太陽の姿は何度も写真に収められてきた。しかし、「下」から眺めた姿を目にした者はまだ誰もいなかった──。
あなたがこれまで目にしてきた太陽の姿は、すべて赤道付近から見たものだった。黄道面(地球の公転面)は太陽の赤道面に対して約7.25度傾いているため、人類は太陽の北極と南極を真正面から見ることはなかった。だが今、ついに欧州宇宙機関(ESA)が、太陽の南極を捉えた歴史的な画像を公開した。人類が初めて目にした、最も近くて遠い恒星の極の姿だ。
この映像を撮影したのは、ESAの探査機ソーラー・オービター。2020年に地球を離れ、未知の極域に向けて旅を始めた。金星でスイングバイすると、時速約4万3000キロもの猛スピードで太陽を周回する軌道に入った。
目的の場所にたどり着いたソーラー・オービターは、偏光磁場・日震成像装置(PHI)、極端紫外線撮像装置(EUI)、コロナ大気スペクトル撮像装置(SPICE)で太陽の観測を開始した。
ESAの科学局長キャロル・マンデル教授はこの成果を受け、こう語った。「今日、人類初の太陽の極の映像を公開します。太陽は生命の源でありながら、宇宙や地上の電力インフラを乱す脅威にもなりうる存在です。その動きを正確に理解し、予測することは私たちにとって極めて重要です。ソーラー・オービターが届けてくれたこの新しい視点は、まさに太陽科学の新しい時代の幕開けとなるでしょう」
ソーラー・オービターが撮影した映像は、ESAのYouTubeチャンネルでも視聴できる。わずか50秒の短い動画には、私たちが普段見慣れている太陽の映像から、次第に視点が変わり、太陽の底面が鮮烈に拡大されるまでが収められている。その燃え盛る姿はまさに圧巻であり、これまでの人類が一度たりとも見たことのない映像が収められている。
探査機が史上初めて極から極へと旅した際に収集したデータの全容は、2025年10月までに地球へ届けられる予定だ。同データは、太陽の仕組みを解き明かす材料となる。
さらに今後の周回では、ソーラー・オービターに搭載されたすべての観測装置が稼働し、数年をかけてより多くの情報が得られる見込みだ。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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