7月1日、ネイバージャパンの検索サービス「NAVER」がサービス開始から1周年を迎えた。韓国から2度目の上陸となる現在のNAVERは確実に日本市場に存在感を示したようだ。
ネイバージャパンの自主調査によれば、6月の月間ユニークユーザー(UU)数は586万人、月間ページビュー(PV)数は6318万人。どちらもサービス開始当初から20倍以上の成長を達成した。なお、この数値はPCとモバイルからのアクセス数の合計値で、検索エンジンのクローラー、社内からのアクセスは除いている。
アクセスの多くは、ユーザー自身が検索結果を作る「NAVERまとめ」が占めているという。2009年9月から実施したキャンペーン「おまとめマン」により、まとめコンテンツが増加し、翌年にUUが跳ね上がる要因となった。またこの時期から「NAVER=まとめ」という認知も広がっていった。
2010年初頭はPVが急上昇した。これは調査会社ネットレイティングスがNAVERの好調を伝えるリリースを発表したことによる。多くのニュースに取り上げられ、Yahoo! トピックスにも掲載された。ただ珍しいことに、NAVERならのPVは一時的な増加にとどまらず、その後も上昇し続けた。
4月に親会社のNHN Japanがライブドアを買収した際にもNAVERのPVは増加した。6月にはポータルサイト「livedoor」に画像検索を提供し、さらに利用者が伸びていると見られる。
とはいえ、事業戦略室室長の舛田淳氏はPVは指標として重視していないという。「常にどれだけページ遷移を減らせるかを考えている。たとえば画像検索はスクロールして閲覧できるため、どんなに見ても1PVのまま。通常の事業者で考えれば、ページを分けたくなるところだが、NAVERはどんどんシンプルにしていく」
1年間に投稿されたNAVERまとめは180万件にのぼる。種別では画像集やリンク集が合計で80%を占めた。ジャンル別ではエンターテインメント(主に人物)が多かったものの、マネーや医療などの専門的な分野は弱かった。今後は専門サイトとの連携も検討しているという。さらにまとめコンテンツをNAVER内だけに閉ざすことなく、ほかのサイトにも提供していく方針だ。「NAVERまとめ自体のオープン化を進めたい」と舛田氏は話す。
180万件ものまとめコンテンツが生まれるきっかけを作ったのが、おまとめマンキャンペーンである。TwitterでNAVERのアカウントにまとめて欲しいテーマを投げかけたり、ハッシュタグ「#matome」を付けてつぶやくと、おまとめマンというキャラクターがまとめコンテンツを作ってくれるというものだ。
その後はまとめを作る常連ユーザーも現れた。まとめタイトルを工夫したり、時事的なネタをいち早くまとめたりと、人気のまとめコンテンツを次々に作り出す。下のNAVERまとめ年間人気ランキングにはそのような常連ユーザーの作品がいくつか入っているという。
アクセス数ランキング1位の「【コーヒー】テレビ番組のネ申テロップ【吹いた】」は400万近いアクセスがあったという。NAVERにまとめを作れば多くの人に見られ、コメントがつくため、ユーザーのモチベーションも高いという。
NAVERのTwitterアカウントの運用を担当している金子智美氏は、「オープン時は『こんなまとめある?』って聞かれたときに、ほとんどなかった。それが今は探せば何かしらある状態になった。1年前とだいぶ変わった」と話す。
金子氏がTwitterのNAVERアカウントで1年間につぶやいた件数は約1万4000以上。ユーザーからの問い合わせに答えたり、「NAVER」や「ネイバー」というキーワードに反応したり、ユーザーとのコミュニケーションツールにTwitterをフル活用した。
Twitterユーザーが投稿した、NAVERに関連するつぶやきは1年間で7万件以上あったという。これらは毎日ネイバージャパン社内でトラックされ、社員に共有され、サービスの改善が必要であれば即検討される仕組みになっている。NAVERが1年間に実施した改善は1271件。そのなかにはTwitterから寄せられた7万件の意見が多く反映されているという。
「Twitterがこんなにも影響力、得るものが大きいとは思っていなかった。ユーザーさんをはじめ、ネットに関わるいろいろな人たちと深くコミュニケーションできるのは嬉しい驚きだった。次の課題はNAVERらしい丁寧らしさを失わず、1万近くの人とどれだけ親近感もってもらえるか。ユーザーさんの声をちゃんと拾って、見るだけ終わらないようにしたい」(金子氏)
2010年はオンラインストレージ「Nドライブ」やマイクロブログサービス「pick」のような検索以外の製品を公開した。「NAVERは本当に検索の会社なのか?」と思われがちだが、これはキャッチフレーズである「探しあう検索」を実現するための一歩だった。ユーザーの行動自体がコンテンツを作り、それがまた検索結果としてユーザーの手元に戻る。そうしたサイクルを作り出すために各種ツールを無料で公開した。
次の1年はサービス品質の向上を追求し、検索サービス、NAVERまとめ、pick、Nドライブをより進化させていくという。ライブドアとの協業もいくつかのプロジェクトが進行しているそうだ。
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