社内SNSやソーシャルメディアを活用して企業危機を克服せよ!!
ICTが活用される未来社会
山崎 なるほど。企業だけでなく大学やその他の組織もICT武装、ソーシャルメディア武装をする時代到来ですね。では、これからICTの世界はどうなると思います?
村井 現代は情報過多ですね。世界中の情報が毎日どんどん入ってきて処理できない。正直追っていくだけでも大変な労力を伴う。そこで今、twitterのようなソーシャルフィルタリングが熱いのですが、それでも人によっては情報量が多い。そこで、未来はそういった情報をネット上で自動的に収集し、整理して欲しい情報だけをセレクトしてくれるサービスが出てくるでしょう。また、もうひとつの流れとして「人生を記録するライフログ」のような流れもあり得ます。人の記憶は曖昧で時間の経過とともにどんどん流れ去ってしまう。金融取引、医療データ、クレジットカードの情報等、それらを整理整頓してくれるサービスが出てくるでしょう。最近ではBlippyのようにクレジットカードやオンラインで購入したものを公開してくれるサービスもあります。そして最後にセカイカメラやEsquireが取り組んでいるような拡張現実の世界も今後広がるでしょう。
山崎 確かにそうですね。今情報検索がGoogleからFacebookのソーシャルサーチやソーシャルフィルタリングに移ってきていると言うレポートがあがり始めています。今後はライフログに関連するロケーションも重要になります。また、バーチャル名刺なんかも注目を集めている。実際、この流れは止められそうにありませんね。ビートコミュニケーションは社内SNSのパイオニアですが、今後はどのような戦略をとるつもりですか?
ビートコミュニケーション社の戦略 - グローバル化とその先 -
村井 弊社は今グローバル戦略に力を入れていますが、今後さらにグローバル化を押し進めます。英語版のBeat Officeも出したばかりですし、海外からの問い合わせもあって、社内では英語が日常的に飛び交っています。
山崎 凄いですねえ!! ビートコミュニケーションの長期的な戦略は?
村井 今まで、公言したことはないのですが、グローバル戦略の先、いずれは宇宙開発関連事業を考えています。弊社もVirgin GroupのRichard Branson氏のようにいずれは宇宙開発の研究をしている企業や組織を買収し、宇宙事業を始めたいと夢に描いています。それにはグローバルネットワークや企業体力も必要になります。以前は正直なところ全く興味がなかったですが、今年に入って、社内で上場も会社が成長する上での一つの通過点としての選択肢として検討も始めました。弊社のお客様の、小僧.comの平松庚三さんが今度宇宙へ行かれると伺いました。数年後は案外簡単に行けるようになると思いますよ。どうせなら、一層のこといつか火星に人でも送りたい(笑)。そうなると弊社のプログラマーは、いつかは宇宙船のプログラム開発をはじめることになるかも(笑)。地球と火星は46億年前 同じ時期に誕生した、似たような環境の星だったらしいです。火星も最初の頃、海や大気がありました。それが今のような状態になってしまいました。科学者の間では人類が環境破壊などで地球に住めなくなった場合、火星をテラフォーミング(惑星を住めるように改造すること)させ、移住する可能性もあるとさえ言われています。NASAの計画によると今世紀前半には火星への有人飛行が始まるそうですよ。
私は実は子供の頃はずっと科学者になるのが夢だったんですよ。結局「科学的な発明会社を経営する」ことがベストな夢の実現方法だと気づき、現在に至ります。
山崎 急速なグローバル化で地球が小さく感じられる今、地球を飛び出して、次は「宇宙開発の時代」がくると。当然の流れですね。ジェームズ・ボンドも宇宙に飛び出しましたし、惑星間インターネットの論議もある。映画「アバター」はポリフェマスの最大の衛星パンドラでの物語です。イメージの世界を宇宙に広げて膨らませても、ちっともおかしくない時代ですよね。
村井 どんどんボーダレスな時代に突入し、グローバル競争が激化しています。日本はガラパゴス状態になりつつある。そしてこれからはフランスの知性と言われているJacques Attaliさんの説のように所属意識が国家からグローバル企業へと転換する時代が来るかも。
山崎 ソーシャルメディアはネット大衆と言う意味でのクラウドと不可分の関係にあります。その特徴の一つは社会規範の重視であり、社会の善を追及する姿勢ですよね。当然、その中にはエコの問題もある。今後のグローバル化とそれに伴う地球の環境問題はどうなると予測されますか?
村井 グローバリズムが進むにつれ、国家の権力が弱まり、国家からグローバル企業へと人々の所属意識は変わるのではないかと。一方で世界はさらに一体感を増し、例えばwikiのように世界規模のインテリジェンスの共同体によって異なる地域の専門家やアーティストが参加し、一つのプロジェクトや商品を遠隔から創造できる日が来るでしょう。
山崎 今はボーダレス社会へと進み、グローバルビレッジができ始めています。国境がなくなると同時に国家が薄れ、境目がぼやけてくる。既にアメリカがグローバル共和国の首都であり、オバマ大統領がグローバル共和国の都知事のイメージ。国家に代わり企業が作る共同体が生活者の拠り所として重要になってきます。またコミュニティ中の新社会ルールをどう作り直すのかが課題になりますね。現代は工業社会から創造型の知識社会への移行期ですから。既存のメディア産業がインターネットに吸収され、業界規模の縮小化が進むなど本格的な変化=液状化が始まっています。
工業化社会によるエコの問題、不況や失業の問題、教育の問題などグルーバルな課題として社会的正義が非常に重要になってきています。それがクラウド(ネットを介したコミュニティ)に影響を与えています。その結果、ネットのコミュニティでは、PepsiCoなどがスーパーボウルから撤退し、その広告予算の2千万ドルを「社会的正義の為にアイデアを出してくれた人々を毎月投票で選び、少額を寄付する」というマーケティング費用に充てたのは画期的でした。これはクラウドソーシング(アイデア出しの部分)とかマイクロファイナンスと呼ばれている新しい動きでエコも課題の一つです。
村井 海外はエコの取り組みが盛んですよね。日本でもITでエコに取り組んでいる会社といえば、オムロンさんですね。弊社でもシステム開発の御手伝をさせていただきましたが、オムロンさんでは38カ国で国内外のグループ全社員、約35,000人が参加するグローバルイベントとして、エコボラン活動を実施しました。明確な企業理念を持ち、このような志で真剣に取り組まれている企業はまだ国内では少ないと思います。
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