アマチュアミュージシャンからプロボウリングまで、PR手段に活用される「ホムペ」 - (page 3)

ホムペ版が先行した日本プロボウリング協会の公式サイト

 情報発信にホムペを活用しているのはアーティストや芸能関係者だけではない。企業や団体がホムペを使っている例もある。そうした中の1つとして、魔法のiらんどのホムペでモバイルサイトを展開している、社団法人日本プロボウリング協会(JPBA)の事例を取り上げる。

 JPBAは国内のプロボウラーを統括し、プロボウリングを広めるための活動をしている団体で、1967年に設立された。現在1117名の会員を抱えており、主にプロボウラーの資格認定や、トーナメント戦など各種競技会の開催、そして指導者の養成をしている。

日本プロボウリング協会 日本プロボウリング協会のホムペ。速報とコラムが主体で、PC版よりも先に存在したという

 現在は、独自ドメインでPC向けのホームページを公開している。にもかかわらず、モバイルサイトはホムペのサービスを使っているのだ。その理由について、JPBA事業部の次長である山本浩光氏に尋ねたところ、JPBAの公式サイトはホムペの方が先に存在したのだという答えが返ってきた。

 JPBAのホムペが誕生したのは2000年にさかのぼる。まだJPBAのサイトが存在しなかった当時は、ネットに詳しいプロボウラーが個人で作っていたPCサイトに試合の情報などを掲載してもらっていた。だが選手やファンなどから試合の速報や「誰が今何位くらいなのか」を知りたいという声が多く寄せられたため、携帯電話向けのサイトを開設することを考えたのだそうだ。

 そこで簡単にモバイルサイトを作る方法はないかと検討していたところ、書籍で魔法のiらんどの存在を知り、これを使って速報を主体としたJPBA公式のモバイルサイトを開設した。PC向けの公式サイトを公開したのはその2年後だ。

試合の速報をすぐ、簡単に、無料で提供できる

 JPBAのホムペで提供されている情報は、トーナメントなどが開催されている時の試合速報と、コラムが中心となっている。このほかにもプロテストに関する情報や、大きな試合の特設ページなどが用意されてはいるが、基本的には最初に挙げた2つの情報が主であり、そのスタイルは現在に至るまで変わっていない。

 試合の速報は、1日の試合が終了した後にまとめて更新するのではなく、試合の集計がされる度に随時更新するという、リアルタイムに近い形をとっている。ボウリングの試合は10フレームによる1ゲームが基本となるが、トーナメント戦では3〜4ゲームを3〜4回(シリーズ)行い、シリーズでの得点を競う。スコアは3〜4ゲーム単位で集計するので、試合当日は1回当たりの集計が終わる、およそ2時間おきに更新しているという。

 この更新頻度の高さが、長い間ホムペを利用している大きな要因になっているようだ。PCサイトの管理や運営は専門の企業に委託しているので、すぐ情報を更新してもらうのが難しく、試合の情報を提供しても反映までに半日はかかるという。だがホムペはJPBA自身で管理しており、手軽に更新できる強みがある。

 しかも携帯電話向けなので、場所を選ばず試合の速報を見てもらえる。多くの人にリアルタイムに試合経過を知ってもらえるのもメリットだとしている。事実、試合当日には数千単位のアクセスがあるという。普段はケータイ小説家のホムペがランキング上位を占める魔法のiらんどのホームページランキングでも、試合がある日はJPBAのホムペがトップ10に入る場合が多い。

 プロボウリングの試合はテレビでも放送されているが、キー局の地上波で放送するには放映権料が高いことから、実際に放送されているのはCS放送やBSデジタル放送、試合が開催された地域のローカル局などになるという。CS放送やBSデジタル放送は全国で視聴可能だが、チューナーやアンテナを用意する必要があり、必然的にハードルが高くなる。だが携帯電話であれば多くの人が手軽に見られる。

 JPBAにもコストメリットがある。魔法のiらんどをはじめとしたホムペサービスの大半は無料で利用できるため、情報発信にコストがかからないのだ。ホムペは全国のファンに対し、低コストですぐ情報を発信できる、重要なツールになっているようだ。

 ホムペで速報を見ているユーザーのおよそ8割はボウリングファン、残りの2割はプロボウラーや関係者であるという。掲示板を設けていないため、直接の反響はわからないとしながらも、ホームページアクセスランキングの結果などから多くの人に利用されていることは認知しており、時折関係者などから「更新はまだか」と冗談交じりに催促されることもあるそうだ。

 ホムペをうまく活用しているJPBAだが、モバイルサイトを独自で展開する予定はないのだろうか。山本氏は「今のところ予定はない」と話しており、その大きな要因として人員の少なさを挙げている。現在JPBAの事務局は7名で運営しているため、広報活動やサイトの運営に人を割くのは難しいという。さらに試合当日は、事務員と協力スタッフを合わせたおよそ6人で、ほぼ丸一日中、試合の運営をしている。限られた人員、限られた時間の中で速報をするにはホムペが最も使いやすいのだそうだ。

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