国内携帯電話市場は「ほぼ飽和している」というサムスンの信念も消え去った。その市場は、スマートフォンの出現によって混乱をきたした。スマートフォン市場は急速に大きく成長し、IDCによれば、2012年第4四半期には、スマートフォンは世界全体での販売台数でフィーチャーフォンを上回ったという。
ではサムスンはなぜ、2度もつかみ損ねた製品ジャンルに戻るのだろうか。しかも最近失敗したのはわずか4年前だ。それは状況が変わったのと同時に、サムスンも変わったからだ。
サムスンは、最初の腕時計型携帯電話を発売する前年の1998年には、従業員数は6万人で、米国での売上高は166億ドルだった。現在は、従業員数23万6000人で、売上高は2012年だけで1880億ドル以上である。スマートフォンとほかのモバイル端末が、その売上高の半分近くを占めている。
ビジネスの面では、アナリストは現在、腕時計市場の売上高(あるいは、この市場から奪える額)は年間約560億ドルと推測している。NPD GroupのチーフインダストリーアナリストのMarshal Cohen氏は400億ドルと考えており、さらに、スマートフォンの人気が爆発した直後の2006年以降、この市場は衰退していると語った。
Cohen氏は米CNETに、「腕時計ビジネスは二重苦に苛まれている。スマートフォンから機能面での打撃を受けると同時に、経済からも別の打撃を受けている」と語った。
新たな希望は、腕時計市場から流れてくる金額が、人々がスマートフォンに支払う分に取って代わるわけではなく、それにプラスされることかもしれない。Bernstein ResearchのアナリストのToni Sacconaghi氏は、人々がMP3プレーヤーやほかの小型の携帯型家電の代わりに、スマートウォッチを買うようになれば、スマートウォッチ市場はさらに大きくなる可能性があると見ている。
必要なのは、現代のスマートウォッチを、サムスンの過去の失敗作とは違ったものにすることだ。消費者は必ずしも、限られた機能しかない、携帯電話と腕時計のマッシュアップがほしいわけではない。むしろ、スマートフォンのエクスペリエンスを高めることを約束するような腕時計であれば、より簡単に売れるだろう。
最近では、企業はそうした考えを取り入れている。携帯電話を腕時計の中に押し込もうとするのはやめて、代わりにBluetoothを使い、ユーザーのスマートフォンと接続することを選んでいる。その戦略にはもっともな理由がある。スマートフォンでは、その大きなディスプレイと強力なプロセッサ、常時データ接続を生かして、大きくて見た目の美しいアプリケーションを動かし、スマートウォッチはより小さなサイズに適した機能に限定することが可能になるからだ。「Real Racing 3」をスマートウォッチでプレイすることは良い考えではないかもしれないが、テキストメッセージを素早く確認するには、スマートウォッチの方が便利だ。
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