最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

長いブランド接触時間を実現するYouTubeプロモーションとは

動画を活用したプロモーションが効果を上げている。その舞台となっているのは「YouTube」。ここではYouTubeの牧野友衛氏と朝日インタラクティブの西田隆一氏が、YouTubeを活用したプロモーションの事例と手法を紹介する。

アクションに至る可能性の高いユーザーが多いYouTube

グーグル株式会社 YouTube営業部長 牧野友衛氏

 9月17日、ベルサール神保町においてCNETの主催による「ネットで考える、映像戦略」セミナーが開催された。このセミナーでは、効果的なマーケティングツールやビジネス戦略としての映像戦略について、主要プレイヤーがセッションを行った。今回は、グーグル株式会社 YouTube営業部長である牧野友衛氏と朝日インタラクティブ株式会社 編集統括である西田隆一氏による基調セッション「プロモーション事例から見る、映像戦略の仕掛けかた」の内容を紹介する。

 2006年にサービスが開始されたYouTubeは、現在はGoogleの傘下となっている。世界23カ国でサービス展開しており、毎月3億人が利用している。1分あたりにアップロードされる動画は20時間以上であり、現在YouTube上にあるすべての動画を見るには2000年かかるという。また、毎月1000万ページのウェブサイトで埋め込み動画が再生されている。YouTubeは現在、世界で最も利用されている動画共有サイトなのだ。そして、日本は米国に次いで世界で2番目に利用者数が多いという。

 日本においてはPV順で5番目に大きなサイトであり、またエンターテインメントカテゴリーでは利用者数、PV数ともに1位となっている。一カ月あたりの利用者数は約2238万人、PVは約25.13億、1人あたりの利用時間は1時間37分になるという。利用者属性では男性6割、女性4割であり、30代が26.7%と最も多く、20代(20.6%)、40代(19.7%)と続く。また、29.2%のユーザーがYouTubeで広告をクリックしウェブサイトを訪問するなど、アクションに至る可能性の高いユーザーが多いことが特徴だ。映画関連動画の場合、視聴後に60.8%がオフィシャルサイトにアクセスし、44.4%は実際に映画館へ足を運んだというデータも紹介された。

 これらのことから、YouTube上でのプロモーションは非常に有効であると牧野氏は言う。さらに、パソコンをはじめ携帯電話や携帯型ゲーム機、家庭用ゲーム機など、さまざまな機器で動画を再生できることもYouTubeの強みである。ユーザーがアップロードした動画は、それぞれの機器に対応したフォーマットに自動的に変換されるため、視聴する側の環境を意識する必要がない。また、新たに高画質なHD(720p)の動画に対応し、アップロードできる動画の容量も、従来の1GBから2GBに拡大した。大容量化は今後も状況を見て対応していくという。

動画によるプロモーションの効果とは

 YouTubeに動画をアップロードすると、再生用のページが生成され、アカウントにひもづいたチャンネルができる。ここに動画をたくさん上げることで、YouTube内に企業の公式サイト、ブランドチャンネルを作成できる。企業がプロモーションとしてブランドチャンネルを作成する場合はテレビCMの動画を流用するだけでなく、オリジナルの動画やYouTubeで著名な動画クリエーターとコラボレートした動画を上げるという動きも多くなっているという。

 また、ブランドチャンネルには「動画レスポンス」という機能があり、はじめにアップされた動画へのユーザーからのコメントに対し、動画でコメントを返すことが可能だ。この機能は、トヨタの「iQ」という自動車のプロモーションサイトで活用され、多くのユーザーを何度も訪問させることに成功している。さらに「アノテーション」という、動画の中に別の動画へのリンクを最大9個まで入れられる機能もあり、サムソンではこの機能をストーリーの分岐に活用している。このほか、動画に字幕を表示させる機能もあり、字幕の自動翻訳機能も装備している。

 企業側が動画を紹介するだけでなく、ユーザー側から手軽に動画をアップロードできることを活用したプロモーション手法もある。ロッテの「Fit's」ダンスコンテストがそれで、実に約1700件の動画が投稿された。再生回数は約1427万回にも及んだ。最後に効果測定ツール「YouTubeインサイト」が紹介された。YouTubeにアップロードした動画に対し、再生回数や閲覧者の経路、評価などをリアルタイムで確認できる。さらに、9月のアップデートによってモバイルでの経路解析や、全体の解析データをCSVファイルとしてダウンロードできるようになり、さらなるデータの分析や活用が可能になった。

 後半は、西田氏からの質問に牧野氏が答えるスタイルとなった。実際のプロモーション効果についての質問に、牧野氏はロッテのケースのデータを示した。最終的に商品を購入したユーザーは、テレビCMのみに接触した場合は44%だったが、ネットのダンス動画のみに接触した場合は61%、両方に接触した場合は75%と、動画の効果が高く現れていた。また、どんな動画を作るべきかという質問については、必ずしもプロ並みの映像は必要なく、インパクトと継続的にアップできることが重要であるとした。ユーザーに見てもらうための努力は検索に近い考え方で、わかりやすいタイトルや概要テキスト、タグ付けがポイントだという。最後に、YouTubeを利用するメリットについて、すでに多くのユーザーが集まりコミュニティもある点や、ブランド接触の時間を長くできる点を挙げた。

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