「アフリカに国産のスマートフォンがある」という話を聞いて、筆者はちょっとした興奮を覚えてしまった。ドバイに本社を置くコングロマリットであるMara Groupが、東アフリカのルワンダでスマートフォンを製造しているのだ。
ここ数年、世界のスマートフォン市場では中国メーカーの勢いが増しており、アフリカでも中国伝音科技の「Infinix」「itel」「Tecno」ブランドのスマートフォンが高いシェアを誇っている。また比較的早い時期から地場メーカーが育った東南アジアやインドでも、いまやファーウェイ、シャオミ、OPPO、Vivoなど名の通った中国メーカーがメジャーな存在になっている。
アフリカでは古くからノキアやサムスンの低価格携帯電話が普及していたが、IT産業の発展が遅れたこともあり地場メーカーが育つことは難しかった。しかし、2019年にMara Groupがルワンダのキガリ市にスマートフォン工場を設立し、スマートフォン「Mara Phones」の製造・販売をスタートしたのだ。
製品は普及モデルの「Mara X」と上位モデルの「Mara Z」の2機種。アフリカで20年以上もビジネスを展開しているMara Groupが手がけるスマートフォンだけに、製品にはアフリカ人ファーストの設計思想が詰まっているに違いない。
一度は触ってみたい「アフリカ人のためのスマートフォン」だが、ルワンダは物理的にも精神的にも日本からは遠すぎる距離にある。ところがCNET Japanの藤井編集長がルワンダへ取材に訪れ、なんとMara Phonesの「Mara X」を現地で買ったという連絡を筆者にくれた。
しかも、取材期間は2週間あるため、再び店舗へ行く時間の余裕もあるという。こんなチャンスは二度とないと思い、即決で「Mara Phonesのハイエンドモデル、Mara Zを買ってください」と返信したのだった。
ということで、筆者にとって初めて触れるアフリカ製のスマートフォン「Mara Z」がこちらだ。新しいスマートフォンを買ったなら、すぐに開封して実機を触りたいところだが、筆者はまず最初にこのパッケージに心を奪われてしまった。
Mara Phonesのスマートフォンはプラスチックの箱の中に製品が収められており、その外枠に紙のスリーブがかぶせられている。これを見た瞬間に「これはいいぞ」と感じたのだ(理由は後述)。
パッケージの片面を見ると「Countries where the device is planned for use」というラベルと2文字の略字が印刷されたステッカーが貼られている。なるほど、Mara Zの販売先、あるいはターゲットとなる利用国が記載されているということなのだろう。
ところが略字を見るとそこには「US(アメリカ)」や「CA(カナダ)」以外、見慣れぬ略称が並んでいる。たとえば「BF」「CG」「GH」「NG」「RW」「TZ」など、すぐにわかる人はいるだろうか。それぞれブルキナファソ、コンゴ、ガーナ、ナイジェリア、ルワンダ、タンザニアである。
このラベルを見ただけで、筆者は「今、アフリカとこのスマートフォンを通じて繋がっている」なんて感じてしまったのだ。
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