困るのは、多くの人はカルトを好まないことだ。人々はカルトとなると、あのCharles Mansonや大リーグのBoston Red Soxファンなどを連想してしまう。確かに、答など聞かなくてもわかりきったことに思えるかもしれない。しかし、いつ終わるともない熱狂的な説教など、そのまま聞き流してしまう人は多い。しかも、インターネットの発達によって、福音を広くあまねく名も知られずに説くことははるかに簡単になった。
Appleの世界における笑い話を探すにはおそらく最高の情報源となっているサイト、Crazy Apple Rumors Siteの編集者であるJohn Moltz氏は、「スポーツ、政治、宗教など、人々が熱中するものはどれも同じだが、まったくのぼせあがってしまい、『熱心』を通り越して『狂信』になっていると告げてくれる警報装置が頭に備わっていない連中が出てきている」と話す。
しかし、これは二者択一の世界であるがゆえに、エバンジェリストの多くは、自分のMacに対する愛情をMicrosoftに対する憎悪に直結させる。民主党が政権を取っているときには、共和党が民主党を猛烈に攻撃し、立場が変われば、守勢にまわるのと似たようなものだ。Windowsのユーザーは、かつてはMacのことなどほとんど忘れかけていて、初めのうちは、Macユーザーとプラスチック製電子箱に向けるその強い愛情を笑っていたものだ。だがやがて、Appleが市場でシェアを伸ばし始め、そのデザイン力で評価を高めていくにつれて、反撃を開始した。
Moltz氏は2006年、Macユーザーに対する反撃を象徴する存在として「Artie MacStrawman」というキャラクターを作った。これは故意に相手の立場を誇張してより滑稽に見せるという、論戦の一手段である「ストローマン」論法にたとえた命名だ。Macユーザーを批判する人たちの多くは結局、ひとまとめに「クレイジーなApple崇拝者」と断じて片づけてしまうことが多々ある。この論法では、1人のAppleファンが「Steve Jobs氏を絶対的に崇拝」して、「それがたとえどんなに出来の悪いくだらないものでも、Appleの製品であれば無批判に買う」のだから、Appleファンは全員がそうなのだという結論になる。
しかし、正直に言おう。このサイトを含む多くのサイトのディスカッションフォーラムで、われわれはこういう「Apple崇拝者」を実際に目にしている。別のCNET News.com読者Ken Webber氏は、「Windowsユーザーは、Macユーザーが持つ『情熱の激しさ』に嫌気がさしているわけではない。Windowsユーザーは、合理的な思考をしない人間を相手に、筋道の立った議論をしようとすることのどうしようもない不毛さにうんざりするのだ」と語る。
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