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企業のクラウド導入の現状と課題とは? 今後のITインフラのあり方の今後を考える座談会(前編) - (page 2)

CNET Japan Ad Special2012年12月03日 11時00分
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クラウドベンダーのプラットフォーム環境にもばらつきが

新野: それでは、各社のクラウドへの取り組みの状況について伺いたいと思います。

田井: コニカミノルタホールディングスは自前のデータセンターを数カ所保有し、数年前から社内向けクラウドサービスを開始して事業会社の個別システムを集約し始めているとともに、フロントエンドの営業支援用にはSaaSも使っています。

 また、クラウドに対するガバナンスへの取り組みは2012年初めからスタートしており、社外のクラウドサービスを使う際は、コニカミノルタグループ各社はホールディングスが決めた54項目の一括審査を経て認可を得なければならないように取り決めています。

 基幹システムについては、2013年から海外のIaaSに構築したプライベートクラウドで運用することを計画しています。昨今はビジネスの成長性に明確な見通しが立てにくく、オンプレミスで投資するにはリスクが高いと判断しましたというのが理由です。2010年に比べればプライベートクラウドも徐々に価格が下がっており、現段階ではオンプレミスで作るよりもクラウドを利用する方がリーズナブルだと考えています。

新野: 基幹システムもIaaSで運用を始めるんですね。

田井: ただし、プライベートクラウドにもいろいろ技術的な課題も多く、ベンダーが提供しているプラットフォーム環境にばらつきがあり、それをベンダー自身もあまり理解していないケースもあります。クラウドはすぐ使えるがセールスポイントですが、例えばERPのような基幹システムを動かそうとすれば、それなりに時間がかかり、細かい検討を含めそう簡単ではないこともわかってきました。

髙原: ローソンでは、2008年ごろからSalesforce.comやMicrosoft Office 365などのSaaSを一部取り入れ、オンプレミスのシステムとハイブリッドで運用していますが、最近では一部のサービスをIaaSで作るなど、クラウドを積極的に使い始めたという段階です。

クラウドを使っていくことでノウハウが蓄積

新野: クラウドの選択基準はどのようなものがありますか。

髙原: オンプレミスで作る場合との開発コスト比較、回収までの期間、セキュリティなどを総合的に検討した上で、社内ポリシーに照らし合わせてクラウドかオンプレミスのどちらが望ましいかを判断します。

新野: すばらしいですね。ガバナンスが効いた状態でクラウドを利用している。

髙原: 良くいえばそうですが(笑)。クラウドはどこまでカスタマイズが必要になるかが大きなポイントで、作り込まれたシステムをクラウドで利用するとなると、社内ユーザーの使い勝手や慣れの問題が障害になることもあります。また、セキュリティポリシーについても、クラウドサービスのシステム配置やデータ構造、クラウドベンダーのセキュリティ強度などを、コンプライアンス部門とともに検討します。

新野: そうしてクラウドを使っていくことで、社内的にもクラウドに対するノウハウが蓄積していくものでしょうか。

髙原: 特にSaaSについては、クラウドベンダー側の都合によってサービスが計画停止したり仕様変更したりしますので、当社だけが権利を主張してもしかたありません。そうした不確定要素も許容しながら割り切って利用していくことも重要だと最近は感じています。

渋谷: ゼンリンでは、現在のところクラウドを具体的に活用してはおらず、検討段階にあります。特にバックエンドの基幹システムや地図を製作する機能についてはコアコンピタンスにあたる部分なので、クラウド化すべきか否かの議論を今まさに行っている、という状況です。

 反対に、フロントのサービスを提供する側についてはクラウドでなければ勝負できない要素があるので、クラウド化を進めることが必要だと考えています。もともとASP型のサービスを提供していたので、それをブラッシュアップしていく形で提供できれば、と考えています。

新野: なぜ、クラウド化への議論が今も続いているのでしょうか。

渋谷: 理由のひとつにはセキュリティの問題があります。検討を進める中で多様なリスクが顕在化してくるため、結果的に意思決定に慎重にならざるを得ない、という側面もあります。

 社外のパブリッククラウドを活用する、社内にプライベートクラウドを構築するなど複数の選択肢が可能性としてあり、何が望ましい形であるのか議論を進めているところです。

新野: ゼンリンさんではSaaSについてはどう見ているのでしょうか。

渋谷: 実務上はSaaSを使わざるを得ない状況が来ると考えています。例えばスマートシティのプロジェクトのように、さまざまな企業が集まったコンソーシアムではメールだけでは十分なコミュニケーションが取れません。このため、クラウド上のコミュニティサービスなどのSaaSを使うことが必要になってきます。

 しかし、今はまだコニカミノルタホールディングスさんやローソンさんのようにクラウドを利用するためのガバナンスや運用ポリシーが未整備なので、社内のルール作りや関係者のコンセンサスをどのようにとっていくかが大きな課題ですね。

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