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電気料金20年間無料の「フリーエネルギーハウス」多治見市に登場--電気料金から町おこし

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一般的な2階建て住宅で20年電気料金ゼロを実現する仕組み

 岐阜県多治見市に20年間電気代が無料になる家「フリーエネルギーハウス」が登場した。手掛けたのは、地元で電力サービス「たじみ電力」などを提供するエネファント。電気代0円の暮らしを提案する。

第1棟目となる「フリーエネルギーハウス」。敷地面積33.17坪、延床面積29.25坪の2LDK+ウォークインクローゼットが2つ
第1棟目となる「フリーエネルギーハウス」。敷地面積33.17坪、延床面積29.25坪の2LDK+ウォークインクローゼットが2つ
白と木目を基調にした室内の様子。「フリーエネルギーハウス」をイメージしたデザインだという
白と木目を基調にした室内の様子。「フリーエネルギーハウス」をイメージしたデザインだという

 フリーエネルギーハウスは、岐阜県多治見市滝呂町に建てられた新築一戸建て。33.17坪の敷地内に17畳のリビングと10.5畳、7.3畳のベッドルームを備え、ウォークインクローゼットは2つ用意する。一見すると一般的な2階建て住宅だが、屋根にはパナソニック製の太陽光パネルモジュール「HITP252アルファプラス VBHN252WJ01」が設置され、自宅内には蓄電池「創畜連携システム LJB1156+LJPB21A」を搭載。屋外には「エコキュート HE-NS46JQS」を備えるオール電化ハウスだ。

ウォークインクローゼットの近くに設置されていた蓄電池
ウォークインクローゼットの近くに設置されていた蓄電池

 エネファントによると、オール電化ハウスの1カ月における電気料金は約1万4200円。フリーエネルギーハウスでは、遠隔監視費、保守管理費となる月額2980円を支払うだけで、20年間電気代無料で暮らせる。これは20年分の電気代445万円が浮く計算だ。

 使用する電気は、太陽光パネルからの発電に加え、夜間などは蓄電池に貯めた電力を使用。加えて電柱からの電気を組み合わせることで、天候や時間帯に左右されず、安定した電力の供給を実現する。太陽光パネル、蓄電池、電気給湯器はインターネットに接続することで、エネファントの監視システムとつながり、遠隔での見守り、サポートを実現する。

 フリーエネルギーハウスでは、これらのシステムを組み込み、2780万円で販売。「近隣の建売戸建てに比べ、若干コンパクトではあるが、平均的な販売価格」と、建設を担った愛岐木材住建 代表取締役社長の大木規史氏は説明。総額450万円程度になる太陽光パネルや蓄電池、電気給湯器といった機器の価格を含めていることからも、かなり買い得感があることがわかる。

 「20年間電気代がかからず暮らせるのは、住まう人の大きなメリット。多治見市にきてくれれば、電気代がかからず、家計の負担も軽くなる。電気給湯器や蓄電池などは壊れたりすると生活に支障が出るばかりか、修理費も必要になるが、フリーエネルギーハウスでは、遠隔サポートし続けることで、異常を検知するとスタッフがサポートする仕組みを構築している。20年間はメンテナンスもフリー」(エネファント 代表取締役の磯崎(漢字は立の崎)顕三氏)と安心、安全に暮らせる仕組みを整える。

 エネファントは、たじみ電力として多治見市を中心に個人、法人向けの電力供給事業を展開。太陽光パネルを使った再生可能エネルギーを中心に、現状よりも安い価格での料金設定を提案する。フリーエネルギーハウスには、ここで培った電力の最適化技術を注ぎ込み、電気料金の低価格を追求。「電気の仕入れ価格は30分ごとに変動し、価格幅は7〜35円と大きい。電力供給するときに再生可能エネルギーなのか、通常の電力なのか、どれを使ってもらうと一番安く提供できるかをデータ化し、アルゴリズムを組み上げている。こうしたシステムがあるからこそ、今回の20年間電気料金無料が実現できた」(磯崎氏)と背景を話す。

 目指すのは「電気料金を安くすることで、多治見市に住みたいと思う人を増やすこと」(磯崎氏)と、電気料金から町おこしを推進する。地元の住宅メーカーである愛岐木材住建は、こうした思いに賛同し、フリーエネルギーハウスの建設を担当。すでに、ゼロ・エネルギーハウスやオール電化を手掛けてきたこともあり、積み上げてきたノウハウを建設時に役立てる。

 愛岐木材住建の大木氏は「日本一電気料金が安い町づくり、電気代が無料になる家づくりができるお話をいただいた。夢のような話だと思ったが、こんな事業に一緒に取り組めたら幸せだと思い、すぐにやりましょうとお返事させていただいた。家を建てる時は住宅ローンを組むなど、お金の工面が大変。その中で電気代の支払負担をなくせるというポイントは大きなインパクトがある。夢のような話が現実に向かってきて大変楽しみにしている」と磯崎氏と思いをともにする。

電気料金が安くなる町のOSを作る

 買電コストと初期コストが必要になるフリーエネルギーハウスだが、建設を担う地域工務店から広告収入を得ることで収益を確保。これに加え、月額2980円の基本料金と太陽光の売電が収入になる。「正直、儲かるというよりは厳しいビジネスモデル。無料期間も15年程度でやっとというイメージだったが、この家を購入するのは30〜40代の子育て世代がメインターゲット。そう考えたときに、お子さんにお金がかかる時期はやはり20年程度だろうと。そのあたりを考慮して、20年間を打ち出した」(磯崎氏)と明かす。

 「日本一暑い町」としても知られる多治見市は、太陽光パネルの発電量も期待できるような気がしてしまうが「太陽光パネルは温度上昇に弱く、温度が上がると発電効率が下がってしまう」(パナソニック ライフソリューションズ社中部電材営業部名古屋電材営業所電材営業ニ課主務の上田雄介氏)と課題も抱える。しかし、フリーエネルギーハウスでは、温度上昇に耐えるパナソニックの「HIT」を採用することで、発電効率を確保。停電時でも使える創蓄連携システムや、センサーが人の入退出を感知して設定温度を切り替える「ひとセンサー」を備えた「エコキュート」などを導入することで、エネルギー消費を抑え、効率的に電気を使う仕組みをそろえる。

ドアフォンから、給湯器など各家電のコントロールはリビングの壁に集約されていた
ドアフォンから、給湯器など各家電のコントロールはリビングの壁に集約されていた

 「パナソニック製の太陽光パネルが一番いいと思い、本日までほぼ浮気をすることなく使ってきた。低価格の製品で同様のシステムを組み上げることは簡単だが、20年間分の電気をお客様から預かるフリーエネルギーハウスは、信頼が第一。そこを考慮して設計している」とのこと。このほか室内にはLED照明や全自動食器洗い乾燥機、システムキッチンなど、パナソニック製が並ぶ。

 エネファントが見据えるのは「日本一電気料金の安い町」を目指すこと。この取り組みは多治見市長の古川雅典氏も「人口が緩やかに減少していく中、20年間電気料金がただというのは、多治見市に定住してもらう人を増やす施策として素晴らしいし、インパクトがある。全面的に応援していく」と後押しする。

 フリーエネルギーハウスは、現在も着工が進んでおり、2020年度中に10棟の建設を予定。その後は2021年度に40棟、2022年度には60棟以上の建設を目指す。「20年後以降に関しては、そのまま機器を使い、たじみ電力を使っていただくことを想定しているが、中部電力と契約することも可能」と選択肢を残す。「地域の建設会社とともに、地域の暮らしを盛り上げていきたい。フリーエネルギーハウスのエネルギーの使い方を大きく広げ、それを町のOSにすることで、日本一電気代の安い町を作る。フリーエネルギーハウスはそのパーツの1つ。多治見市でいいと受け入れられたものはいろんな町で使ってもらいたいので、多治見以外での展開も考えている。地域としっかりと向き合いながら、地に足をつけながらこの事業に取り組んでいきたい」と磯崎氏は今後を着実に描く。

 日本一電気代の安い町づくりは、エネファントの強い思いと、その思いに寄り添う地元企業と行政の後押し、大手企業が持つ信頼性が一体となり、実現に向け走り出している。

左から、パナソニック ライフソリューションズ社中部電材営業部名古屋電材営業所電材営業ニ課主務の上田雄介氏、愛岐木材住建 代表取締役社長の大木規史氏、エネファント 代表取締役の磯崎顕三氏、多治見市長の古川雅典氏、多治見市議会議長の嶋内久一氏
左から、パナソニック ライフソリューションズ社中部電材営業部名古屋電材営業所電材営業ニ課主務の上田雄介氏、愛岐木材住建 代表取締役社長の大木規史氏、エネファント 代表取締役の磯崎顕三氏、多治見市長の古川雅典氏、多治見市議会議長の嶋内久一氏

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