パナソニック、創業の一品である配線器具を一貫生産--津工場の製造ラインとショールームを見学

コヤマタカヒロ2022年11月16日 08時30分

 壁に設置されたコンセントや天井照明をつけるスイッチなど配線器具は、パナソニックの創業の商品であるアタッチメントプラグや2灯用クラスタなどの流れをくむ製品だ。現在これらを製造しているのが、三重県にあるパナソニック エレクトリックワークス(EW)社の津工場だ。今回、津工場の配線製造ラインの説明会と2022年開設した配線器具のショールーム「Trust Factory TSU(トラストファクトリー ツ)」の見学会に参加した。

パナソニックの創業の製品である配線器具。1918年から100年以上作り続けている
パナソニックの創業の製品である配線器具。1918年から100年以上作り続けている
パナソニックの配線器具事業の歩み。国内の住宅着工数は1970年代の190万戸から86万戸に大きく減少しているが、ニーズに合った製品を開発することで売り上げは伸ばし続けている
パナソニックの配線器具事業の歩み。国内の住宅着工数は1970年代の190万戸から86万戸に大きく減少しているが、ニーズに合った製品を開発することで売り上げは伸ばし続けている

 津工場は1943年に松下航空工業津兵器製作所としてスタートし、1945年より、松下電工として配線器具事業を開始している。現在は、約1万品番のアイテムを製造しており、総数約1800名の従業員が働く。配線機器開発と製造のマザー工場として、国内向け製品の製造や、海外向け商品の企画開発や製造体制構築、人材育成を行っている

津工場は新製品開発、製造だけでなく、海外拠点の支援や技術者育成なども行っている
津工場は新製品開発、製造だけでなく、海外拠点の支援や技術者育成なども行っている

配線器具のショールーム「Trust Factory TSU」

 津工場に入ってすぐのところにあるのが、4月に、リニューアルオープンした「Trust Factory TSU」だ。基本的には法人顧客向けで一般公開されていない空間を今回特別に見せてもらった。

津工場に入ってすぐのところにある法人顧客向けショールームの「Trust Factory TSU」
津工場に入ってすぐのところにある法人顧客向けショールームの「Trust Factory TSU」
「Trust Factory TSU」のエントランス
「Trust Factory TSU」のエントランス

 内部は大きく、歴史エリアや現行商品の住宅ソリューション紹介エリア、そして津工場や技術の紹介エリアに分かれている。

「Trust Factory TSU」の内部。歴史から様々な商品の展示、そして津工場のものづくりを体感できるスペースが用意されている
「Trust Factory TSU」の内部。歴史から様々な商品の展示、そして津工場のものづくりを体感できるスペースが用意されている

 歴史エリアはパナソニック創業期の大正~昭和初期の「電灯器具時代」から始まり、昭和初期「第1次電化ブーム時代」、昭和中期「第2次電化ブーム時代」、平成の「情報化時代の到来」に続く。

電灯が一般住宅に広がっていった大正から昭和初期の部屋。電気は主に電灯を指すものだった
電灯が一般住宅に広がっていった大正から昭和初期の部屋。電気は主に電灯を指すものだった
電化製品がだんだん増えて至った戦後の昭和。テレビや扇風機も登場
電化製品がだんだん増えて至った戦後の昭和。テレビや扇風機も登場
そしてインターネットも普及した平成の部屋。パソコンやオーディオなどが並ぶ
そしてインターネットも普及した平成の部屋。パソコンやオーディオなどが並ぶ

 それぞれの時代の生活を模したモデルルームを用意し、当時の生活を垣間見られるようになっていた。面白いのは家電だけでなく、配線器具やスイッチ類、壁の中の配線などについてもしっかりと解説されていること。

 また、歴史エリアの展示コーナーには電灯用に配線された照明ソケットを分岐するアタッチメントプラグなど、さまざまなプラグ、コンセントなどが並んでいた。

創業の逸品である「アタッチメントプラグ」
創業の逸品である「アタッチメントプラグ」
2灯用クラスタなど、昭和初期の懐かしい配線器具が並ぶ
2灯用クラスタなど、昭和初期の懐かしい配線器具が並ぶ

 そして続く住宅ソリューションのエリアでは最新のスイッチや配線器具を展示。センサーによる自動、タッチレスで制御ができる機器が並ぶ。

玄関に入ると人を検知して照明が点灯する「ここでもセンサ」。従来のスイッチから交換できる
玄関に入ると人を検知して照明が点灯する「ここでもセンサ」。従来のスイッチから交換できる
HOME IoTやAiSEG2関連の提案も用意
HOME IoTやAiSEG2関連の提案も用意

 続いて非住宅向けのソリューションでは卓上の配線をすっきりまとめてくれるDC電源用の配線ダクトや、無線でオフィスや店舗、工場などの制御ができる無線調光シリーズなどが展示されていた。

DC24Vの配線ダクトを卓上に配置。USBプラグはどこにでも自在に取り付けられる
DC24Vの配線ダクトを卓上に配置。USBプラグはどこにでも自在に取り付けられる
「WiLIA」は既存のフル2線システムを活用するため工事不要で無線での調光制御が可能。タイマーやセンサーとの組み合わせにより省エネ性や快適性も向上する
「WiLIA」は既存のフル2線システムを活用するため工事不要で無線での調光制御が可能。タイマーやセンサーとの組み合わせにより省エネ性や快適性も向上する

 このほか、配線器具を背面から確認できる場所や世界各国のスイッチパネルを一覧できるエリア、津工場の持つ技術の紹介コーナーなども用意されていた。

世界各国で使われているスイッチやコンセント。国によってサイズや形状、カラーなどがそれぞれ異なっている
世界各国で使われているスイッチやコンセント。国によってサイズや形状、カラーなどがそれぞれ異なっている

ほとんど無人でスイッチ類を製造する自動ライン

 最後に工場の配線器具の製造ラインを見学した。入って驚くのがほとんどの製造ラインが無人化していること。配線器具製造棟は、1階が金属加工、2、3階が自動組立、4階が成形加工に分かれており、1階と4階で作られた部品が2、3階に集められ、組み立て、梱包、そして出荷までが行われる流れとなっている。

津工場の強さの一つが工場内で金型の製造からメンテンス管理ができること。技能工が多くの金型を日々、メンテナンスしている
津工場の強さの一つが工場内で金型の製造からメンテンス管理ができること。技能工が多くの金型を日々、メンテナンスしている
曲げ加工された部品を自動的に検品する工程。正しく加工できていない部品はここで弾かれて行く
曲げ加工された部品を自動的に検品する工程。正しく加工できていない部品はここで弾かれて行く
4階の大部分を占める圧縮加工工程。型に成形材を流しこんで圧力をかけることでコンセントタップなどの部品を作っている
4階の大部分を占める圧縮加工工程。型に成形材を流しこんで圧力をかけることでコンセントタップなどの部品を作っている
4階で成形された部品が自動搬送され、組み立て工程に運ばれていく配線器具自動製造ライン。年間7800万個を製造している
4階で成形された部品が自動搬送され、組み立て工程に運ばれていく配線器具自動製造ライン。年間7800万個を製造している
Tコンセントに必要な部品が集まり自動的に組み立てられていく。必要な部品はすべて配線器具製造棟内で加工、製造されている
Tコンセントに必要な部品が集まり自動的に組み立てられていく。必要な部品はすべて配線器具製造棟内で加工、製造されている

 このように津工場では金型からの部品づくり、加工、製品の組立までを、一貫体制で内製化している。このことで高品質なものづくりを実現しているという。さらにはさらに、関連部門が商品開発の初期段階から緊密に連携することにより、開発期間の短縮や品質の向上を実現している。そうして、時代やニーズに合った様々な配線器具を生み出しているのだ。

津工場で企画、製造しているさまざまな配線器具
津工場で企画、製造しているさまざまな配線器具

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