イベントに登壇したChen氏や田野氏、今回初来日というProduct Marketing ManagerのVincent Tsai(蔡 孟儒)氏に、単独で話を聞く機会を得た。日本市場をどう捉え、今後どう展開していくのか聞いた。
――まずは、2017年のテーマについて補足してほしい。2016年はNASのAをAttachedではなく、Applicationに再定義したいという内容で比較的分かりやすかった。今年は、「ビジネス成長の加速(Accelerate)」「シームレスな接続(Connnect)」「デジタルアセットの保護(Secure)」の3つとなっている。ビジネスユースのエンドユーザーに具体的にどんな変化をもたらすのか。
今年の3つのテーマは、昨年のテーマの延長上であり矛盾する内容ではない。ビジネス成長の加速(Accelerate)は、例えばSynologyのアプリケーションの活用だ。
プロダクトを共有する複数のユーザーで、コラボレーションツールとして利用することで業務の生産性を向上する。進行中の業務に対して、関係者がドキュメントをメールの添付ファイルで往復させるのではなく、関係者全員がネットワーク上のドキュメントに同時にアクセスして閲覧、編集できるのでスムーズだ。しかもGoogleDriveなどのパブリッククラウドではなくプライベートクラウドなのでセキュリティも担保する。
シームレスな接続(Connnect)は、ユーザーをいかに世界に繋げるかだ。AとBのデバイスをきちんとブリッジして、データを安全で便利にやり取りできるようにする。
デジタルアセットの保護(Secure)は、2つの意味がある。1つはAccelerateでも触れたが、外部の悪意ある攻撃者から守る安全面。社内にセキュリティー即応チーム「PSIRT」を組織し、米国MITRE社からも評価されてCNAに認定されるなど、脆弱性に対して万全の体制をとっている。もう1つはハードウェアの故障や操作ミスによるデータの喪失を防ぐバックアップだ。「Active Backup」や「Snapshot Repication」などのソリューションを用意している。
――Synologyのデバイスやサービスを利用してソリューション解決を図っている具体例を挙げて欲しい。
例えば、台湾にある日産自動車の販売代理店では、Synologyのチャット機能を使っている。かなり大規模なセールスチームだが、セールスマネージャーがプライスブックに何か変更が発生したときに、チャットでそれをみんなに一斉に発信できる。WhatsUpやLINEでもできると思うかもしれないが、プライベートクラウドなので外部に漏洩する心配がない。
また、映画「シンゴジラ」を制作した白組など、世界の大手CG制作会社でCGシーンをスピーディにレンダリングするために、当社のオールFlashアレイが使われている。
台湾の大手テレコム企業では、当社のNASを使ってADショップの監視カメラを管理している。そこでは支店が80店舗ほどあるが、監視カメラのデータを1カ月間はローカルで格納し、半年ごとにネットワークに保管するという使い方をしている。
他にも、航空業、宿泊業、政府機関、金融業、ヘルスケア業、貿易業、教育産業、マルチメディア、さまざまな業種に顧客がいる。
ただ、顧客を広げていくのは時間が掛かる。今回のイベントも、Synologyというブランドを知ってもらい、信頼してもらうための一環だ。
――日本人がSynologyに注目しそうな、目を引く話題はあるか?
たとえば、DS216jは日本での販売が好調で、アジアでナンバーワンの売上だ。amazon.co.jpでもKakaku.comでもNASの1位を獲得し、ベストセラーになった。
7月に実施した「Amazon Prime Day」に、このDS216jを20%オフセールで500台出品したが、なんと開始直後の2分で完売してしまった。これほど瞬時に売れた市場は日本だけだ。DS216jはコンシューマー向け製品だが「たった2分で完売」は大変インパクトがあると思う。
――アメリカの市場、ヨーロッパの市場、日本の市場を比較した場合、どういう違いを感じるか?
日本のNASやストレージ市場では、バッファローやアイ・オー・データ機器などがシェアを握っているが、彼らは欧米にはほとんど輸出していない。当社は欧米ではWestanDigitalやDellやIBMと戦ってシェアを伸ばしており、地域や市場ごとの特性を汲み取ることに長けている。今後、日本でも同様に戦えると思っている。
必要なのは先程も言ったがブランド認知だ。顧客訪問し、導入事例をもっと作り、広報活動をして、今回のようなユーザーイベントをもっと頻繁に開催する。
ユーザーイベントは顧客の声を直に聴ける良い機会だ。日本のユーザーには、機能リクエストや使い勝手などでさまざまなフィードバックをいただいている。非常に助かっており御礼を言いたい。今後は日本市場にも、もっとリソースを投入するし、新しい機能や製品も提供していく。
究極的には日本の多くのユーザーが、「NAS」や「ストレージ」と耳にした時にSynologyの名前が自然に頭に浮かぶ状態を目指したい。
最後にネットワークビデオレコーダーの「NVR1218」とオプションで10GbEとM.2 SATA SSDをサポートする、同社初の6ベイタワー型NAS「Ds3018xs」の概要とスペックを紹介する。いずれも発売済み。
NVR1218は、CPUにデュアルコアのEmbedded NVR SoC(通常4Gバイト1GHz)を採用。メモリはDDR3 1Gバイト、ストレージはRAIDタイプによって異なるが最大70TBまで搭載可能。ドライブベイは2基(最大7基)、互換性のあるドライブタイプは3.5インチSATA HDDとなる。
USB 2.0×2、USB3.0×1、eSATA×1、COMポート×1、HDMI出力(1080p 60Hz)、ギガビットRJ45(有線LAN)×1などを搭載。本体サイズは幅100mm×奥行き225.5mm×高さ165mm、重量は0.9kg。価格は3万6500円(11月9日付けAmazon.co.jp価格)。
Ds3018xsは、内部ドライブベイを消費せずに、SSDキャッシュによる超高性能を実現するための、デュアルM.2 SATA SSDアダプターカード(M2D17)に対応したPCIe.スロットや、AES-NI暗号化エンジンをもつIntel Pentium D1508デュアルコア2.2GHz(2.6Ghzまでのターボブースト)プロセッサを搭載する。
サイズは、高さ166mm×幅282mm×奥行き243mm。重量は、5.2kg。実勢価格は、17万694円(11月9日付けAmazon.co.jp価格)。
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