レノボ・ジャパン、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、NECパーソナルコンピュータ、モトローラ・モビリティ・ジャパンの4社は7月24日、テレワークにて終日業務を行う「全社一斉テレワークデー」を実施。あわせて、テレワークの取り組みについて説明した。
レノボではテレワークの利用促進を図っており、2020年のオリンピック開催期間は、2週間で8営業日を全社テレワークとする「2020年スポーツ応援ホリデー&テレワーク」を計画。今回の全社一斉テレワークデーは、その準備として行ったもの。また、テレワーク・デイズ2019の期間中ということもあり、7月23~31日の間は各社員が連続して3日以上のテレワークを奨励。実施期間中は最大3回のコワーキングスペース利用料を会社が負担とするという。
テレワークの取り組みについて、NECレノボ・ジャパングループ ワークスタイル・エバンジェリストの元嶋亮太氏から説明があった。制度としては対象者を限定せず、取得回数についても制限はなく、時間単位での申請が可能。運用ルールとしては、原則として利用前日までにマネージャー(上司)の承認を得るほか、「Microsoft Teams」などのビジネスチャットツールをアクティブな状態にしていることを定めている。
レノボにおける働き方の根底にあるものとして、仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ働き方となるアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)があると説明する。元嶋氏は、生産性が高まる環境、効率がいい環境となるような働く場所の判断を、従業員自身が日々行っていくことで、通勤時間削減のみならず、限られた時間のなかで最大限のアウトプットを行うという意識付けになったと、自身の体験を踏まえて語った。また、これがより浸透することで、オフィスは業務をする場所から、何かしらのコラボレーションをする場所へと、オフィスにおける価値も変化するのではと付け加えた。
NECレノボ・ジャパングループ 執行役員 人事本部長の上南順正氏からは、テレワークにおける従業員のアンケートを行った結果などを説明。テレワーク制度については、2015年12月に回数制限を設けない形での運用が開始。以降も、東日本大震災が発生した3月11日の前後に毎年全社一斉テレワークデーの実施などを通じて、テレワークの浸透を図っているという。
従業員のアンケートにおいては、60%の従業員は週に1回テレワークを行っているほか、「生産性が向上した」と回答したのが47%、「ワークライフバランス」が改善したと回答したのは76%と、ポジティブな影響が出ているという。ちなみにテレワークを利用しないという従業員の意見については「家よりも会社のほうが、環境はいい」という声が多く、ほかには「上司がテレワークをしないので、使いづらい」「連日来客の対応がある」「家にいると妻から用事を頼まれて仕事が進まない」といったものがあったという。
ちなみに、テレワークをするとかえって生産性が落ちるのでは、という懸念について、無制限でのテレワーク導入時に議論したことを振り返りつつ、「この4、5年を見ると、ほぼない」という。テレワークはマネージャーが許可をし、その日の作業についても報告が求められるといったルールの部分や、そこで生産性が落ちていると思われたくないという従業員の意識もあってか、懸念するような事態は起きていないという。
今後に向けては、自宅でのテレワークが難しい従業員に向けた、コワーキングスペースの活用やデバイス、インフラ面のさらなる整備、部門やマネージャーによるテレワークの取得難度に差があることへの平準化など、利用しやすい環境を整えていくという。
レノボ・ジャパン 代表取締役社長のデビット・ベネット氏は、テレワークに取り組む背景として、従業員満足と企業業績は連動するという考え方のもと、経営目標として掲げる「働きやすさNo.1企業」を目指していることにあると説明する。これまで優良企業として着目されていたのは売上や利益などといったところだったが、これからは働きやすさが着目され、より幸せな従業員がパフォーマンスを発揮することで、経営も良くなるという考え方を持っているという。
個人の生活と仕事のバランスが取れるような施策、あるいはメッセージの発信などのアクションを地道に取り組んだ結果、1年間で従業員満足度とともにレノボ・ジャパンの業績も向上。これについて「これは偶然ではないと考えている」と語った。
レノボの考え方は、日本の他の企業が抱える課題解決につながるものとして、レノボ自身が大きな変化を体験したことによる経験を社会に向けて共有するとともに、働き方に対する改革の先頭に立っていくという考えを示した。
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