Metaは米国時間4月29日、単体のモバイルアプリ「Meta AI」を提供開始し、「Ray-Ban Metaスマートグラス」のコンパニオンアプリ「Meta View」をこれに統合した。この変更は、MetaのスマートグラスおよびAI全般が向かう先を物語っている。初開催となるAI特化の開発者向けカンファレンス「LlamaCon」に合わせて発表されたこの変更は、当然の流れにも見える。
新しいMeta AIアプリは、Googleの「Gemini」やOpenAIの「ChatGPT」と同様にAIとの会話や質問ができるほか、共有されたプロンプトの閲覧も可能だ。最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏はInstagramでこれを発表し、「Meta AIはすでに他のアプリで月間10億人近いアクティブユーザーを抱えている」と明かし、それが単体アプリ化を進めるきっかけになったと説明した。
一方、このアプリはRay-Ban Metaスマートグラスをペアリング・管理する主要ツールにもなった。アプリ内のタブでは旧Meta Viewアプリのように、スマートグラスの設定や写真・動画の転送ができる。他社とは違うアプローチであり、Googleなどが今後スマートフォン経由でスマートグラスをどう扱うかのヒントになるかもしれない。
同アプリではAI機能が前面に出ている。人々はまずこれをスマホ用のツールとして使い、後にスマートグラスにも対応していると知ってRay-Ban Metaスマートグラスの購入を検討することになるかもしれない。
Ray-Ban Metaスマートグラスは「Meta AI搭載製品」というより、Meta AIの延長線上にあるようだ。Metaは同スマートグラスが驚くほど売れたと述べているが、その台数がスマホに匹敵することはない。同社は魅力的なスマホアプリでユーザーを取り込み、後からスマートグラスに誘導するほうがエコシステム拡大の近道だと考えているのだろう。
もう1つの疑問は、「Horizon」アプリや「Quest」VRヘッドセットとの関係だ。現状、両アプリはまったく別物。Horizonはゲーム世界とアバターベースのソーシャルハブが中心で、AIはあまり前面に出ていない。一方、Meta AIは生成AIチャットとカメラ認識機能をスマホとスマートグラスに提供している。
いずれ両者は交差するはずだ。筆者が2024年に体験したMetaのARグラス「Orion」の試作品は、ゲーミング・AI支援・3Dグラフィックを組み合わせていたが、現行のスマートグラスにはディスプレイすらない。今秋には、1000ドル超とうわさされるディスプレイと神経入力リストバンド付きのハイエンドモデルが登場するとみられており、状況は変わるだろう。
現在、MetaのスマートグラスはAI機能の進化に重点が置かれている。特に、Googleが開発中の「Android XR」や独自スマートグラスとの競争があるためだ。しかし、Meta AIアプリは同社の今後の方向性を大いに物語っている。それは、どのような形態であれ、AIこそが製品だというものだ。
Zuckerberg氏のInstagram投稿この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「1→10」の事業化を支援する
イノベーション共創拠点の取り組みとは
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力