最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

ストレスのないセキュアな動画配信を実現する

動画の配信には、より多くの環境に対応すること、そしてストレスのないセキュアな配信が求められる。マイクロソフトの新しい動画プレーヤ「Silverlight」と配信システム「IIS7」は、これらの問題をクリアしたという。

ユーザー・エクスペリエンスを向上する「Silverlight」

マイクロソフト株式会社
デベロッパー&プラットフォーム統括本部 UXテクノロジー推進部 エバンジェリスト リード
春日井良隆氏

 第三回となる本稿では、マイクロソフト株式会社 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 UXテクノロジー推進部 エバンジェリスト リードである春日井良隆氏による講演「Silverlight 3とIIS Media Servicesが提供するメディア配信、そしてDRM」の内容を紹介する。

 この講演はサービス寄りではなく、技術よりの話になると前置きした春日井氏はまず、「クラウド」と「ユーザー・エクスペリエンス」が今後のアプリケーションの傾向であると述べた。クラウドはデータセンターをインターネット上に配置し、インターネット経由でアプリケーションを利用するというもの。ユーザー・エクスペリエンスは、心地よさや気持ちよさ、直感的で使いやすい操作感といった体験をユーザーに提供するというものだ。これに対応するユーザー側の技術が「Silverlight」であり、クラウド側の技術が「Windows Azure」であるという。ただしWindows Azureは開発中であり、現在は「Internet Information Services 7.0(IIS7)」を使用することになる。

 Silverlightは現在、ウェブブラウザ用のプラグインとして無償提供されている。このためWindowsだけでなくMac OS環境でも使用できるほか、さまざまなブラウザで使用できる。動画配信サイト「GyaO」の運営がUSENからYahoo!に変わったことでMac OSでも動画を見られるようになったが、これは「GyaO」にSilverlightを導入したためだという。パソコンに限らず、携帯端末などで利用できることも特徴だ。また、C#やVBなどの現在一般的に使用されている開発言語をそのまま使用できること、ウェブで動画を公開する場合のインタフェースの自由度が高いことなどもSilverlightのポイントだ。

 メディア機能としては、H.264やAACを含む音楽やビデオの再生はもちろん、インタラクティブなメディアの再生が可能で、プレーヤのすぐ横にマウスオーバーで追加情報を表示するような広告を掲載することも可能だ。デジタル著作権管理(DRM)にも対応する。また、サードパーティのCODECに対応するため、デフォルトでは非対応のフォーマットでもサードパーティがSilverlight用のCODECを提供すれば再生可能となる。さらに、タイムラインマーカーによる同期機能を搭載し、これにより任意のタイミングで字幕や広告を表示できる。

高品質な動画を柔軟に配信する「IIS7」

 動画を配信する側となるIIS7は、Windows Server 2008シリーズに搭載されるウェブサーバーだ。また、IIS7の拡張機能として「IIS Media Services」が用意されており、快適な動画を提供するために「Smooth Streaming」および「Live Smooth Streaming」という機能を装備している。Smooth Streaming機能は、動画を再生する際にパソコンのCPU負荷や接続環境のトラフィックに応じて映像品質をリアルタイムで調整するというもの。また、Live Smooth Streamingはキャッシュが可能なHTTP通信によるライブ中継用の機能。これによりライブ配信時でも映像が滞ることなく再生でき、巻き戻しや追っかけ再生も可能としている。

 IIS7の導入事例として、「ひかりTV」のJリーグサイトとソースネクスト「超字幕」のプロモーションサイトが紹介された。ひかりTVでは、動画のメタデータを検索に利用し、特定のチームや特定の選手の特定のシーンを素早く再生できるようにした。例えば、浦和レッズ高原選手のゴールシーンなどを素早くリストアップし閲覧することができる。超字幕のサイトでは、実際にソフトを使用したときのイメージ映像に活用されており、タイムラインに同期して字幕を表示している。なお、字幕は多言語対応となっている。

 さらに、動画の有料配信などをする際に重要なDRMについての説明もあった。DRMでは、暗号化により保護されたメディアファイルを再生する際に、ライセンスサーバーから暗号を解除する鍵が発行される。従来の「Windows Media DRM」はライセンスサーバーとして「Windows Media Rights Manager」が鍵を発行するが、Silverlightで使用される「Silverlight DRM」では「PlayReady Server」がこれを行う。IISではWindows Media DRMとSilverlight DRMの共存が可能なため、双方の鍵管理が可能となる。これらのことから、IIS7を使用することで配信インフラを安価に構築することができる。なお、将来的にはASPによる提供も考えているという。

 春日井氏は続いて、Internet Explorer 8(IE8)のRIAについて紹介した。これはIE8のユーザー・エクスペリエンスを高めるもので、Silverlightの再生画面を3軸で回転させる疑似3Dやさまざまなエフェクトを実演し、さらに読み上げ機能や文字サイズの変更などアクセシビリティ機能も実現していると述べた。ブラウザを起動することなくSilverlightの動画を再生する「Out of Browser」機能も紹介した。これはライブを含む動画をデスクトップアプリケーションのように扱うことができる。最後に春日井氏は、GyaOがYahoo!に変わりSilverlightを採用したことで、3カ月でGyaOのユーザーの7割がSilverlightをインストールしたことを挙げ、今後もユーザーが増えていくようさまざまなサービスを提供していくとまとめた。

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