Facebookの最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏が米連邦議会議事堂に姿を見せるのは珍しいことではなくなったが、11月に行われた同氏の議会証言は、これまでと様子が違っていた。ダークスーツに青いネクタイを着用していたが、フラッシュを焚くカメラと大勢の人々に囲まれた上院の建物の中で座っていたわけではない。カーテンと鉢植えの前に座って、ビデオで登場したのである。
新型コロナウイルスの世界的大流行や米国の大統領選挙、人種差別への反発によって、2020年はFacebook(および他のあらゆるソーシャルネットワーク)にとって混沌とした1年になり、同社は誤情報という慢性的な問題に悩まされた。2020年はFacebookにとって、これまでになく大きな試練の年となった。同社の対応にすっかり満足している人はいないようだ。
Richard Blumenthal上院議員(コネチカット州選出、民主党)は、Zuckerberg氏とTwitterのCEOであるJack Dorsey氏について、「信じさせ、操作できてしまう恐ろしいツール」を作ったと非難した。Blumenthal氏は、両社がオンライン上のうその情報に対処するために、「ほんのわずかな対策」しか講じてこなかったとしている。また、上院司法委員会の公聴会で両CEOに対して、「破壊的で扇情的な誤情報は、FacebookやTwitter、その他のプラットフォームで今も蔓延している」と述べた。
Blumenthal氏の発言には、Facebookの2020年がどのようなものだったのかが、概ね集約されている。同社が2020年に直面した大きな課題をいくつか振り返ってみよう。
誤情報は何年も前から、ソーシャルネットワークで問題となっている。しかし、2020年には、その深刻度がこれまでにないほど高まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、Facebookのユーザーに危害をもたらすおそれのある偽情報が大量に投稿された。漂白剤を飲むと治るなどといったデマの主張は、差し迫った懸念を引き起こした。ソーシャルディスタンスに関する誤った情報は、人々がウイルスに感染したり、ウイルスを拡散させたりすることへの不安を増幅させた。さらに、パンデミックを受けて、アジア人に対する人種差別的な発言がFacebookで広まり、それが現実の世界にも波及した。
Facebookは政治に関する誤情報よりも新型コロナウイルスに関するデマを厳しく取り締まったが、いずれもFacebook上で拡散を続けた。Facebookなどのソーシャルネットワークは、Donald Trump大統領などの政治家が共有したものを含む複数の動画を、新型コロナウイルスに関する有害な誤情報(例えば、子供は新型コロナウイルスにほぼ免疫があるという誤った主張)を広めるものだとして削除した。また、同社は、新型コロナウイルス感染症について信頼できる情報を提供するオンラインハブにユーザーを誘導した。先ごろ、同ウイルスのワクチンに関する誤った情報を削除することも発表している。
有害なコンテンツの取り締まりは、終わりのない、いたちごっこのようだった。パンデミックに関する陰謀論を伝えるバイラル動画「Plandemic」は、拡散を抑えようとする取り組みをよそに、オンラインに投稿され続けた。
パンデミックは人々の交流の仕方や働き方も変えた。Facebookも他の大手テクノロジー企業と同様、年次開発者会議を中止し、バーチャルイベントで新製品を発表するようになった。9月には、同社初のスマートメガネを2021年にリリースする計画があることを明かし、仮想現実(VR)ヘッドセット「Oculus Quest」の新しいバージョンも披露した。Facebookをひどく嫌っている人も含め、より多くの人が家族や友人と連絡を取り合うためにソーシャルネットワークで時間を過ごすようになった。Facebookはビデオ会議サービス「Zoom」に対抗して、「Messenger Rooms」という独自のビデオ通話機能を発表。また、同社のビデオ通話デバイスである「Facebook Portal」は、より年齢層の高いユーザーの間で人気を博した。
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