新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が懸念されている。2月27日には安倍首相が、全国の小中学校や高校などに、3月2日から休校とするよう要請したことを発表。家にいる子どもの見守りのためにも、満員電車を避けるためにも、テレワークが可能な業界・職種の人は積極的に「出社しない」働き方に切り替えることが急務となっている。
ウェブサイト構築のためのCMSプラットフォーム「Movable Type」を提供するシックス・アパートは、2016年夏にEBO(従業員買収による独立)を期に、毎日テレワーク&必要な時だけ出社する働き方「SAWS」(Six Apart Working Style)を開始。10席ほどの小さなオフィスに移転し、家賃などの浮いたコストを原資に、申請不要のテレワーク手当1万5000円/月を全社員一律で支給している。2019年末には東京都「スムーズビズ推進大賞」、総務省「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞した。
そんなシックス・アパートで働く筆者のもとには、2月に入ってから在宅勤務の相談が多く寄せられるようになった。テレワーク歴3年半であり、ひとりのワーキングマザーとして、なるべく多くの方に現実に即した実践的なノウハウを届けたいと、Twitterで「#リモワノウハウ語るよ」のハッシュタグを付けた連続ツイートを開始した。これらのノウハウは、筆者のものだけでなく、同じく3年半在宅勤務をしてきたシックス・アパート社員の声も含まれている。本稿では、連続ツイートの中でも多くの方に役立ちそうなものを15個ピックアップして紹介する。
●早めに仕事を開始し、早めに終了しよう
出社しなくていいなら、朝の身支度は最小限ですむし移動の時間も無し。であれば、いつもの始業時間より早く仕事を始められるはず。頭が冴えてて、やる気ゲージが比較的多い午前中に重めの仕事に手を付ける。
そして、早めに仕事を開始したら、早めに終わろう。始業時に終業予定時間を決めておくのがポイント。作業中ずっと座っていたならば、浮いた時間は体を動かすと良い。筋トレ動画見ながら運動はもちろん、掃除や片付けでも。
SAWSの働き方を開始して以来、シックス・アパート社員の勤務時間も前倒しになっている人が多い。8時台にSlackが活発なのもよくあること。
●起きてから仕事開始までのルーチンを決めよう
シャワーを浴びる、白湯を飲む、朝ご飯を食べる、着替えるなど、朝起きて自分のエンジンをかけるための自分なりのルーチンが作れると良い。
在宅勤務は自分で決められる事が多く自由度が高いが、その分、決断力を消費してしまう。スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたように、仕事を始めるまでのルーチンを決めてしまって、それを毎日繰り返すのが継続のコツだ。
●タイマーをかけて集中時間を作ろう
本来、家はくつろぎの場所。ベッドやテレビやゲームなど集中をそらすものが多くて当然である。
筆者はタイマーを付けてタイマーが鳴るまでは作業に集中すると決める。そしてタイマーが鳴ったら一定時間休憩。いわゆるポモドーロテクニック(※短時間の集中作業を繰り返すことで、仕事を成し遂げる)である。
タイマーは、キッチンタイマーでも、アプリでも、スマートスピーカーにお願いするのでもよい。
●姿勢良く作業できるPCの配置を考えよう
急遽在宅勤務となったため、ダイニングテーブルやこたつなどにノートPCを置いて作業している人も多いと思う。背中と首を丸めてのぞき込む姿勢は案外疲れるものだ。特に一日中在宅勤務となると長時間同じ姿勢をすることになる。
ノートPCを雑誌などで底上げして目線の高さに合わせる、クッションで椅子の高さを調整するなど、できる限りの調整を試みよう。外付けモニター、キーボード、マウスがあるならば積極的に使おう。
●社内会議ならば動画にこだわらず音声会議も検討しよう
いつものメンバーとの会議ならば、動画にこだわらず音声通話と画面共有で十分ではないだろうか。映り込む背景やノーメイクの顔を整えるより、先に仕事を進めよう。
またノートPCのフロントカメラにマスキングテープを貼っておくことをオススメする。オンライン会議の際に誤ってビデオがONになっていても、テープが貼ってあれば何も映らないので安心である。社外の方とのオンライン会議の際で動画顔出しの際のみ、マスキングテープを剥がすだけなので簡単だ。
●スマートスピーカーを活用しよう
家だと気兼ねなくスピーカーに話しかけられるので、秘書代わりに使える。タイマー、電卓、辞典、予定の確認、リマインダー、アラーム、天気などの確認が便利だ。音声だけで用事がすむので、PCで作業中の画面やアプリはそのままで集中が途切れないのが良い。
●ローコンテクストな発信を心がけよう
居場所はバラバラでも、私たちはチームで仕事をしている。テキストチャットや社内情報共有ツールへの投稿は、主語述語を明確にし、略語はほどほどにして、誤解を生みにくい丁寧な発信を心がけよう。新人さんや他チームのメンバーが読んでもわかりやすい発信にすることがポイントだ。
●同僚と良い距離感でいよう
同僚は友達ではなく、同じチームのメンバーである。毎日顔を合わせるのではなく、チャットで仕事の話だけサクッとできればストレスフリーでいられることもあるだろう。
●IT部門に感謝しよう
社内ネットワークに安全に接続して在宅勤務できるのはIT部門のおかげ。常にメンテしてくれてるから、いつでも繋がるのである。PCが起動しないとかのトラブルにも対応してくれる。何かあったときだけではなく、何事もなく使えている時こそ、縁の下の力持ちに感謝しよう。
●家族に予定を話そう
家族と仕事の予定やルールを共有しよう。在宅勤務日、1日のスケジュール、仕事中に話しかけたいときのルールなど。オンライン会議の時間も知らせておくのも重要だ。「しばらく静かにしててほしい」という意味だけではない。我が家の場合は家族が電子レンジを使ったらブレーカーが落ち、会話中に回線が強制切断されたことがあった。その後、レンジに「電話会議中、使用禁止」の札を貼ることになった。
●子どもがいる場所で仕事は難しい
我が家の小学5年生の娘は、ひっきりなしに私に質問・相談・要求を投げつけてくる。仕事にならない。なので、娘が学校から帰ってきて、遊びや塾や習い事にでかけるまでの時間は仕事の手を止めて、娘と話す時間にしている。学校帰りの様子を見ながら、彼女の話を聞ける大事な時間である。彼女が再び出かけて帰ってくるまでの間は、また集中作業時間になる。
●子どもとカフェワークで集中しよう
子どもは宿題、親は仕事がどっさりあるときは、2人でカフェワークに切り替える事が多い。「タピオカを買ってあげるから宿題がんばろう。ママもがんばるから!」と説得し、それぞれ作業に必要なものだけ持って行く。カフェで、2人並んでしぶしぶやる。
●リモートだとむしろプレッシャー高まる
在宅勤務では「真面目に出社して働く姿」ではなく、成果を出すためのチャレンジとその成果が評価対象となる。もっともそれは、オフィスにいようがいまいが同じ事であるはずだ。
姿が見えないからこそ、こまめに進捗報告などの発信を心がけよう。離れているからこそ、信頼しあえる関係構築のための努力を欠かさないようにしよう。
●美味しいコーヒーやお茶を用意しよう
良いコーヒー豆やお茶があれば、今こそ丁寧に淹れて飲もう。家ならば遠慮無く好きなものを好きに飲める。シックス・アパート社員もコーヒーやお茶にこだわる人が多い。お茶タイムを準備する時間は、気分転換としても最適だ。
●家だろうがオフィスだろうが捗らない時はある
人間だもの。
在宅勤務ノウハウの連続ツイートは、これからも続けていく予定だ。
今回の件で最近リモートワークはじめた or はじめる会社員の皆さまのために、2016年夏から毎日リモートワークしてるわたしのノウハウ思いつく限り語るよ。役に立ちそうなところがあれば、つまみ食いしてください。#リモワノウハウ語るよ #テレワーク
— 壽 かおり Kaori Kotobuki (@kaoritter) February 17, 2020
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」