若年層がメインユーザーのスマートフォンアンケートアプリを運営するテスティーと、CNET Japanが共同で現代の若者たちの実態に迫る同連載。第15回目は10代、20代の男女1244名(10代610名、20代634名)を対象に、「マンガアプリ」に関する調査を実施した。
さらに、10〜20代の男女162名(10代:93名、20代:69名)から「マンガアプリ」のアイコンを置いているフォルダのスクリーンショット画像を収集し、その利用傾向を分析していく。アンケート実施日は4月25日。
はじめに、直近1年以内に漫画を読んだと回答した人を対象に、読む際に利用したものを調査した。男性では「単行本/文庫コミック」、女性では「スマートフォン」が第1位となった。
今回は、「スマートフォン」で漫画を読むと回答した人にフォーカスして調査を実施した。まず、スマートフォンを利用して漫画を読むと回答した人を対象に、利用しているものをすべて選んでもらったところ、全性年代において約9割の人が「アプリ」と回答し、約4割の人が「ウェブ」と回答した。この結果から、漫画はアプリとの親和性が特に高いと言えそうだ。
スマートフォンで漫画を読むと回答した人を対象に「マンガを読む頻度」を尋ねた。いずれの性年代においても「毎日」と回答した人が最も多く、10代男性で41.2%、10代女性で44.7%、20代男性で52.9%、20代女性で48.4%となった。
続いて、マンガアプリ保有者を対象に保有個数を尋ねた。「1つ」と回答した人が最も多く、10代男性で41.4%、10代女性で42.8%、20代男性で31.5%、20代女性で40.6%となった。
先述した漫画を読む頻度、マンガアプリの保有個数を元に利用頻度の相関関係を全年代で算出したところ、利用マンガアプリの個数を「4つ以上」と回答した人は、複数のアプリを使い分けてほぼ毎日(週に5日以上)マンガアプリを利用していることが伺える結果となった。
次に、マンガアプリの保有者を対象に「アプリインストール契機」を尋ねた。第1位は「スマートフォン広告(ウェブ利用時)」、第2位は「スマートフォン広告(SNS利用時)」となった。ウェブとSNSのスマートフォン広告経由を合わせると、10代では約6割、20代では約8割といずれもスマートフォン広告経由でマンガアプリをインストールしていることがわかった。
また、どのようなきっかけで新しい漫画作品を読むかを調査した。その結果、最も多かった回答は10代男性で「周囲で話題になっていたから」が39.3%、他の性年代では「表紙絵(作風)が好みだったから」が10代女性で54.5%、20代男性で40.7%、20代女性で45.6%となった。「ウェブやアプリの試し読み」という回答も上位にランクインした。
マンガアプリやウェブマンガでの掲載がきっかけで書籍化や映像化をする作品も数多くあることから、オンラインのみならずオフラインの購買行動にどのような影響があるのかを調査するため、マンガアプリをきっかけに書籍を購入したことがあるかを尋ねた。
それに対し「ある」と回答したのは、10代男性で41.2%、10代女性で41.5%、20代男性で49.0%、20代女性で32.6%となった。マンガアプリを保有している若年層は、スマートフォンでの閲覧をきっかけに新しい作品と出会うことや、マンガアプリによる認知が書籍購入のきっかけとなっていることがわかった。
マンガアプリ利用者を対象に、現在利用しているマンガアプリを調査したところ、いずれの性年代においても第1位は「LINEマンガ」となった。2位以下は年代、性別で差異が見られた。10〜20代女性では「ピッコマ」「comico」が上位にランクインし、男性では「マンガワン」や週刊誌系の「マガポケ」「ジャンプ+」がランクインする結果となった。
最後に、マンガアプリを利用している10〜20代の男女162名(10代:93名、10代:69名)から、マンガアプリのアイコンを設置している場所のスクリーンショットを収集。マンガアプリをフォルダに入れている人の画像を集計し、その傾向を調査した。
その結果、全体の平均個数は1フォルダ画面あたり「3.73個」と判明した。現在利用しているマンガアプリ第1位となったLINEマンガの保有者を対象に保有アプリ個数の平均値を出したところ、「4.42個」となった。保有率1位のLINEマンガを利用している人は、他のマンガアプリ利用者と比較してマンガアプリの保有個数が多いことがわかった。
LINEマンガはサービスの特徴として、ユーザーの89%が無料連載を読み、そのうちの80%はLINEマンガのオリジナル作品を読んでいるという(4月25日の同社発表時点)。23時間に1話無料となる独自の無料連載システムや、オリジナルコンテンツが豊富な点などが若年層に支持され、保有率を高めていると言えそうだ。
今回の調査を通して特筆すべきは、若年層の半数以上(20代においては約8割)がスマートフォンの閲覧をきっかけにマンガアプリをインストールし、そのアプリを通じて新しい作品と出会っている点や、マンガアプリ経由での認知がリアルな書籍購入のきっかけとなっている点だ。
インターネットの発達により、オンラインでの購読が主流となってきたことで、漫画雑誌の発行部数や書店数は年々減少傾向にある。そのような状況の中で、マンガアプリがオフラインにおける消費行動を促すことができれば、消費の新たな潮流が生まれるかもしれない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス