マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の合同研究チームが、新型コロナウイルスのパンデミックにおける人々の発言とメンタルヘルスの関連性を解明しようと取り組んでいる。そして、このチームが答えを求めて目を向けたのがRedditだ。
医学雑誌「The Journal of Medical Internet Research」で10月に発表された論文の中で、この研究グループは機械学習を活用し、健康不安、双極性障害、統合失調症、うつ病といったメンタルヘルス支援に特化した15件のサブレディット(Reddit上のディスカッションフォーラム)、さらに子育てや家計などメンタルヘルス以外のトピックを扱うサブレディット11件を対象に、2018年から2020年にかけて82万人以上のユーザーが投稿した文章を分析。パンデミック中およびそれ以前にRedditで表明された懸念を洗い出した。
その結果、健康不安に関するフォーラムでは1月上旬に新型コロナウイルス関連の投稿が急増している。これは他の支援系サブレディットでそうした投稿がなされるようになった時期より約2カ月早い。パンデミック中は、特定のサブレディットで「経済的なストレス」「孤立」「家」などに関する投稿が増えたという。
すべてのメンタルヘルス支援サブレディットの中で、パンデミック中に特にネガティブな投稿内容の変化があったのは、注意欠陥/多動性障害、摂食障害、不安に関するサブレディットだった。一方、健康不安に関する投稿は、すべてのサブレディットで増していたことが明らかになった。
米国立精神衛生研究所(NIMH)によれば、米国では成人のおよそ5人に1人が精神疾患を抱えながら生活している。また、パンデミックが発生するかなり前から人々の孤独感が高まっていたことが、別の研究で明らかになっている。米疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では10万人当たりの自殺者数が1999年から2018年の間に35%増加した。一方で、ケアを必要としているすべての人がケアを受けられているわけではない。非営利団体Mental Health Americaの報告書「The State Of Mental Health In America」(米国におけるメンタルヘルスの状況)によれば、精神疾患を抱える成人のうち、健康保険に加入していない人は510万人もいるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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