では、このようなユーザーエクスペリエンスの改善は、どのように進めればいいのだろうか。泉氏は、Calm Technologyを実現するためには「出来上がった技術をどこに当てはめるか」ではなく、「UXのどこに改善すべき課題があるか」という視点で考えることの重要性を指摘した。
今回の国際空港におけるUX改善でも、ルグランとパナソニックはまず共同で「エクスペリエンスマップ」を作成したのだという。これは、空港内における利用者のさまざまな行動を細かく検証し、どのようなニーズが内在しているのかを探し出すという作業で、ユーザーの行動、思考、感情を追体験することで、改善機会を模索するというものだ。
そこでは、自分たちの持っている技術で対応できるか否かは一旦問わず、あらゆるシーンを想定して課題を探し出すことが重要であり、すべてを洗い出したところから、「自分たちにできることは何か」を考えるのだという。泉氏によると、このエクスペリエンスマップの作成にしっかりと時間を掛けたことで、ユーザーエクスペリエンスの課題と改善の方向性を明確化できたのだという。
泉氏と原口氏によると、今回の空港内におけるユーザー体験の改善を足掛かりとして、今後は看板やデジタルサイネージだけでなくあらゆるタッチポイントにおける新たなユーザー体験の創出や、空港だけでなく観光客が多く訪れる繁華街などにおけるユーザー体験の改善などにも取り組んでいくという。
人びとのリアルな行動に寄り添うCalm Technologyを実現することで、2020年に向けたテクノロジによる「おもてなし」をさらに豊かなものにしていきたい考えだ。「データドリブンはネットだけのものと考えられがちだが、リアルな世界でもユーザーエクスペリエンスの改善に役立つデータは膨大に取得できている。これらを活用することによって、ユーザーの課題や潜在的なニーズを解決していきたい」(原口氏)。
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