同社代表取締役の与島大樹氏は、自身が没頭してきた野球の経験から、動画をチームメイトや友人と共有し、記録や感動を共有するアプリを開発したいと考えた。
通常の動画共有と異なるのは、スポーツで重要な「フォーム」のチェック機能だ。例えばバッティングのフォームを詳細に分析するため、再生画面に縦横十字線を重ねたり、スロー再生といった分析が可能。さらに、まずは野球を手始めに、"専門家による有料アドバイス"をサービスの目玉にしたい考えだ。これはユーザーが登録した動画に対し、元プロ選手などが、アドバイスやコーチングをアプリ内で提供するというもの。すでに複数の元プロ選手や球団に対し、具体的な交渉をおこなっているという。将来的にはこれを収益源に、「引退した選手にとっては"セカンドキャリア"にもなるようなサービスにしたい」と与島氏。
イノベーションビレッジについては、「KPIの設定やビジネスモデル開発といった経営に必要な考え方を学ぶ場としての良さがある」と与島氏。日々のメンタリングや、社外の起業家からのアドバイスをもとに、プログラムを通じてサービスを実用的な形にすることができると評価する。
また、だんきちは大阪に本拠を置きながら、東京との二拠点体制で事業を進めている。大阪の野球チームにサービスのヒアリングを行ったり、テストユーザーとのやりとりをしながら、関東の球団やスポーツ関係者とコミュニケーションを図っているのだ。
「二拠点活動でも柔軟に社員の方々とやりとりができるのは大きいです。4月1日にサービスがリリースしますので、それに向けてユーザー数を確保したり、コーチとなるプロとの交渉を図ったり、今は大変忙しい。プログラム終了後も東京の拠点として、ワーキングスペースをある程度自由に使わせてもらえると聞いていますので、ぜひお世話になるつもりです(笑)。こういったサポート体制は大変ありがたいです」(与島氏)
ドコモ・イノベーションビレッジの活動について、NTTドコモ・ベンチャーズシニアディレクターの長妻大育氏は次のように語る。
「今、二期生は、3月26日のDemo Dayに向けて取り組んでいる最中です。ドコモとしても、プログラム終了までにサービスがより魅力的なものになるよう磨き上げているところ。マーケットで勝ち残る鋭さを持ってもらえるよう、私たちとしても、スタートアップと一緒になって日々努力をしています。スピード感のあるサービス開発を行うためにはエンジニアと経営者、デザイナーといったチームが組成されていることが大切。1人ではなくチームでサービスを作ることが、これからより重要になってくると感じています」(長妻氏)
プログラム期間を通じてサービスの完成度を高めていくために、プログラムの選考では既にモックやベータ版があったほうが有利と考えられがちだが、チームが一体となってプロダクトやサービスを作り上げる熱い想いと実現できる見込みがあればアイディアベースであってもプログラムに採択されるという。
第二期のプログラムより、パートナー企業と一体となって支援を行う「パートナーブースト枠」を設置し、イノベーションビレッジの活動に賛同する外部企業との連携を図りながら、プログラムの拡充やさまざまな業種に向けたサポートを行える環境を整えている。すでに、第一期から米国サンフランシスコに拠点を置く500Startupsとも提携してコミュニケーションをとったり、500Startupsのプログラムに参加しているチームが来日した際には、作業スペースとして開放しつつドコモ・イノベーションビレッジに参加しているスタートアップとの交流を促したりしている。
ドコモ・イノベーションビレッジの狙いは、ドコモというプラットフォームに留まらないスタートアップを生み出すことだ。そのために、いかにドコモを使い倒すスタートアップが現れるかを期待しているという。
長妻氏は、「何よりもサービスとして魅力的かどうかが大事。ドコモとのシナジーなどにとらわれず、どんな企業と取引してもらおうが構わない。そのうえで、面白さだけではなく、実現性をもったイノベイティブなスタートアップと一緒に仕事をしていければと思います」と語る。
第二期では、グローバルスタンダードになりうる、モバイルを活用したサービスを募集テーマにしたという。次期プログラムについても「さらに具体的なテーマを掲げていきたい。私たち自身のプログラム自体も、まだまだスタートアップのようなもの。一緒に汗をかきながら、ともに作り上げていきたい」と抱負を語る。
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