同製品のアピールポイントのひとつには、ウイルス更新データの頻度が短いことがあった。前回の製品レビューでも実際に更新間隔を測定したが、今回も実際に測定してみた。その結果、約30分に1度は何らかの更新が行われていることが判明した。ただし、この定義ファイルについては、補足する必要がある。
まず、以前のバージョンにおける定義ファイルの画面、「カスペルスキー インターネット セキュリティ 7.0」の更新画面を見比べていただきたい。
以前のバージョンではすべての更新が単純に「更新処理」としてまとめられていたため、その「最終更新日」で判断していた。しかし、「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」では更新したデータの内訳が7種類に分けられていることがわかる。この画面から、それぞれの定義ファイルの更新間隔を読み取れるようになったのだ。分類された種類は、以下の7つになる。
たとえば、新しいウイルスが登場した場合、該当する定義ファイルは「マルウェア」のリリース日付が更新されることになる。こうして定義ファイルの種類ごとにリリース日時が表示されることで、利用者は更新対象を確認できる。「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」が定義ファイルを7つに分類した理由は定かではないが、著者は次のように推測している。
PCの安全を確保するのには、単にウイルス対策をするだけで済む時代ではない。PCの利用者がインターネットを使った際に接触する可能性のある、あらゆる脅威対象にセキュリティ対策を講じるべきであり、普段から意識できるよう、それを視覚化させたのだろう。その意味で、7つの分類は意味がある。
総合的なセキュリティ対策製品には、使う側の意識の変化も促すべきだし、それは個人、企業が製品を選択する目安となるだろう。このような表記を「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」が採用したことは、今後の競合するセキュリティ製品にも影響を与えていくと思われる。
実際に定義ファイルの更新状況を10月14日に測定してみたのが下記の表である。10時から12時まで30分間隔で測定した。ウイルスを含む悪意のあるソフトウェア(マルウェア)に対する更新は、約1時間単位で実施されていた。その合間にフィッシングサイト、スパムのデータ更新が行われていた。これにより、定義ファイルの更新は約30分単位で行われていたことがわかる。公表されている約45分間隔で定義ファイルが更新されているのは事実といえるだろう。なお、測定期間が短いことから、疑わしいサイト、ネットワーク攻撃については更新が行われなかった。
10:07 | 10:23 | 10:46 | 11:09 | 11:30 | 12:10 | 12:25 | 16:39 | 17:40 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
マルウェア | 14日 8:50 |
9:55 | - | 10:55 | - | - | 12:00 | 15:55 | 16:52 |
バナー広告 | 13日 15:00 |
- | - | - | - | - | - | 14日 15:00 |
- |
フィッシング サイト |
14日 9:09 |
9:57 | 10:18 | - | 11:08 | 11:24 | - | 15:46 | - | スパム | 14日 9:25 |
- | - | - | - | 11:38 | - | 15:48 | - | 悪意のある スクリプト |
7月8日 2:24 |
- | - | - | - | - | - | 7月8日 2:24 |
7月8日 2:24 |
疑わしいサイト | 14日 8:41 |
- | - | - | - | - | - | - | 14日 8:41 |
ネットワーク攻撃 | 10月11日 0:13 |
- | - | - | - | - | - | - | 10月11日 0:13 |
※2008年10月14日における定義ファイルの更新状況を、表題の時間ごとに読み取った。更新処理の実行スケジュールは初期設定から「カスタム:5分ごと」に変更し、更新された場合、そのリリース時を記載している
定義ファイルの更新間隔が短くなると、その分、ネットワーク環境に応じた設定が求められる。「カスペルスキー インターネット セキュリティ 2009」では、更新間隔を時間、分刻みで設定することが可能だ。たとえば、PCを常時インターネット接続している利用者には、更新間隔を分刻みで設定することも可能だ。通信環境が安定しないモバイル利用者なら、この更新間隔を手動にすれば、作業の利便性を妨げることはない。パソコンの性能を最大限に引き出したいパワーユーザー向きの製品といえる。
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