企業のクラウド導入が着実に進みつつある中で、導入前の企業では「実際のところクラウドってどうなの?」、導入後の企業からは「こんな効果があった!」「運用面でここが難しい」など、さまざまな声が聞かれるようになった。そこで今回は読者の皆様から「クラウドかわら版」に投稿頂いたアンケート結果を公開!その解説を、CNET Japan 編集長の別井貴志と、ニフティ株式会社 クラウド事業部 クラウド事業推進部 課長 林田真秀氏が担当します。純国産のIaaS(Infrastructure as a Service)型パブリッククラウドを提供するニフティから見た、アンケートに表れたクラウド導入の真実の姿とは?
アンケート結果の全文は、こちらから公開しています!
別井:まずは興味深い結果といいますか…、
質問1によると、クラウド導入の現状を聞く調査では、導入しているのは32%、していないのは67%となっています。
そして質問2の「今後のクラウド導入予定」では、うち46%が「予定はない」と答えていますね。このあたりから率直にいかがですか?
林田:確かに少し多い感じもします。ただ、CNETをお読みの幅広い皆様から回答を募った結果と考えれば、多くの企業の現状を表している数値と受け止めています。
別井:この46%を潜在需要と考えればまだまだ普及拡大は図れるかな、とも言えますからね。一方、「すでに導入している」のは22%と。この評価はどうですか?
林田:実感ともあっています。“一部業務に導入済み”や”業務にクラウドを導入予定”の回答も含めれば50%を超えますね。ここ1年間でニフティクラウドのようなパブリッククラウドだけでなく、プライベートクラウドやSaaSも含めて、クラウドの検討や導入が一気に加速しているのを裏付けている数値だと思います。
この「クラウドへの期待、魅力と考える点は?」という項目の回答結果も実態を表していますね。ハードや運用に関するコストの削減を半数以上の方が挙げています。やはりこのあたりに注目する企業は多いようです。
別井:東日本大震災から1年経過した段階で「災害対策、事業継続」も50%を超えていますね。
林田:これも震災前と比べればかなり多くなってきました。企業の認識度が高まり、重要な目的の1つとして捉える企業が増えていますね。
別井:ところでクラウドによるコスト削減効果は、導入してみてからでないと、どうしても具体的な感覚として見えてこないようですね。「クラウドへの不安――ここが分からない」という設問では、導入前の回答者の約半数が「本当にコスト削減効果があるか」と答えています。この数字の受け止めは、どうですか?多いのか少ないのか。
林田:セキュリティに次いで多いですね。やはり、コストに対しては期待感も大きい分、導入前に抱かれる不安も大きいのかもしれません。
林田:ただ、クラウド導入済みの方の課題や導入後の評価を見ると、「ハードウェアコストの削減」は省エネ・省スペースになったという回答とあわせても、導入後に確実に効果が出ているのがわかります。
ただし、「運用コストの削減」に関しては評価がわかれますね。単にクラウドを導入しただけでは効果が出るとは言い切れない部分ですね。特に、人件費については、そもそもの業務効率化や開発運用体制の最適化などのそもそもの問題の解決がクラウド導入とあわせ必要になってくると思います。
別井:コスト削減については、自由回答のコメントもかなりいただいていますね。たとえばハードウェア・運用面ともにコスト削減効果への期待は当初から多かったと思いますが、中には
「クラウド導入後、ネットワークの負荷が増加して、そのためにコストアップや障害などが発生した」
という意見もあります。これは「ネットワークが遅いとクラウドを導入しても…」といった、クラウド自体が持つ次の課題を如実に感じられているような気がしますね。
いくつかの意見をまとめると「コストも下がるし運用面でも効率化が図れると思い導入したけれど、実際にはいまひとつ効果が実感できない」といった部分が垣間見えるようです。
林田:運用面に関しては、実際に導入してみないと分からない点も多いと思います。そこは導入後オンプレミス環境の時と違う観点で取り組む必要もあります。障害発生時の切り分けを課題や不安に挙げられている方が導入後でも多いですね。
こうした運用面での不安・疑問について、ニフティクラウドでは、当社の営業に何でも聞いていただければと思いますし、100社を超えるパートナー様を通じて手厚いサポートができる体制も整えていますのでお気軽にご相談いただければと思います。また、「ニフティクラウド IaaSによるシステム構築/活用入門」という書籍もありますので、参考にしていただければ。
別井:サポート関連では
「深夜に障害が発生した際にサポートに連絡がつながらない」
という不安を訴える方もいらっしゃいますね。
林田:WEBからの24時間365日対応の窓口を設けています。お問合せいただければ、迅速に回答させていただいています。また、障害などを検知した際の連絡の仕組みもあります。さらに、運用・監視のプレミアムサポートをご利用いただいたり、運用・監視を専門とするパートナーをご紹介することも可能です。
別井:中には、こういう意見もありますね。
「リソースサイジングの妥当性が分からない。システム構築時に最適なリソース割り当てを行うのが難しい」
実際に使ってみた結果として、すごく実感がこもっている気がします。
林田:実際にご利用されている方のご意見ですよね。おっしゃるとおり、事前にどの程度のリソースが必要か、計画されるとは思いますし、重要ですが、完全に予測することは難しい面もあります。その点、スケールアップやダウンを試しながら、事後的に最適なものを探っていただくこともクラウドのよさだと思います。ニフティクラウドの従量制課金はそのためにも適しています。こうした内容についても、営業担当者やパートナーに気軽にご相談いただければと思います。
別井:“リソース=ビジネスロジックがどれだけあるか”という話ですからね。そこを上手くコンサル的にリードしてあげることが重要なわけですね。
この記事をご覧の方で「クラウド」という言葉を知らない方はいないと思います。
ですが「クラウドって何?」と聞かれて、きっちり説明できますでしょうか?実はあいまいだったりしませんか?
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