最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

ディー・エヌ・エーはなぜ勝ち続けるのか――知られざる“テクノロジー”企業の姿(前編)

ディー・エヌ・エーはなぜ勝ち続けるのか――知られざる“テクノロジー”企業の姿(前編)

CNET Japan Ad Special、文・青山祐輔 写真・津島隆雄

必ずしも順調ではなかったモバゲータウンの道のり

 再度、改めて最近のディー・エヌ・エーの業績について見てみることにしよう。

 主力事業のソーシャルネットワークサービス「モバゲータウン」は、2010年2月の会員数が1700万人、月間ページビューが517億という途方もない数字を叩き出している。もちろん中高生を中心に絶大な支持を受けるソーシャルネットワークサービスとして2006年2月のスタート以降、無料ゲームやアバターを使ったビジネスなど、常にモバイル業界の話題の中心となっているが、ケタ違いの成長をもたらしたのが2009年10月から導入されたユーザー同士のコミュニケーションを盛り込んだ今話題の「ソーシャルゲーム」だ。

 ソーシャルゲームの投入が売上高に与えた影響を見てみよう。2010年3月期第3四半期の売上高は116億5500万円となり前年同期比24パーセント増に、営業利益は52億2400万円(同32%増)、純利益は29億8500万円(同34%増)となり、売上高と営業利益で過去最高を記録した。このうちモバゲータウンに関連する売り上げは68億6600万円で、全体の58.9パーセントを占めている。

 「新たな成長エンジンをつかんだ」と代表取締役の南場智子氏が語るだけの勢いがソーシャルゲームにはある。だが、2009年のディー・エヌ・エーは正直なところ苦しんでいた時期の方が長かったと言える。2005年から2007年にかけて、毎年売上高を倍増させてきたディー・エヌ・エーだが、2008年からは成長率を鈍化させていた。続く2009年もその傾向は続いていた。

 売上減少の理由は明白だった。モバゲータウンの主な収入源である、有料のアバター関連の売り上げの鈍化だ。すでに2008年からその傾向は見えていた。モバゲータウンにとってのアバターは重要な収入源だ。アバター関連の売り上げ現象は、モバゲータウンの売り上げ減少に直結する。アバターの売り上げ回復のため、それまでのアバターから3Dで製作された「モーションアバター」を2010年3月期第1四半期(2009年4月から6月の間)から導入の予定だった。しかし、本格展開が第2四半期へとズレ込んだため、売り上げは回復せずに前年同期をわずかに下回る結果になった。

 続く2010年3月期第2四半期には、遅れていた3Dモーションアバターを導入した。しかし、3Dモーションアバターのアイテム数が少なかったことから大きな需要を喚起できなかったのに加え、従来の2Dアバターの売り上げ減少も続いてしまい前期に続いて第2四半期の業績も前年同期比割れとなってしまう。同時期に競合他社であるグリーに会員数で激しく追い立てられていた。このことは経営陣に強い危機感を与えていた。

 このとき社内でどのような議論が行なわれていたのか。守安氏は語る。

 「モバゲータウンが横ばいになって、競合他社が伸びている理由を考えると、ソーシャルゲームの有無という理由は明白でした。そこでまず負けているものに対してきっちりとキャッチアップして、そこで追い抜かないと、今後の成長は見込めないと認識していました。では、勝つためにどうしたらいいか。そこで、自分たちでもソーシャルゲームを開発するだけでなく、(モバゲータウンのプラットフォームを)オープン化することで他社さんにもゲーム開発に参入してもらおうと考えました。」

 結果、2009年9月から10月にかけて「海賊トレジャー」「ホシツク」「怪盗ロワイヤル」「セトルリン」という4つのソーシャルゲームを順次リリースした。この効果は絶大だった。ソーシャルゲームのユーザー数はウナギ登りとなり、モバゲータウンのページビューをわずか4カ月で2倍以上にも押し上げる。

提供:株式会社ディー・エヌ・エー
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