最近では、商用webサービスの開発や展開、さらには企業内情報システムの一部として、事業者がインターネット上で提供しているIaaSを活用するケースが珍しくなくなった。クラウド採用経験のある多くのユーザーは、案件の内容に応じて、各社のサービスを「価格」「サービス内容」「サービス品質」などを手がかりに比較検討し、最適なものを選ぶという作業を手がけてきている。
もしあなたが近々、こうしたIaaSの比較検討を行う予定があるのなら、実際に評価を行うことになるだろう。そこで現在「新規申込特典」として「サービス使用料3万円分を無料」とする特典を提供しているニフティクラウドを利用して、評価のコツと3万円でどこまで使えるか試してみたいと思う。
サービスの申し込みはWeb上から行え、必要な仮想マシンのスペックやネットワーク構成を選択していくだけで、10分足らずで完了できる。初期導入費用は無料なので、このキャンペーンを利用することで、3万円以内であれば一切費用をかけずに実際のニフティクラウドの機能を試してみることができるのだ。
「でも3万円じゃ、検証もきちんとできないうちに使い切っちゃうんじゃない?」と思ったとしたら、それは大きな間違いだ。使い方を工夫することで、この3万円は単なる「お試し」以上の価値をユーザーに提供してくれるのである。
今回、この無料特典3万円を試すにあたり、co-meeting取締役の吉田雄哉氏に「最大限に使うためのコツ」を伺った。吉田氏は「NIFTY Cloudユーザーブログ」の執筆陣の1人であり、ユーザーの立場から、ニフティクラウドの機能や有効な活用法に関して、日々研究と実践を行っている。IaaSの利用を検討しているのなら、「クラウドの達人」吉田氏のアドバイスを、ぜひとも参考にしてほしい。
※本記事内の金額は全て税込で表記となります。
リアルタイムグループコラボレーションツール「co-meeting」はビジネスで利用できるテキストベースのチャットツールです。連絡で使われるメールや従来のチャットと違い、報告や相談、さらに議論といった複雑なコミュニケーションがオンライン上で、かつリアルタイムに行えるツールです。このサービスはニフティクラウド上で運営されています。 URL: http://www.co-meeting.com/
3万円と聞いて『あまり使えそうにないなぁ』と感じるとすれば、それは課金イメージを『月額固定』で考えているからかもしれませんね。そういう人は、まず最初にクラウドというものは『従量課金』が基本だというのを思い出してください(吉田氏)
クラウドの大きなメリットのひとつは「必要な時に必要なだけ使える」こと。
例えば、ニフティクラウドであれば、3GHzの仮想CPU1基と1Gバイトメモリを利用できる「small」タイプ1台の場合、月額制だと「1万3335円/月」の利用料金がかかる。一方の従量制の場合は、1時間単位でさらに仮想サーバが「起動」と「停止」のどちらの状態にあるかによって別の料金が設定されている。smallタイプを従量制で作った場合、起動中は「23.1円/時」、停止時は「5.25円/時」の課金となっている。
こまめに起動と停止を繰り返すこと!この『起動』と『停止』を、必要に合わせてこまめに使い分けることによって、3万円の無料期間を伸ばしていくことができるんです。1日中サーバを起動し続けておかなければならないような使い方をするのでない限り『課金は従量制を選び、使っていないときは仮想サーバを停止させる』という運用を心がけましょう。これが3万円フル活用の基本になります(吉田氏)
実際にWebアプリケーションの展開に関するテストなどをしたい時には、複数台の仮想サーバを立てる必要があるケースも多いだろう。月額制の場合には、3万円以内ということであれば、smallタイプでも2台が限界だ。しかし、従量制で仮想サーバを作って、1日のうち6時間を「起動」状態、残りの時間は「停止」状態とすることにより、サーバ1台あたりにかかる料金は「233.1円/日」となる。これであれば、3台同時に仮想サーバを運用する場合でも、40日以上利用できる計算になる。もちろん、停止時間を長くすればするほど、3万円以内で利用できる時間は増えていく。
サーバ台数 | 従量課金 | |||
---|---|---|---|---|
起動時(6時間) | 停止時(18時間) | 総額/日(24時間) | 利用できる日数 | |
1台 | ¥138.6 | ¥94.5 | ¥233.1 | 135 |
2台 | ¥277.2 | ¥189.0 | ¥466.2 | 67 |
3台 | ¥415.8 | ¥283.5 | ¥699.3 | 45 |
※従量課金でsmallタイプを1日6時間起動させた場合
※3万円特典は申込月を含めた3カ月後の末日まで利用可能
※サーバ料金および特典金額はすべて税込価格で計算
従量制を上手く利用することで、月額制では3万円以内で試すことができない「最強構成」の仮想サーバなども試してみることができる。ニフティクラウドで仮想サーバ単体の最強プランは「xlarge32」と呼ばれる、6仮想CPU、32Gバイトメモリが利用できるものだが、これを月額制で導入すると「16万3800円/月」。しかし、従量制にすれば起動時で「298.2円/時」、停止時で「15.75円/時」だ。
もっとも、吉田氏によれば「smallよりも大きな構成は、一般的な評価やテストの用途ではまず使わないと考えていい」という。ニフティクラウドでは、仮想CPUの利用数によって「mini(1仮想CPU)」「small(1仮想CPU)」「medium(2仮想CPU」「large(4仮想CPU)」「xlarge(6仮想CPU)」とサーバタイプが分けられているが、large以上のサーバタイプを選択するケースは「テレビ番組や一部の超人気コンテンツ等のような膨大なアクセス数を受け付ける大規模サイトを運営している場合がほとんど」(吉田氏)だ。また、短時間にアクセスが集中するような企業の打刻システムのようなものでもmediumで十分に運営が可能だという。
どのような評価を行いたいのか、まずは事前にしっかりと計画をする。そして、必要な仮想サーバのスペックと台数を考慮しながら、こまめに起動と停止を繰り返しつつテストするのが『クラウドらしい』使い方として、おすすめですね(吉田氏)
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