企業サイトにおける動画マーケティング施策
単発のキャンペーンでは、顧客ライフサイクルの「ブランディング」にしか効果がない。すべてのフェーズで効果を上げるには、自社サイトとソーシャルメディアの両軸での動画活用が有効だとJストリームの竹見氏は言う。
動画を顧客ライフサイクルのすべてに活用し効果を上げる
9月17日、ベルサール神保町においてCNETの主催による「ネットで考える、映像戦略」セミナーが開催された。このセミナーでは、効果的なマーケティングツールやビジネス戦略としての映像戦略について、主要プレイヤーがセッションを行った。今回は、株式会社Jストリーム 事業推進部部長である竹見嘉洋氏による講演「メディアとしての企業サイトにおける映像を活用した戦略的マーケティング施策」の内容を紹介する。
Jストリームは、1997年に日本で最初のネット動画配信専業会社として誕生し、以降ネット動画をはじめとするリッチコンテンツに関して日本の業界を牽引している。事業展開に必要なリッチコンテンツの企画から制作、配信インフラの提供、効果検証までをワンストップで提供していることが特徴だ。竹見氏はまず、「顧客ライフサイクルとオンラインマーケティング」として、「ブランディング」「興味・検討」「評価」「購入」「ロイヤリティ」のサイクルを示した。多くの企業は販促にキャンペーンを行うが、従来の手法ではブランディングのみにとどまってしまうという。
そこで重要なことは、自社メディアとソーシャルメディアの両軸を活用することだ。自社メディアはユーザーの行き着く先として重要であるし、ソーシャルメディアはキャンペーンだけでなく興味・検討、評価も行われるためだ。同社は顧客ライフサイクルのそれぞれのフェーズにおいて動画を活用し、どのようなメディアが最適なのかを比較検討しながらROIを実現するソリューションを提供している。
続いて竹見氏は、4種類の事例を紹介した。企業サイト内にCMライブラリーを公開する事例は、アサヒビールや東京ガスが採用している。すべてのCMを公開することは、すべての商品を紹介することになるため訴求力が高い。また、アサヒビールでは商品ブランドごとにスペシャルページを用意し、東京ガスではオリジナルキャラクターをベースにした動画サイトを用意することでブランドを高めるとともに興味やリーチを広げている。
動画サイトの構築に有効なオンライン動画プラットフォーム
販売促進の事例では、まず海外のメーカーKOHLERとサン・マイクロシステムズが紹介された。商品ごとに、それがどのような商品であるかを説明する動画が用意されている。サン・マイクロシステムズではカスタマーインタビューやイベントの紹介なども動画で紹介しており、ユーザーの興味から評価の面でも有効で購入につながるものとしている。さらにソニー・ミュージックではトップページを販促ページと位置付け、Flashプレーヤを配置してアーティストの紹介やプロモーションビデオを閲覧できるようにしている。ここからダウンロードなど購入につなげる狙いだ。
楽天においても、商品ページにその商品の使い方などを紹介する動画を配置している。これは商品の訴求力を高めるだけでなく、問い合わせを減らすことでサポートの負荷を軽減する効果もあるという。イベントやメディアでの事例では、TBSテレビ「世界陸上」サイトでのCM動画や、MXテレビのニュース動画を紹介、CM動画は広告モデルとして、商品バナーとともにサイトに表示される。最後には教育機関として、広尾学園とRISDのサイトが紹介された。広尾学園では行内行事の模様や授業風景などを動画で紹介しており、美術学校であるRISDはアーティスト達のメッセージを動画で公開している。
これらの事例のような動画サイトを構築するための施策として、「オンライン動画プラットフォーム」というサービスが評価され始めている。これらのサービスでは、動画を容易にアップロードできるほか、コメントなどの掲載やプレーヤのカスタマイズが可能で、バイラル共有やバイラル配布を可能にするコミュニティの構築も可能だ。もちろん効果測定のための分析機能も搭載する。Jストリームで扱っているのは、「brightcove」という米国発のサービスだ。完全日本語化されたSaaS形式のサービスとなっており、導入した翌日にサイトを公開することも可能だという。
前述したオンライン動画プラットフォームの機能をすべて搭載し、ビギナーからプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応する。SaaS形式のため、あらかじめ専用サーバーをはじめとするシステム構築の必要がなく、また動画の差し替えも容易なため最適なマーケティング効果を得ることができる。さらに、同社の「MobaVio」と連携することで、動画を携帯3キャリア向けに自動変換して配信することも可能だ。効果測定においては基本機能のほか、Google AnalyticsやOmnitureのSiteCatalystとも連携できる。1カ月間の無料トライアルも実施しているため、ぜひ試して欲しいとして竹見氏は講演を締めくくった。
セミナーレポート
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