「鳥さん用スマート餌台」が開く、野鳥観察の新しいカタチ

Maria Diaz (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2025年06月18日 15時40分

 我が家では、庭を訪れる鳥のためにバードフィーダー(野鳥用の餌台)を設置している。餌をついばむ鳥たちをソファから眺めるのは、特にコロナ対策で外出が難しかった頃は大きな楽しみだった。晴れた日の午後、バードフィーダーに集まる何羽もの鳥や、おこぼれにありつこうと、アクロバッティックな動きでポールをよじのぼるリスを見るのは楽しい。そんな我が家の野鳥観察は、「Bird Buddy」の導入によってさらなる進化を遂げた。

Bird Buddyの本体と箱  
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 Bird Buddyはかわいらしい見た目と簡単操作が特徴のスマートバードフィーダーだ。搭載された2K解像度のカメラは、おやつを食べにくる鳥の記録と撮影にぴったりの場所に設置されている。スマートフォンに専用アプリを入れておけば、新しい鳥が来るたびに通知が届き、鳥の映像や写真、種類に関する情報を確認できる。

 Bird Buddyがクラウドファンディングサイト「Kickstarter」に登場したのは、世界が新型コロナウイルスに翻弄されていた2020年末のことだ。外出が制限されていたので、自宅にいながら野鳥を観察できるバードフィーダーが飛ぶように売れていた。そのような背景から、Bird Buddyは瞬く間に支持を集め、ガジェット部門では世界で最も多くの資金を集めたプロジェクトとなった。

  1. スマート餌台のメリット
  2. 設置方法
  3. Bird Buddyがもたらした楽しみ
  4. 追加可能なアクセサリー
  5. 総評

スマート餌台のメリット

 筆者はバードフィーダーが大好きだ。小鳥サイズの家の形をしたおしゃれなものから、アンティークのティーカップ、ハチドリ専用台まで、多い時には6台を設置し、野鳥の種類に合わせて、さまざまなタイプの市販の餌やオリジナルのブレンド餌を用意した。

餌を食べに来たエボシガラ
Bird Buddyに現れた、後にウォルターと名付けられたエボシガラ
提供:Maria Diaz/ZDNET

 筆者のスマートフォンの写真フォルダーは、バードフィーダーに集まった鳥たちの写真でいっぱいだ。どれも拡大しすぎて画質は悪いが、鳥だけでなく、時には愛らしいリスも映っている。

 Bird Buddyは、筆者に代わって鳥の写真を自動で撮影してくれるだけでなく、画質もスマホカメラよりずっといい。筆者が室内から撮る時は9mほどの距離があるが、Bird Buddyなら至近距離から2K映像を撮影できる。しかも鳥の往来を常時監視しているので、筆者が外出中でも訪れた鳥の写真を残してくれる。

 餌につられてやってくる鳥を個別に識別することも可能だ。クローズアップ写真や動画の撮影だけでなく、画像をもとに鳥の種類を特定し、その種の食性、好物、生態、分布地域、鳴き声なども教えてくれる。

枝に止まる小鳥 提供:Maria Diaz/ZDNET
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 開発元は野鳥の保護にも取り組んでおり、「Heartbeat」プロジェクトでは、さまざまな鳥の移動や個体数の追跡に役立つデータを提供している。世界各地に設置されているBird Buddyをライブで観察できるだけでなく、保護活動家や鳥類の研究者のために、月ごとのデータもダウンロードできるようにしている。

設置方法

Bird Buddyの箱を開けたところ Bird Buddyの箱を開けたところ
提供:Maria Diaz/ZDNET

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 Bird Buddyは、ほぼ完成した状態で送られてくるため、組み立ては簡単だ。パッケージには家の形をした給餌器、カメラモジュール、USB-C充電ケーブルとアダプター、本体をポールに取り付けたり、吊り下げたりするためのパーツが入っている。

 我が家には余っているポールがなかったので、吊り下げ用のコードを使った。餌についても調べたが、まずは家にあるドライフードの中から、ドライオーツ、ドライクランベリー、レーズン、クルミを混ぜたものを使うことにした。

Bird Buddyと、餌の入った器 提供:Maria Diaz/ZDNET
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 カメラモジュールの充電は数時間で終わり、磁石とネジで本体に固定した。

 設置場所は仕事部屋のすぐ外にあるヒイラギの茂みに決めた。ここなら、ほぼ一日中仕事で使っているデスクから眺められる。この茂みでは過去に何度か鳥の姿を見ており、鳥が集まる場所であることは分かっていた。

餌をついばむ鳥
小鳥がやって来た
提供:Maria Diaz/ZDNET

 Bird BuddyはWi-Fiを使ってアカウントに接続し、撮影した写真や動画を送信するため、設置場所はWi-Fi圏内でなければならない。当然だが、屋外に適切な場所を見つけるのは簡単ではない。この点は理解した上で購入する必要がある。

 最初に鳥が来たのは設置2日目のことだ。美しいエボシガラが警戒しながら近づいてきた。用意されているぜいたくな餌は本物なのか、どこかに罠が仕掛けられていないかを見極めようとしているように見えた。

 数分後、Bird Buddyアプリを開いた。この新しい友人のすてきな写真が保存されていると思ったからだ。ところが、そこにはボールで遊んでいる小鳥のイラストが、「Nothing to see here(画像はありません)」という言葉と共に表示されているだけで、写真は一枚も撮影されていなかった。

 同じ日、エボシガラが再びやってきた時も、まるで何事もなかったかのように、アプリには一枚の写真も記録されていなかった。この日は少なくとも全部で4回、エボジガラがやってきたが、カメラがその姿を捉えることはなかった。

 Bird Buddyアプリには、設定画面からカメラフィードをチェックし、設定に問題がないか、正しく動作しているかを確認する機能がある。ただ、この機能はバッテリーを消費し、ロードに最大2分かかる。

 設置3日目になって、ようやく鳥の記録と撮影が始まった。その後は訪れた鳥が記録されなかったことはほとんどない。くだんのエボシガラ(「ウォルター」と名付けた)は常連となり、他にもキヅタアメリカムシクイなどの鳥が時折訪れ、リスも少なくとも1匹はやってきた。

こちらを向いて餌をついばむウォルター 初めてウォルターの姿を捉えた写真
提供:Maria Diaz/ZDNET

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Bird Buddyがもたらした楽しみ

 Bird Buddyは家族全員にすばらしい体験をもたらしてくれた。野鳥を間近に観察できるだけでなく、個体の識別も可能なので、勉強になるだけでなく、とにかく楽しい。

 鳥であれ、げっ歯類であれ、新しい訪問者が来るたびにBird Buddyアプリからは「ポストカード」が送られてくる。これは新しい訪問者に関する簡単な情報と動画、そして10枚の写真を組み合わせたもので、送られてきた写真の中から残したい写真を選ぶ。

 残したい写真を選んだら、アプリからアクセスできるBird Buddyコミュニティで公開するか、非公開のコレクションに保存する。

 バッテリーは、筆者が用意したドライフードと同じく、1週間ほど持った。カメラモジュールを充電する際はBird Buddyを取り外す。このタイミングで本体を掃除したり、付属のカップを使って餌を補充したりするといい。本体の背面に小さな扉があり、そこを開閉して餌を補充できる。

追加可能なアクセサリー

 Bird Buddyには欠点もあるが、ほとんどは別売のアクセサリーを追加すれば解決できる。例えば、本体に取り外し可能なソーラーパネル(70ドル、約1万円)を追加すれば、カメラモジュールの充電頻度を減らすことが可能だ。

総評

 我が家の子供たちはBird Buddyアプリを熱心にチェックしている。裏庭を訪れる鳥の姿をこれほど間近に、しかも高画質で見たことはなかったので、すっかり感動している様子だ。

興味津々といった様子のウォルター
興味津々といった様子のウォルター
提供:Maria Diaz/ZDNET

 もっと多くの種類の鳥に来てほしいので、子供たちと一緒に餌の種類や本体の設置場所を試行錯誤しているところだ。

 ただし、アプリの動作は明らかに重く、改善の余地は大きい。写真やビデオの読み込みが止まることもあり、使い勝手もいいとは言えない。個人的には、訪れた鳥の情報をポストカード風に配信するのはやめた方がいいと思う。もっとシンプルでわかりやすいアプローチの方が、新規ユーザーは直感的に理解しやすいはずだ。

 バッテリーの持ちは最高とは言えないが、屋外に放置することを考えると、4000mAhの充電式バッテリーで1、2週間持つのは妥当と言える。この点は将来のモデルで改善されるかもしれないし、単純にソーラーパネルの屋根を追加すれば解決可能だ。

 数週間使ってみて、筆者はBird Buddyを大いに気に入った。現在40%オフの199ドル(約2万9000円)という価格は、バードフィーダーとしては高いが、鳥好きの親族にプレゼントするつもりだ。訪れた野鳥を美しく撮影できることに加えて、AIを活用して鳥の種類を識別できる点が特に気に入っている。

Bird Buddy

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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