発売5年を迎えた「iPhone」--ヒットの要因と今後 - (page 3)

Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル 編集部2012年07月04日 07時30分
  • 「App Store」。携帯電話や携帯情報端末(PDA)上のソフトウェアストアは目新しいものではなかった。Appleのソフトウェアストアを際立ったものにしたのは、同社が既存のApple ID決済システムを利用し、「iTunes Store」の顧客にちょうど楽曲を購入するのと同じ感覚を与えたことだ。それは、同デバイスの購入後の利便性も向上させた。ユーザーが通信キャリア契約と複数年契約を締結しなければならなかった場合は、これは非常に重要なことだった。
  • カメラ。どの世代のiPhoneにもカメラは搭載されてきたが、iPhone 3G以降は毎回クオリティが向上している。「iPhone 4」以降、Appleは内蔵カメラを2個に増やし、ビデオ通話機能「FaceTime」用に新たに前面にも搭載した。最近開発されたiOSでは、初代iPhoneから比較的手を加えてこなかったロック画面に、カメラへのショートカットを追加することまでしている。
  • 「Retina Display」。Appleは「iPhone 4」で3.5インチスクリーンの解像度を2倍に高めた。そして、このピクセル密度が極めて高くなった画面では、手を伸ばしたくらいの距離では人間にはピクセルを認識できないと断言した。この機能は、競合他社のはるか先を行ったもので、2012年には第3世代の「iPad」や最もハイエンドの「MacBook Pro」を含むAppleのほかの製品でも採用された。
  • Siri
    提供:Apple
  • 「Siri」。iPhoneの主要機能の中で最も新しいSiriは、2011年に「iPhone 4S」とともに登場した。この音声アシスタント技術は、音声による命令で携帯電話を操作する手段としては初めてではないが、iPhoneを購入後すぐに使えて、親しみのある女性の声で応答してくれる点で他の技術とは一線を画している。この機能は、2012年秋には「iOS 6」の一部として「iPad」に搭載される予定だ。
  • 「iCloud」。大部分はまだ開発中だが、iPhoneを「iTunes」から切り離すのに一役買ったという点で注目に値する機能だ。ユーザーがデバイスのバックアップをクラウドに保存したり、写真や設定などをデバイス間で共有したりすることが初めて可能となった。また、iCloudは、容量の大きな内蔵ストレージの必要性も解消しており、これは、ユーザーが購入したあらゆるコンテンツをいつでも再ダウンロードできるようになっているためだ。

今後の展望

 Jobs氏はiPhoneを発表したとき、iPhoneに搭載されたソフトウェアは「ほかのあらゆる携帯電話の5年先を行っている」と述べた。この予言はいまだに論議を呼んでおり、競合他社は異議を唱えている。

 ライバルたち、主として「Android」プラットフォームを持つGoogleはほどなくして追いついた、と多くの人は主張するかもしれない。IDCが5月に発表したスマートフォン世界市場の調査結果によると、Jobs氏が「盗まれた」と評した製品であるAndroidはスマートフォン市場で59%のシェアを獲得しているという。同調査では、AppleのiOSは2位であり、シェアは35%強だった。

 Appleにとって、これからの5年間は、同社がスマートフォンの開発に乗り出した頃とは大きく違ったものになる。iPhoneはもはやニッチな製品ではなく、メインストリームになった。Appleはより激しい競争に直面しており、それが沈静化する気配はない。それはユーザーの財布をめぐる争い、そしてより複雑に絡み合うエコシステムにユーザーを引き入れる争いとなっている。

 言い換えると、iPodでMP3プレーヤー市場を独占したときと異なり、Appleは本当の戦いに直面している。早く観客席に着いた方がいい。戦いはまだ数ラウンドまでしか進んでいないのだから。

2007年6月29日金曜日夕方、サンフランシスコのダウンタウンにあるApple Store前。iPhoneを求める買い物客を入店させるためドアが開き、熱気に包まれた。
2007年6月29日金曜日夕方、サンフランシスコのダウンタウンにあるApple Store前。iPhoneを求める買い物客を入店させるためドアが開き、熱気に包まれた。
提供:James Martin/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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