今後ますます期待される「口コミ効果」
こうしたブログの基本的な定義や特徴を押さえた上で、関氏の話は「ブログのビジネス利用」へと移った。同氏は、「ブログのビジネス利用は、従来のメディアよりも顧客と社員間や社員同士のコミュニケーションに有効だ」と述べる。例えば現在企業において、個人ブログの口コミ効果を期待したマーケティングツールとして、ブログの導入が増えてきているという。つまり、個人ブログをひとつのインフラととらえ、トラックバックによる話題の増幅と波及効果をマーケティングに取り入れる考え方だ。
関氏はさらに、ブログ オン ビジネスにおけるメリットとして、社長ブログに見られるような広報的役割があること、商品情報を掲載したECサイトが簡単に構築できること、社内間での情報共有や情報交換が容易なこと、個人ブログで取り上げられることによるマーケティング効果があることなどを挙げた上で、実際にブログをビジネスに活用したユーザー事例を紹介した。
ブログをCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)として活用したのは、マネックス証券とカシオ計算機だ。ブログをCMSとして使えば、アーカイブとして記事が蓄積されていくだけでなく、更新担当者のみが情報を把握しているといった状況が避けられる。また、ブログ化することによって情報共有も簡単となる。
ブログがメディアで使われているのは、「CNET Japan」(シーネットネットワークスジャパン)、「夕刊フジ BLOG」(夕刊フジ)、「R25」(リクルート)などだ。特に紙媒体は、トラックバックによるユーザーからのフィードバックにメリットを感じるところが多い。また、夕刊フジ BLOGのように、従来と異なる年齢層へとアプローチできるメリットも挙げられた。
ECサイトの例として取り上げられたのは、中小企業全般と、照明器具の専門サイト「てるくにでんき」、アンティーク家具を取り扱う「ロイズ・アンティークス」だ。ECサイトをブログで構築すると、導入や運営が簡単かつ安価で、カテゴリ機能を利用した更新のしやすさなどが利点として挙げられた。さらに、オンライン書店「bk1」の例として「ブログの導入後3カ月間で10〜20%トラフィックが増加し、売り上げも5〜10%伸びた」と紹介した。
最後に関氏は、「今後は、特にマーケティングツールとしてブログを活用する人が増えるのではないか」と予測した。ブログは口コミ効果が期待できるためだが、口コミ効果をねらうには「自社製品やサービスを個人のブログで簡単に取り上げてもらえるような仕組みを作ることが大切だ」と関氏は言う。同氏は「個人ブログで取り上げられた情報がウェブ上で波及効果を生むようになれば、2年後は700万件とも言われるブログ全体を小さなメディアとして活用できる。その活用方法を考えていくことが今後の鍵となるだろう」と締めくくった。
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