格安SIMでも、最高速度として、元となるドコモのLTEのスペックである下り最大150Mbpsという速度が示されていることが多い。しかし、回線の実際の速度や品質は既存キャリアと同等ではない。今まで、ユーザーの声や実際に試した経験の範囲では、残念ながら格安SIMの速度や快適さが劣っている場合が多い。
また、格安SIM同士でも品質はまちまち。あるA社は遅くても、B社は快適という場合もある。なぜかと言えば、自分に近い電波の部分はドコモを使っていても、その先のインターネットに接続する部分は各社それぞれ。もし、そこが詰まってしまえば速度は遅くなるからだ。試しに同じ端末を使い、同じ場所でSIMを入れ替えて速度計測した結果が以下のとおり。ふだんはここまで差が出ることはなく、たまたま混雑時間帯ということもあって下りで10倍以上差がついてしまった。
これに関連して、容量の上限超え等で速度制限を受けた場合の快適さも違う。例えば速度が200kbpsとなった場合でも、200kbpsいっぱいで途切れなくデータが流れてくる状況では、極端に使えない状況には陥らない。しかし、途切れ途切れにデータが来るようでは本当に“使えない”回線になってしまう。この部分も格安SIM同士で大きく違う場合がある。
大事なことは、価格と速度だけで選んでしまわないこと。既存のユーザーの評判などを多く集め、曜日や時間帯、エリア等を自分の使い方と照合、問題が起こらないか予想する必要がある。また、状況は刻一刻と変化しており、評判の良い事業者にユーザーが押し寄せ、すぐに品質低下が起こってしまうこともある。最新の情報で判断するようにしたい。
ここ、格安SIMのネガティブな情報をあげてきたが、それらを踏まえた上でうまく使うことで、非常にコストパフォーマンスの高いサービスとなる。何よりも絶対的に費用を抑えることが可能だ。
筆者がおすすめしたいのは、音声通話のケータイは既存キャリアで残しておき、データ専用として格安SIMを活用することだ。
フィーチャーフォンを1台維持する場合の金額は、キャリアメールと最低限のパケット代を含んで1800円程度から。ドコモやauなら料金プランにもよるがこの金額で1000円分の無料通話が付き、ソフトバンクならソフトバンク内の通話が一部時間帯を除いて無料。それに格安SIMの1000円でスマートフォンを維持すると合計で3000円以下となる。
スマートフォン側に通話機能は必要ないので、割安かつ画面の大きな7型タブレットを利用してもよい。ドコモから販売される7型タブレットの中古品や、入手しやすく比較的安価なGoogleのNEXUS 7のLTE版も良いだろう。
また、フィーチャーフォン側も、ドコモならばspモードを申し込むことで、キャリアメールの利用をスマートフォン側に移し、ケータイ側のパケット代を限りなくゼロにすることが可能。また、ケータイ側はiモード、スマートフォン側にはspモードと、2つのキャリアメールを使うことも可能だ。ドコモは6月から通話が完全定額のプランをスタートさせることになっており、通話が特に多い人なら得になる。スマートフォンと端末を分離させることによる使い勝手の良さもメリットだ。
auやソフトバンクは、フィーチャーフォンでも毎月割や月月割といった購入補助がある機種が安く売られていることが多く、例えばauの「GRATINA」をMNPによる新規加入で安売り店を探せば月々の費用はほぼゼロ(2014年4月30日現在)まで抑えることもできる。
既存キャリアのスマートフォンを使い、動画を含むデータ通信をフルに楽しみ、過去に上限に達して速度制限を受けたことがあり、通話もそれなりにしていたという人は、そのまま音声付きの格安SIMに乗り換えても安くないか、大幅に不便を強いられることになるだろう。
逆に、あまりデータ通信をしないという人であれば、端末を通話とネットで分けることで、大きく費用負担を下げることも可能だ。
格安だからということで飛びつくのではなく、まずは自分の通信量や使い方など把握し、各サービスにあてはめて料金をシミュレートしてみること。そして、格安SIMを提供する通信事業者も容量や値段だけでなく実際の評判を確認してから選ぶこと。この2点を踏まえて上手に活用してほしい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手