カスペルスキーシリーズが日本で本格的に販売されるようになったのは、今から2年前ほど前だが、それ以前から欧米では性能の高い総合セキュリティソフトとして知名度は高く、アンチウイルス分野で権威のある第三者評価機関「AV-Comparatives」でも「ADVANCED+」の評価を受賞し続けている。日本でも、大手のジャストシステムから発売されたことで知名度が急速にアップ。今回の「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」は、そのカスペルスキー製品が大幅に改良された最新版だ。
2006年にジャストシステムから「カスペルスキー インターネット セキュリティ 6.0」が発売され、翌年に「カスペルスキー インターネット セキュリティ 7.0」へバージョンアップ。この間に約2年経ち、インターネットをとりまく環境も大きく様変わりした。特にウイルス作成側の専門化の傾向が高まってきたことが上げられる。たとえば、新たに登場するウイルスには、以前多かったおもしろ半分の愉快犯は減り、フィッシングサイトなどの犯罪グループと高い確率で連携するようになった。この結果、PCのセキュリティを確保するには、より迅速な定義ファイルの更新が欠かせなくなっている。
その点、カスペルスキー製品には、これまでも定義ファイルの更新間隔が他製品より短かいことに定評があり、それが、日本でも約50万人のアクティブユーザーを獲得した裏づけの要因のひとつだろう。では今回、あらたに「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」として大幅にバージョンアップした背景には何があったのだろうか。
具体的なバージョンアップ内容には、ウイルス対策ソフトウェア自身の高速化・効率化がある。これは他のウイルス対策製品でも同様の傾向だが、この2年間でウイルス対策システム自身のエンジンの大幅な見直しが実施されている。ウイルス対策ソフトは、過去に登場した膨大なウイルスを独自のデータベースとして保有し、新しくパソコンに送り込まれるファイル、電子メール、アプリケーションに対して迅速な検知処理を施さなくてはならない。かつ、日々新たな定義ファイルを更新していけば、ウイルス対策システム自身も最適化する必要性が高まるのは無理もない。
特に最近は、常時接続を前提としたパソコンの利用者であっても、CPUの種類や速度、メモリやディスク容量に多様化する傾向がみられる。定義ファイルの更新間隔が短いだけでは、幅広い利用者の支持を獲得するのは難しいのである。「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」では、従来の強みを残しつつ、さらなる改良として、起動時間の短縮、スキャン時間の短縮が図られている。
ジャストシステムの公表値では、起動時間が半分、スキャン時間が約86%と大幅に短縮されている。こうしたベンチマークは評価するPCの環境に影響を受けるため一概にはいえないが、実際に筆者の環境でも、前バージョンを計測後に新バージョンをインストールして実測したところ、起動時間、スキャン時間がそれぞれ半分程度に短縮された印象を受けた。今回のバージョンアップでは、「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」が利用者に体感できるほどの高速化、効率化が行われたことは間違いないといえるだろう。
起動時間(秒) | 2回目以降のスキャン時間(秒) | |
---|---|---|
Kaspersky 2009 | 100 | 50(*) |
Kaspersky 7.0 | 200 | 200(*) |
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