小栗氏: 難しいですね。……抽象的になりますが、私にとってマーケティングとは、「ターゲットにひっかかるフックを探す業務」だと思っています。フックは、商品企画に生かされていたり、コピーに生かされたりするものです。またフックがお客様の心に引っかからなければ、商品を買っていただけません。こうした意味で、マーケティング業務はお客様の心にかかるフックを見つけるプロセスだと考えているのです。
小栗氏: ターゲットをイメージすることです。これはマーケターにとって非常に重要な業務です。単に「40代女性向け」だけでは何も浮かびませんが、「どのような日常生活を送っているのか」「何を好んでいるのか」「健康上の悩みは何か」などのイメージがあれば、自然と引っかかるフックが出てきますし、印象に残る確率も高くなります。そして、具体像をイメージできるかどうかが企画の肝で、その裏付けとしてデータが重要になってくるのです。
小栗氏: データとは、何かをやった「結果」であり、自分たちの現状や施策の結果を把握するために欠かせないものだと考えています。例えば新商品を開発する時には、当然ながら過去の実績から売上予測・目標を立てますよね。そして、その目標に沿ったマーケティングアプローチを考えていくわけですが、売りたい数が、例えば「ローション1万本」と「ローション5万本」では、戦略もまったく異なってきます。ところがデータがあれば、まず既存顧客市場の販売予測が立てやすくなりますし、実際にかなり正確に予測できます。これでベースを整えておくと、その後のプランニングが俄然やりやすくなります。何もないところから地図を書くことはブレ幅が大きくなりますが、ある程度のベースができていれば地図を書くのはそれほど難しいことではありません。いわばデータは「道しるべ」です。
小栗氏: はい、大きく変わりました。数字が見えているのと見えていないのとでは、天と地ほども違います。先ほども申し上げましたが、知らない場所を進む際に地図があるかないかほども違うんです。またIT部門の方も、これまでは多忙な中でデータ抽出作業をやっていましたが、今はマーケティングの方で自由自在に分析できるため、本来の業務に注力できるようになり、非常に良い流れができています。
小栗氏: 今、お客様とやり取りさせていただいた時の言葉をどのように取り込むかが課題になっています。右脳的なアプローチを、左脳的な仕組みに取り込むというイメージですね。今考えているのは、コンサルテーションシートを利用し、お客様の課題解決に向けたコンサルティングを標準化していくことと、そのデータを何らかの形で取り込んでいくこと。弊社はもともと食品からスタートしており、添加物のない安全・健康に良い食材やサプリ、化粧品を提供していますが、将来的にはこれを拡大して介護サービスや食生活コンサルティングなどにも生かしていきたいと考えています。そういう新しい分野に言葉やデータを生かしていければいいな、と思っています。
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