従量制を使って、クラウドの評価を効果的に行いたい場合、事前の「計画」は非常に重要になってくる。この計画をしっかり行っていないと、コスト的に不利になることはもちろん、そもそもの目的である「評価」自体が、十分に行えないケースも出てきてしまうのだ。
吉田氏によれば、計画は「利用時間」と「使い方」の双方について必要になるという。「使い方」については、「何をテストするのか」を考えておき、それに応じて仮想サーバを立てていく方法を勧める。これは、ニフティクラウドに限らず、他事業者のIaaSを評価する際にも有効な方法だ。
テストは計画的に。事前にチェック項目を作成すること!一般的なWebアプリケーションであれば、プレゼンテーションを行うWebサーバ、ロジックを処理するWebアプリケーションサーバ、データベースといった複数のレイヤから構成されているはずです。IaaS上では、これらを同時に作ってしまうのではなく、まずはWebサーバだけを立てて、それをチェックする。次に、データベースを入れてチェックするといった形で段階的にやっていきましょう。
なぜなら、これらのレイヤは、チューニングの仕方がまるで違うからです。クラウド全体の性能を見ていくためにも、あらかじめ構成を決め、総合的なチェック項目を作っておくことが重要になります(吉田氏)
また、各レイヤのチェックにあたっては、それぞれの「設定」がどのような状態にあるのかを把握し、適切に変更することを忘れてはいけない。
ニフティクラウドをはじめ、一般的なIaaSでは、仮想サーバの作成後、さまざまなミドルウェアのインストールや設定はユーザー側で行う形になる。Webサーバやアプリサーバ、データベースなどのインストールを行った際に、設定がデフォルトのままだと、クラウドで提供されている仮想サーバのCPUパワー、メモリの能力を十分に使い切れないといったことも起こりえる。パフォーマンステストを行いたいのか、クラスタ構成での負荷分散がうまく動くかどうかを試したいのか、サーバタイプの違いによる処理速度の差を見たいのか。その目的によって、必要な設定も変わってくるわけだ。
時には自分の設定を疑ってみることも必要!よく評価の際に『全然パフォーマンスが出ない』という指摘をしている人を見かけるのですが、そのような場合は、まず『自分が行っている設定が適切かどうか』を確認してみることを勧めます。私は2年以上、ニフティクラウドを利用していますが、ハードウェアのスペックは、ほかと比較しても非常に高いと感じています。まずは、自分が何をしたいのかを整理して、それに適した設定になっているかどうかを確認するようにしましょう(吉田氏)
また、IaaSでシステムを組み上げる際には、各ミドルウェアの「アップデート」を必ず行っておこう。更に、多数のサーバを運用する中では、どうしてもセキュリティ設定を忘れがちになる。このセキュリティ設定が使いやすいものであるかもポイントとしてほしい。
パブリッククラウドの場合、サーバは起動するとインターネット上に配置される。従って、すぐに攻撃を受ける対象となってしまいます。ニフティクラウドでは、ファイアウォールの設定を『グループ』という概念で管理できます。これを使うと、特定の役割を持つ仮想サーバを作る際に、必要な設定を事前に作っておいて一律に適用することができます。このような仕組みがあるかどうか理解しておくことも重要です(吉田氏)
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