滞りなく終了した「World IPv6 Day」--IPv6適用の加速と今後の展望 - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年06月22日 07時30分

 こうした活動は全て、これまで「鶏が先か卵が先か」という問題に悩まされてきたIPv6への取り組みが進歩していることを示している。細かい問題の修正もそうした取り組みの1つだが、YouTubeのようなコンテンツをIPv6上で提供することは、インターネットのネットワーク機器を運用する人々にとって、IPv6トラフィックを適切に処理し、お互いに接続し合うための動機付けになるだろう。

 IPv6の権威であるGoogleのLorenzo Colitti氏はWorld IPv6 Dayに関するプレゼンテーション(PDFファイル)の中で、「全てが上手く行けば、コンテンツはIPv6に移行し、アクセスもそれに続くだろう」と述べた。

なぜIPv6への移行が必要なのか

 IPv6は、43億個のIPアドレスしか割り当てられない現行のIPv4の後継技術だ。43億個のアドレスと聞けば多いように思えるかもしれないが、人々は多くのサーバやPC、携帯電話、タブレット、スマートメーター、自動車、テレビ、ビデオゲーム機、家庭用ブロードバンドネットワークルータをインターネットに接続したいと考えるようになっている。その上、最近までIPv6への移行は概ね任意だったため、困難で費用もかかるIPv6に敢えて取り組もうという人は少なかった。

 コンピュータ管理者はIPv6への移行を先送りにすることができた。なぜなら、ネットワークアドレス変換(NAT)などのテクノロジによって、家庭用ブロードバンドユーザーやISP、企業が複数のデバイス間で単一のIPv4アドレスを共有できるようにすることが可能だからだ。NATには欠点もあるが、このアプローチによってIPv4はフルに活用されている。

 しかし、IPv4アドレスの不足は以前よりも深刻化している。2月にはインターネットの中央在庫で最後のIPv4アドレスが割り当てられ、現在ではその不足がIPv4の販売チャネルにまで伝播している。

 IPv6はIPv4よりもはるかに広大だ。IPv4の32ビットアドレスの代わりに128ビットのIPアドレスを使うことによって、340澗個(正確には340澗2823溝6692穣0938禾予4634垓6337京4607兆4317億6821万1456個)のアドレスを割り当てることができる。ユニークなIPアドレスを割り当てられるということは、NATネットワーク層の後ろに隠されていたためにインターネット上で後れを取ってきたデバイスが、ほかと完全に対等な存在になるということだ。それによってセキュリティ面での懸念が拡大するおそれはあるが、より容易なピアツーピア通信など、新たな可能性が開けるのも事実だ。

 先々、IPv6インターネットを利用してIPv6サービスにアクセスするIPv6対応コンピューティングデバイスを誰もが持つ時代が来るだろう。ただし、今のところはIPv4機器とIPv6機器が混在している。

Arbor Networksが6社のISPからのIPv6トラフィックを計測したグラフを見ると、World IPv6 Day(上の点線が引かれた時間帯)の実施中にIPv6トラフィックが倍増したことが分かるが、それでも全体的なインターネットトラフィックのごく一部である。ただし、IPv6トラフィックはテスト終了後も実施前より高い水準を維持している。 Arbor Networksが6社のISPからのIPv6トラフィックを計測したグラフを見ると、World IPv6 Day(上の点線が引かれた時間帯)の実施中にIPv6トラフィックが倍増したことが分かるが、それでも全体的なインターネットトラフィックのごく一部である。ただし、IPv6トラフィックはテスト終了後も実施前より高い水準を維持している。

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