在宅でのテレワークにおいて、利点や便利となることはいくつか考えられるが、そのひとつに、好きな音楽をかけながら作業できることが挙げられる。家庭環境によるところもあるが、筆者の場合はひとり暮らしであるため、近所迷惑にならない音量であれば、何をかけてもいい。また会社とは違い、テレビで好きな映像を流しながら作業をすることも、気兼ねなくできる。
筆者も在宅でのテレワークに入ってから、時節柄ニュースを流して情報を得つつ、さまざまな楽曲を流したりしている。そのなかで、BGM代わりにライブイベントの映像を流すことも少なくない。ライブ映像を収録したBlu-rayも相応に購入しているのだが会社では見ることができず、かといって家でもなかなか見る時間が取れなかったこともあり、少しずつ消化しているという感じだ。画面に目が行きがちになるのも考えものではあり、テレビ番組などではその要素も強くなるが、ライブ映像は多少なりとも割り切ることもできると、個人的には感じている。
もっとも、気分を盛り上げたいときや、比較的単純な作業のときはよくても、落ち着いて考えたいときなどは、やはり変えたほうがいいとも感じている。実は会社での作業ではわりとイヤホンでアップテンポな曲を聴きながら作業することも多く、抵抗感も少ないと思っていたのだが、在宅での作業に入ってからアップテンポな曲をかけていても、少し騒がしさも感じるようになっていた。
もちろん落ち着いた楽曲やBGMも多種多様存在しているのだが、niconicoでたまたま見かけた「【外出自粛でネット花見】快晴時の上野恩賜公園の桜を見る放送【宴会風ASMR】」という、公園の桜を映し出した映像に、宴会風の環境音(ASMR音源)をあわせたもの。このほかにも、「【雪見桜:外出自粛でネット“生”花見】一部通行止めの上野恩賜公園の桜を見る生放送」を流していた。桜が見られないなかできれいな風景も見たいと思って流していたのだが、思いのほか作業がはかどるようになった。それから少しずつ環境音を流すようになり、あわせてASMR音源にも興味を持つようになった。
ASMRは「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称。人が聴覚や視覚への刺激によって感じる心地良い、ないしは頭がゾワゾワするといった反応や感覚のこと。ここ数年は、この感覚を得られる音源がリラックスできる音、集中できる音として動画サイトなどを中心に人気を集めているという。弊誌で2019年8月10日に掲載した「ダイエットやリラックス目的で「ASMR」を楽しむ高校生--TikTokでも人気」を見ると、高校生に親しまれている実態とあわせて、リラックスしたり、ポジティブな感情が高まることの効果もあるとされている。
筆者が調べた範囲でも、咀嚼音や耳かき音、囁き声、炭酸水の炭酸が弾ける音、食材を包丁で切る音、焚き火の音など多種多様。ちなみに焚き火の音について振り返ると、niconicoでも薪が燃えている映像が以前から盛り上がりを見せており、例年12月24日に配信を行っている。よく雨音や波の音などのヒーリングBGMなどを聞くと落ち着くという方もいると思うが、「雨音のASMR」のように気持ちが良くなる音はASMRに含まれており、若干広い範囲を指す用語とされている。
筆者が活用しているものとしては、オーディオレーベル「SOUNDS GOOD」のASMR音源。これまで企業やブランドで活用されてこなかった固有な音を、ブランディングとして活用していくというレーベルとなっている。例えばユカイ工学による「尻尾を動かすプログラミング」では、キーボードを打つタイピング音が流れており、落ち着いた雰囲気で仕事をしているような気分になれる。
また、東京ガスの工業用バーナーの燃焼音や、JR東日本の山手線車輪のヤスリがけの音などは、ついつい流してしまう魅力がある。ほかにも、飲食店で料理を仕込んでいる音もあり、食事前などに流して食欲をかきたてるという使い方もしている。
会社では、こうした環境音のようなASMR音源を流すことはあまり考えられなかったことだと思うので、在宅での作業だからこそ心地よく感じたのではないかと個人的には考えている。作業する際にさまざまな音楽を流す方も多いと思うが、気分を変えたり新鮮な気分を味わいたいとき、作業用BGMとして、こういうASMR音源を選択肢に入れてみてはいかがだろうか。ちなみに、ASMR音源を聴くときはイヤホンやヘッドホンなどを使用すると、より臨場感のある音を聴くことができるので活用しよう。
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