第5回:CMSによるペルソナドアページと多言語化 - (page 2)

田中猪夫(FatWire)2009年07月03日 10時00分

 ペルソナドアページはケースBでも実証したようにまずコンテンツを読んでいただくことが重要であるが、ヤフー、MSNと同じように正面をクリックすればペルソナコンテンツが読めるようにデザインすることにした。

デザインされたペルソナドアページ ※クリックすると画像が拡大します。

 ところで、我が家の話しで恐縮だが猫が7匹いるため、夏場の毛が生え変わる時期には掃除機が悲鳴を上げる。そこで掃除機を買い換える話しになるのだが、どこをポイントにどんな掃除機を選ぶべきかを判断する情報を持っていない。吸引力?サイクロン?紙パック?吸引口は?省エネ?などなど選択のポイントは?

 我が家は「ペットの多いペルソナ」なのである。子供が小さければ「小さな子供のいるペルソナ」となる。電気屋さんにニーズを話せば親切に教えてくれるのだろうが、事前に自分たちなりの知識があると判断も納得ができ、価格の価値も分かりやすくなる。

 このように、掃除機を購入したいリードに対して製品やサービスの知識などを教えて育てることを「リード・ナーチャリング(nurturing)」(※)と呼んでいる。連載の第2回:マーケティングの「目的・手段」と「ペルソナ」のリード・ジェネレーションの全体マップ(PDF)にはリード・ナーチャリングの手段が列挙されている。

※リード・ナーチャリング(nurturing)とは、展示会やウェブなどで収集したリードをセミナーやメールマガジンで啓蒙・育成するマーケティングプロセスのこと。

 CMSは「どのようにしてCMSを選ぶか」という有料コンサルやセミナーが成り立つマーケットなので、リード・ナーチャリング((nurturing)の機能をペルソナドアページに入れることは大切なことである。CMSの購入はすぐにクリックし買いたい、となることは珍しく、3ヶ月程度の学習期間が必要となる。

 このようにリード・ナーチャリング(nurturing)が必要な商品は、学習するためのコンテンツを充実させた方が良い結果を導くことがある。そこでペルソナドアページでは図2のように正面のコンテンツの下段に「おすすめ情報」としてリード・ナーチャリング(nurturing)ができるようデザインすることにした。

 ペルソナドアページは連載の「第1回:環境研究の手法--景気後退期に重要な3キーワード」で解説したように、米国に本社があるFatWire Softwareの日本法人の試みであるが、ペルソナドアページのドメインの使用許可を得る際に管轄部署などに目的やコンセプトを説明し了解を得た。FatWire Softwareのコーポレートサイトはhttp://www.fatwire.comで、ペルソナドアページは http://cms.fatwire.com となっている。

コーポレートサイト(ブランディング重視)
ペルソナドアページ(リード・ジェネレーションが目的)

 2009年5月7日にロンチしたhttp://cms.fatwire.comは、リード・ジェネレーションの手段としてケースC(ペルソナドアページ)としているが、これを多言語化したものを「グローバル・ペルソナドアページ」と呼び、ケースDとする。

ケースDとは、ケースCのペルソナドアページを多言語化したグローバル・ペルソナドアページのこと。

 ケースCのペルソナドアページの実証実験結果はロンチして間もないために、この連載で解説することができないが、リクエストがあれば個別に面談でお伝えすべきものと考えている。お問い合わせはこちらまで。

 次回は「マーケティングCMSの3つのフェーズとCMO」と題し、ユーザー事例を含めた最終回となる。

FatWire株式会社代表取締役田中猪夫

1959年岐阜県生まれ。1983年、米国ソフトウェアをベースにしたVAR(Value-added reseller)を設立。1990年代、イスラエル製ソフトウェアの日本市場へのマーケットエントリー、および日本からのイスラエルハイテクベンチャー企業への投資事業に尽力。2002年からコンテンツマネジメントの分野へシフト。divine日本法人を経て、2003年、CMSベンダーFatWire Software(Mineola, NY)の日本法人FatWire株式会社の代表取締役に就任。「B to B ECが会社を変える」(技術評論社)など18冊の著書あり。システム工学を専門とする。

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