TOI-421b は、系外惑星には珍しく大気の霞(ヘイズ)がほぼ存在しない。そのため、研究者らはかつてないほど詳細な系外惑星のデータを得ることに成功した──。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、2020年に発見された惑星「TOI-421b」の大気を詳細に観測した。その結果、これまで観測されたどの系外惑星よりもクリアなデータが得られた。
「TOI-421b」という無機質な名前の惑星は、私たちが住む太陽系の外側に位置するため「系外惑星」と呼ばれる。
もちろん、今すぐにでも行けるような近距離の惑星ではない。地球からの距離は約244光年。たとえば、準惑星の冥王星が地球から約5時間半(光の速さで計算した場合)ということを考えれば、いかに遠いか想像できるだろう。
TOI-421b は太陽に似た恒星を周回しており、大きさは地球より大きく、海王星よりは小さいことから「亜海王星型惑星」と分類されている。
この惑星は、恒星の前を横切った際に恒星の光がわずかに弱まる現象を観測する「トランジット法」によって発見された。残念ながら、この惑星を一般の天文愛好家が望遠鏡で直接見ることは難しい。
NASA、欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)の天文学者チームは、分光法を使って同惑星の大気成分を詳しく分析した。この手法では、惑星の大気を通り抜けた恒星の光を波長ごとに分解することで、その大気に何が存在し、何が欠けているのかを判別できる。
その結果、TOI-421bの大気は、水素が豊富で水蒸気の兆候もあることがわかった。一方で、大気を霞ませる原因となるメタンは検出されなかった。ほとんどの亜海王星型惑星は霞に覆われ、観測が困難だ。TOI-421bは初期観測から「大気がクリアで観測に適した貴重な惑星」と見込まれ、結果としてその期待通りの明快なデータをもたらした。
本文
天文学者たちは今回の研究成果を『Astrophysical Journal Letters』誌に発表し、主要な観測データを一つの論文にまとめた(論文はオンラインで閲覧可能)。
論文中にはTOI-421bの分光画像が掲載され、この惑星の特異で興味深い特徴を詳しく紹介している。
多くの亜海王星型惑星の大気は、水分を多く含む重いガスで満たされていることが多い。一方のTOI-421bの大気は、主星と同様に軽いガスで構成されていた。
この共通点から、天文学者たちは新たな問いに直面している。主星の性質が、その周囲を回る惑星の大気組成に影響を及ぼしているのではないか?という点だ。
研究を率いたエリザ・ケンプトン氏は米誌Mashableの取材に対して次のように語った。
「この惑星が特異な『唯一無二の存在』なのか、それとも同じ特徴をもつ惑星が他にも存在するのか、これからさらに調査を深める必要があります」
コンセントに挿して充電器にもなるAnkerのモバイルバッテリー(価格をAmazonでチェック)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「1→10」の事業化を支援する
イノベーション共創拠点の取り組みとは
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス