アプトン氏は日本市場について「私たちにとって未知のマーケットではない。非常に熱心にコンピュータを使う人が多く、さまざまな点で英国に似ている」としており、月に1万台ほどの出荷台数を10~20万台までに引き上げたいとしている。これを実現すべく、日本語で書かれたコンテンツの充実を図るほか、アールエスコンポーネンツの販売ネットワークを生かし、教育プログラミング用途に加えて産業用Raspberry Piケースを販売するなど、ルートを広げていくという。
産業用のCompute Moduleは、SO-DIMMメモリ規格のシングルボードにeMMCストレージを増設したもの。日本メーカーでの採用例もあり、NECディスプレイでは、アールエスコンポーネンツのドイツチームと、ドイツにあるNECディスプレイの開発チームが連携し、業務用モニタにCompute Moduleを搭載するためのスロットを内蔵した。また、韓国でも産業用に数万台出荷するプロジェクトがあり、日本でも今後数量が伸びてくるとアールエスコンポーネンツでは予測している。
アプトン氏は、日本におけるRaspberry Piの活用方法として、Googleの機械学習プラットフォーム「Tensor Flow」とRaspberry Piを組み合わせて、きゅうりの等級仕分け作業を自動化した農家を紹介。日本のRaspberry Piコミュニティについて「一つのプロジェクトにすごく関心を持つ傾向が多い。英国や米国ではプロジェクトがすぐに移り変わる傾向にあるが、日本では1年などのスパンでプロジェクトを深く進めている。2018年には日本から世界にプロジェクトを紹介したい」としている。
ちなみに、注目しているプロジェクトについて聞くと「ロボティクス分野に関心がある」として、Raspberry Piを使用した高精度の教育用マウスロボットを嬉しそうに見せてくれた。アプトン氏は、「日本には複雑なプロジェクトがあるという一つのテストベッドになる」としている。
そして、注目を集めているRaspberry Pi ZEROの日本投入については、「日本での展開方法について議論している段階。2017年の前半には発売にこぎつけたい」としている。なお、ZEROに関しては、Raspberry Pi財団が初めて製造から販売まで手がけるプロダクトで、チャリティ要素が強くほぼ原価で販売しているという。アールエスコンポーネンツの担当者は「チャリティは支援する」としつつも、あまりにも安価のため製造・販売については現時点でも水面下の状態としている。
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