続けて登壇したニフティ竹内豪氏からはデータベースサービスである「ニフティクラウドRDB」の活用事例が紹介された。
このサービスの最大の特徴はデータベースサーバの構築/運用/スケーリングを自動化して提供できるところにある。面倒なデータベース管理タスクもコントロールパネルからオンデマンドで容易に実行できるため、アプリは文字通り、アプリ開発に集中できるというわけだ。今回のローンチではMySQL 5.5および5.6が提供されるが、2014年の早い時期にPostgreSQLも提供する予定だという。
「ニフティクラウドRDBをひとことで言うと、ユーザ(アプリ)の代わりに作業してくれるロボットがいるイメージ。メモリ管理やディスク増設から、冗長化やリードレプリカ、自動バックアップなども含め、ユーザの代わりにロボットがすべて自動で行ってくれると思ってもらえれば」(竹内氏)
ここで竹内氏はRDBの"イチ押し機能"として
の3つを挙げている。
冗長化については、主系のデータベースサーバと待機系を同期させるアクティブスタンバイ構成を取り、ディスクレベルでの冗長化を実現、障害時には自動でフェイルオーバーがなされる。アプリがデータベースにアクセスする際は、手前にある仮想ロードバランサーにいったんアクセスし、そこから振り分けられるしくみだ。これによって堅牢なデータベースサーバ運用が可能になる。リードレプリカはMySQLの非同期レプリケーションで、書き込みが行われるマスターデータベースサーバ1台に対し、最大5台までのリードレプリカで読み出しの処理を分散できる。「こうした作業もコントロールパネルで"冗長化"オプションをオンにしたり、"リードレプリカ作成"をクリックするだけで簡単にできる」(竹内氏)
自動バックアップは文字通り、データベースサーバに自動バックアップの設定をしておくことで、日次で自動的にバックアップを取る機能だ。バックアップはクラウドストレージにアップロードされるので、ユーザ側がハードディスクを用意する必要はない。物理的な容量の心配からも解放されることになる。
最後のセキュリティに関して竹内氏は、
という3つのオプションを紹介している。デフォルトの共用プライベートでは不安というユーザに対しては、オプションとしてセキュリティ強化アプローチを提供している点が特徴だ。
最後に竹内氏は具体例として構築と運用に関するRDBの活用事例を挙げている。
構築では、新規に本番用データベースサーバを立ち上げる際、RDBを活用すればオンデマンドの設定画面を数回クリックまたは入力するだけですべてが完了するデモを紹介している。オンプレミスで必要だったハードウェアの調達からOSインストール、MySQLインストールにはじまり、監視作業や冗長化、バックアップなどさまざまな煩わしい設定作業からエンジニアは解放されることになる。
また運用の事例においてはオペレーションミスからの復旧が容易であることを強調している。たとえば「オペレーションミスで全ユーザの課金データを全削除してしまった」という事態に陥っても、ポイントリカバリの利くRDBであれば5分前のデータから新しいデータベースサーバを作成することが可能だ。オンプレミスであれば、このような緊急を要するリスクの高い作業には、あらかじめ作成手順書が欠かせないが、ニフティクラウドであればそこまで必要となるケースは少ない。
まもなく最初のリリースを控えるニフティクラウドRDBだが、竹内氏は「このサービスでもってユーザのデータベースサーバ運用をより効率的にしていきたい。リリース後も引き続き機能をブラッシュアップしていく予定なので、皆さんからのフィードバックをいただきたい」と呼びかけている。エンジニアを幸せにするパーツの第1号としてどんな声がユーザから届くのかが楽しみだ。
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