ビッグローブは4月8日、MVNO事業で提供しているSIMサービスにおいて、090の番号を利用でき、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)をサポートする音声通話オプションを提供することを発表。また、現在開発中の腕時計型ウェアラブル端末を披露した。NECグループからの独立後初となる事業方針説明会で、同社代表取締役社長の古関義幸氏が明かした。
同社では、MVNOの格安SIMとWi-Fiサービス、スマートフォンをセットにした「Wi-Fi ほぼスマホ」を提供している。「“ほぼ”の意味は、いわゆる携帯電話の通話機能がなくて、その代わりにIP電話のアプリケーションで通話できるということ」(古関氏)。料金が抑えられる一方で、これまでの「090」から始まる番号は使えず、「050」の新しい番号になると説明すると躊躇する人も多かったという。そのため、これまでの商品名の“ほぼ”を取るようなイメージで、090の番号を利用した音声通話ができるオプションを7月から提供するとした。
価格は未定だが、現状では4月1日に月額900円(税別)に値下げしたモバイル通信サービス「BIGLOBE LTE・3G」エントリープランに「いくばくかの料金を支払うことで利用できるようにする。金額はまだ決めていない。直前まで悩むと思う」と語った。
「ウェアラブル端末の着想が2年前からあった」という古関氏。今回披露されたウェアラブル端末の試作機は腕時計型で、本体に3G通信機能を内蔵しているのが特長だ。OSはAndroid 4.2ベース。「腕時計型の端末はすでにサムスンやソニーが出している。同じじゃないの?と思われるかもしれないが、大きな違いがある。それらの端末はBluetoothで、インターネットとの通信はスマートフォンを通す必要があるが、スマホを持ち歩かずにこれだけで使える」と説明した。一度の充電で1~2日は使用できる見込み。
ウェアラブル端末のプロジェクトが本格的に動き出したのはおよそ1年前。その年の夏頃には、一旦、端末のコンセプトを実現するためのハードウェアが今のテクノロジでは作れないという結論が出た。「アイデアが早すぎた」と思っていたそうだが、その後やり方を変えれば制作できる可能性が出てきたため制作を続行し、今回の試作機を完成させたという。
価格、発売日は未定だが「気持ちとしては年内に商品として出したい」という。古関氏は「ただ単に新しい形のデバイスを、お使いくださいということはしない。他社にはないキラーサービスを端末に乗せたかたちで、クラウド上で実現し、サービスとオールインワンで提供することで価格競争に陥らずにビジネスができる」と意気込みを語った。
NECの子会社から離れ、日本産業パートナーズのもとで4月から事業運営をスタートしたビッグローブ。資本が変わったことによる変化は何か。「社名が変わった。逆にいうとそのぐらい。社長以下、幹部も替わっていない。パートナーも販売チャネルも変わっていない。NECブランドはなくなったが、ビッグローブというブランドを使っていたので、あまり変わらない。今回見せたデバイスも、独立したからできたわけではない。これから変わるかもしれないが、ドラスティックに変わることはないと思っている」と話した。
今後の目標について、「チャンスをいただいたので、上場したいと思っている。またどこかの資本に買われて一部になるというのは避けたい。十分利益もできているし、上場レベルにあると思う。そういう形で イグジット(EXIT)できればと思っている。3年から5年後を目指す」とした。
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