Asia-Pacific Network Information Centre(APNIC)は4月15日、APNICで管理するIPv4アドレスの在庫が枯渇したことを発表した。これにあわせて、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)も、IPv4アドレスの通常割り振りを終了すると発表した。
これでアジア太平洋地域のIPv4アドレスは、事実上「在庫切れ」を迎えたことになる。余剰在庫の有効活用やIPv6の導入が求められる今、改めてその状況を整理する。
まずは基本的なところからおさらいしたい。IPアドレスを管理するのは、インターネットに関する各種資源を管理するInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)のInternet Assigned Numbers Authority(IANA)。そこから、世界各地域の資源を管理する下部組織であるARINや、RIPE NCC、APNIC、LACNIC、AfriNICなどの地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry:RIR)にIPアドレスを割り振ってきた。
そして各地域の組織(アジア太平洋地域ではAPNIC)が、さらに各国のNetwork Information Center(NIC)やISPにIPアドレスの割り当てを行っている。
Internet Assigned Numbers Authority(IANA)
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
IPアドレスの在庫がなくなると、新たにIPアドレスを取得することが困難になる。端的に言うと、サーバや端末などをネットワークに追加できなくなるわけだ。また、今後ISPから割り振られるIPアドレスが(グローバルIPアドレスからプライベートIPアドレスに)変わる可能性があり、これにあわせてネットワーク機器の設定変更なども必要になってくる。これがいわゆる「IPアドレス枯渇問題」だ。
では新たにIPアドレスが必要になった場合、どうすればいいのか? まず個人については、現時点でISPごとに割り振られたIPアドレスが枯渇してしまったわけではないため、今すぐ影響はでないだろう。また事業者についても、/22(1024アドレス)までの分配であれば、1回に限りJPNICから受けることが可能だ。
さらに、JIPNICでは、余剰IPアドレスの回収を呼びかけるほか、IPアドレスを他組織へ移転する手続きを7〜8月にも実施する予定だ。
しかしIPv4のアドレスを回収、移転してもその数は限られており、抜本的な解決策にはならない。そこで求められているのがIPv6の導入だ。
IPv6とは、IPv4に変わる次世代のインターネットプロトコルのこと。IPv4では2の32乗(約42億)に限られていたIPアドレスの数を2の128乗(約340澗)まで増やせる。これまでのようにIPアドレスを使うのであれば、事実上無限といっていい数を利用できる。
しかし、IPv4からv6に、文字どおりに切り替える“移行”は難しい。IPv4環境にv6が導入され、混在して利用していくことになるため、さまざまな課題もでてくる。これについては現在、企業や団体がさまざまな検証を実施している。IPアドレスとJPドメインをマッチングさせるためのDNSサーバを運営する日本レジストリサービス(JPRS)でも、いち早くDNSサーバのIPv6対応を実施している。
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