設置された仕切り壁では、その位置に人が立つと、窓ガラスの向こうから覗いているような見え方になるなど、かなりリアルな表現ができる。

室内にはタブレットをかざすポイントを示す足型が置かれていた
室内にはタブレットをかざすポイントを示す足型が置かれていた
シンクは置かれていないが、ARリノベ上から設置されたイメージが確認できる
シンクは置かれていないが、ARリノベ上から設置されたイメージが確認できる

 ARコンテンツは、ARの開発事業を手掛けるKAKUCHOが担い、キッチンなどの3Dデータはメーカー側から支給されたものを使っているとのこと。壁など、物件ごとにサイズが異なるものは、カスタマイズの必要があるが、そうしたコンテンツ制作もKAKUCHOが請け負う。

 首都圏における中古マンションの成約件数は2019年に過去最高となる3万8109件を記録。買取再販事業の市場規模も前年対比8%増の3万2500戸を数えるなど、中古住宅市場は活況となっている。そうした市場背景を受け、各事業者は仕入れ競争による利益率の低下、商品企画の差別化などの課題が浮き彫りになってきているという。

 再販物件のリノベーションについては、フルリノベーションを希望するユーザーがいる一方で、キッチンや洗面台のみの交換や、オーダーメイドほどのリノベーションを求めないとする声もあり、「オーダーリノベーションは大変だけれど、リノベ済みマンションでも自分好みにしたい」というニーズが浮かび上がってきているとのこと。

 ARリノベは、オーダーリノベーションとリノベ済みマンションのいいとこ取りができる新しい仕組み。8割程度完成した状態で内覧がスタートできるため、契約から4~6週間で引き渡しができ、スピード面でのメリットもあるという。

 東京・要町の物件は、ビルの売買などを手掛ける大貴土地が事業主。買取再販は今回が初めてで、代表取締役の柴田洋氏は「今まで扱ってこなかった買取再販だが、ARリノベだとチャレンジしやすかった」と買取再販への新規参入も促す。

 リノべるでは、首都圏、名古屋、大阪、兵庫エリアでARリノベのサービスを提供開始しており、順次全国展開を図っていく計画だ。

アクセント壁を設置したイメージ。こちらは木目
アクセント壁を設置したイメージ。こちらは木目
色味や素材を変更して見比べることもできる
色味や素材を変更して見比べることもできる

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