OUKITELは市場でも指折りの個性的なスマートフォンを作るメーカーだ。プロジェクター内蔵のモデルまで存在するほか、同社のスマートフォンはどれも頑丈そうな大振りのものばかりで、他社のモデルとは比較にならないほど大容量のバッテリーを備えている。
同社のスマートフォンの多くは、現場で使われる産業用デバイスのような見た目で、見るからに過酷な使用条件に耐えられる作りになっている。その多くは「トランスフォーマー」の映画に登場するような外見をしているが、機能はAndroidスマートフォンそのものだ。
その同社が最近、筆者に評価用の「WP200 Pro」を送ってきた。このスマートフォンを初めて箱から出した時の最初の感想は、「Frank Canova氏の名にかけて、これは一体何なんだ?」というものだった(Frank Canova氏はスマートフォンを発明したとされる人物だ)。
このスマートフォンを箱から出してみると、筐体の背面に長方形のくぼみがあることに気付いた。これは何のためのものだろうか?さらに箱の奥を探ると、Bluetoothイヤホンのようなものが見つかった。
一体何なんだ?
筆者が何がどうなっているかを理解するまでに、たっぷり30秒はかかった。このBluetoothイヤホンは、背面のくぼみにはめ込めるようになっているのだ。そこで充電もできる。これなら、必要なときにいつでもBluetoothイヤホンを使うことができるというわけだ。
実にクールだ。
しかもそれだけでは終わらない。
箱の中には、他にも腕時計のバンド部分だけが入っていた。何のためのものかお分かりだろうか?先ほどのイヤホンにタッチスクリーンが付いており、この時計バンドと合体させることができるのだ。ほら、スマートウォッチのできあがりだ。
クレイジーとしか言いようがない。
この製品がその見た目どおりに、形が変形する「トランスフォーマー」っぽい製品であることに、筆者はいたく感心した。
もちろん、見た目だけで判断するわけにはいかない。
まず、CPUには「MTK Dimensity 8200」が採用されている。Dimensityシリーズの初期のチップは、せいぜいミッドレンジという評価だったが、最近のチップはかなり強力になっている。WP200 Proに搭載されるチップは、高パフォーマンスコアであるCortex-A78を4基、省電力コアであるCortext-A55コアを4基搭載するオクトコアのプロセッサーで、最大クロック3.1GHzで動作する。これは侮れない性能だ。
このCPUと24GBもあるRAMのおかげで、このスマートフォンのパフォーマンスは、筆者がこれまでに試してきたあらゆるミッドレンジモデルを凌駕するものになっている。599ドル(約8万5000円)にしてはかなり魅力的なスペックだと言えるだろう。動作にラグはなく、アニメーションも極めて滑らかで、ディスプレイも素晴らしい。
もう1つ驚かされたのは、無駄なソフトウェアがほとんどプレイスントールされていなかったことだ。筆者は、ローエンドからミッドレンジのデバイスに無駄なアプリがたっぷり入っているのに慣れてしまっている。しかしWP200 Proは、その悪しき伝統には囚われておらず、デフォルトアプリはかなり標準に近い。
アプリドロワーには「Toolbox」と名付けられたフォルダーがあり、 その中には以下のアプリが入っていた。
スマートフォンの「Toolbox」(工具箱)としては、実に工具箱らしい品揃えではないだろうか。
では、このスマートフォンの特徴であるイヤホン兼スマートウォッチについてはどうだろう?
これは驚くほど効果的な付属品だった。
筆者が使っている「Pixel Watch 3」と比較できるレベルではないが、スマートウォッチを試しに使ってみたいという人には十分である上に、Bluetoothイヤホンもなる。
また前述の通り、このイヤーピースは本体の背面にはめ込んで充電することができ、くぼみに格納されている間は、時計バンドに取り付けられているときとまったく同じ挙動を見せる。タッチスクリーンに触れれば、時間を表示したり、活動量/睡眠/心拍数をチェックすることができ、音楽を再生したり、天気を調べたりすることもできる。
これほど楽しいスマートフォンがあるだろうか。
真面目な話、スマートフォン用の周辺機器がすべて1つにまとまっている(足らないのはBluetoothヘッドホンくらいだが、OUKITELが次にヘッドホンを同梱しても筆者は驚かない)というのは、なかなかクールだ。
スマートフォンのカメラは日常生活の一部になっているため、そこそこよいカメラが搭載されていることは重要だ。WP200 Proのカメラは「Pixel 9 Pro」には敵わないものの(実際、敵うスマホはほとんどない)、かなりいい仕事をしている。ただし筆者は、顔のない被写体にピントを合わせるのが難しいという欠点があることに気付いた。残念ながら、WP200 Proでは、Pixel 9 Proのようにはしっかりピントが合わなかった。
マクロ撮影についても、クローズアップの写真にピントを合わせるのは難しかった。
撮影モードには、Facebeauty(顔加工モード)、108MP、ピクチャー、ビデオ、マクロ、プロ、スローモーション、GIF、タイムラプス、ナイトビュー、パノラマ、ポートレートが用意されている。Facebeautyモードは優秀だが、人の顔が極端に白くなってしまう場合がある。ただしこれは、この手のモードにはよくあることで、OUKITELだけを責めることはできない。筆者にとって一番有用だったのはプロモードだった。これは、自分のニーズに合った条件(ISO、ホワイトバランス、フォーカスなど)を手動で設定できたからだ。
他人と横並びでなくても気にならない人にとっては、WP200 Proはとても楽しいスマートフォンだ。非常に重く(同社の高耐久タイプのスマートフォンはどれも重い)、デザインは少々未来的過ぎるが、性能は高く、Bluetoothのイヤホン兼スマートウォッチが付属しているといった特徴は、このモデルを極めて個性的なものにしている。
では、599ドル分の価値はあるのか?その答えは人によって変わってくるだろう。風雨に強く、収納可能なイヤホン兼スマートウォッチが付属するスマートフォンは必要なのか。あるいは、他社製品を圧倒的に上回るRAMとバッテリーに魅力を感じるのか。もしこれらの条件に当てはまるなら、WP 200 Proはお勧めだ。
筆者にとって、WP200 Proはこれまで使ったことがある中でも抜群に楽しいスマートフォンの1つだった。またこのデバイスは、他人と同じものを持つのが嫌いな人にも向いているかもしれない。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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