10万円切りでスナドラ8Elite搭載、シャオミ「POCO F7 Ultra」を2週間使って本音レビュー

Abrar Al-Heeti (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2025年04月01日 07時30分

 筆者がディナーパーティで写真を撮ろうとしていると、友人が「またそのスポンジ・ボブみたいなスマホを持ってきたの?」と話しかけてきた。私はそれに、「どちらかと言えばミニオンっぽいと思ってるんだけど、その例えもなかなかいいね」と笑顔で応じた。

POCO F7 Ultra POCO F7 Ultra
※クリックすると拡大画像が見られます

 友人が話題にしたのは、小米科技(シャオミ)のサブブランドであるPOCOが最近発売した、鮮やかなイエローのミッドレンジスマートフォン「POCO F7 Ultra」のことだ。POCO F7 Ultraは、最小構成の価格が649ドル(日本では税込9万9800円)のモデルだが、その中身は見た目以上に尖っている。プロセッサーはQualcommの「Snapdragon 8 Elite」、バッテリー容量も5300mAhと大容量で、さらにInstagramへの投稿にも使える高品質な写真が撮れるトリプルリアカメラシステムを備えている。

 そのスペックは、それだけでも十分に特筆に値するものだ。特にSnapdragon 8 Eliteを搭載しているという点では、サムスンの「Galaxy S25」シリーズや「OnePlus 13」、「Xiaomi 15 Ultra」などのハイエンドモデルと肩を並べている。では、F7 Ultraの性能はそれらのお高いモデルに匹敵するものなのだろうか。それとも、その安さには大いなる妥協が伴うのだろうか。

 筆者は、実際にF7 Ultraを2週間ほど使って、その使い勝手を確かめてみた。その間、友人や花の写真を撮ったり、テレビ番組をストリーミングしたりしただけでなく、逆ワイヤレス充電機能で外出中にiPhoneの充電に使ったりもした(この見た目が印象的なスマートフォンは、この機能のおかげで頼れる相棒になってくれた)。

  1. POCO F7 Ultra本体とディスプレイ
  2. POCO F7 Ultraの性能とバッテリー
  3. POCO F7 Ultraのカメラ
  4. POCO F7 Ultraはどんな人向け?

POCO F7 Ultra本体とディスプレイ

 全体として言えば、POCO F7 Ultraは丸い角とフレームギリギリまで広がるディスプレイを持つ、なめらかな仕上げの洗練されたスマートフォンだ。そのサイズは「iPhone 16 Pro Max」と同じくらい(それよりはやや小さいが)で、筆者の手の大きさにぴったりだった。

 画面はサイズが6.67インチで120MHzのAMOLEDディスプレイで、ピーク輝度は3200ニトとなっている。この数字は、iPhone 16シリーズの2000ニトやGalaxy S25の2600ニトは上回っているが、OnePlus 13の4500ニトには及ばない。屋内ではPOCOとサムスンのディスプレイは同じくらい鮮明に見えるが、明るい日差しの下ではF7 Ultraの明るさが際立つ。また、POCO F7 Ultraのディスプレイは、他社のフラッグシップモデルと同じように常時点灯しているため、いつでも時刻や通知を盗み見ることができる。

 筆者が特に嬉しく感じたのは、F7 Ultraのベゼルが細く、ストリーミングやソーシャルメディアを楽しむ時の没入感が高いことだ。動画の色彩はiPhoneやGalaxyシリーズよりも抑えめになっており、そこに映る物体や人物の顔はやや色温度が高く、鮮やかさに欠ける。しかし、映像のシャープさに不足はない。

 重量は212gと若干重めだが、それがかえって、しっかりと作られたプレミアムなデバイスだと感じさせる要因になっている(F7 Ultraの重量はOnePlus 13とほぼ同じで、Galaxy S25 Ultra、iPhone 16 Pro Maxよりも軽い)。ガラス製の背面カバーと金属の側面フレームは、高級感のあるマットな仕上げになっており、滑りにくい。アルミ製のリングで囲まれたカメラモジュールは背面から出っ張っているが、邪魔に感じるほどではなく、ケースを付けずに机の上に置いてもそれほどがたつかない。

 また同社によれば、デバイスの前面は強固な画面保護ガラスである「POCO Shield Glass」で覆われている。実際にディスプレイをタップしたり押したりした際にも、頑丈さが感じられた。幸いなことに、これまでのところ、デバイスを落としてしまった場合にこの保護ガラスがどうなるかをテストする機会はなかった。少なくとも、このデバイスをケースや画面保護フィルムを付けずに何日もバックパックに放り込んで使っていても、傷一つ付かなかった。POCO F7 UltraはIP68等級の防塵・防水性能を備えているが、幸運にも、まだその性能を試すような事態には遭遇していない。

 POCO F7 Ultraのカラーバリエーションには、イエロー以外に、もっと落ち着いたブラックも存在する。筆者が個人的に選ぶとすればブラックだが、大胆なデザインが好きで、イエローの方が好みだという人もいるだろう。

POCO F7 Ultraの背面のロゴ
※クリックすると拡大画像が見られます

POCO F7 Ultraの性能とバッテリー

 POCO F7 Ultraの最大の特徴はSnapdragon 8 Eliteを搭載していることであり、その価格に期待される水準を大幅に上回る、目覚ましい性能を発揮する。このプロセッサーは、F7 Ultraよりもずっと高価なGalaxy S25シリーズやOnePlus 13、「Oppo Find N5」などにも採用されており、それらのモデルの性能を大きく引き上げた。

 F7 Ultraでアプリをスワイプして切り替えるときの感触は快適かつスムーズだ。ディスプレイに内蔵されている超音波指紋センサーを使ったロック解除も速やかで、ラグはまったく感じないし、カメラもほぼ瞬時に起動できる。ただし、動画をストリーミングする際や、横方向から縦方向、あるいはその逆に画面の向きを切り替える際には若干のラグが生じるし、YouTubeやNetflixをスワイプしてピクチャー・イン・ピクチャーモードに切り替えたりするのにも若干時間がかかる。それを除けば、マルチタスクはスムーズに行える。

 GPUとマルチコアCPUのベンチマークテストである「Geekbench 6」では、POCO F7 Ultraは「Galaxy S24 Ultra」や「POCO X6 Pro」よりも上だ。「3DMark Wild Life Extreme」を使ったグラフィックスのテストでも、iPhone 15 Pro、Galaxy S24 Ultra、「Xiaomi 14」を上回った。詳しいデータについては以下のグラフを見てほしい。

ベンチマークテストの結果のグラフ
※クリックすると拡大画像が見られます

 F7 Ultraのもう1つの大きな特徴は、5300mAhのバッテリーを積んでおり、120Wの超高速充電と50Wのワイヤレス充電に対応していることだ。これだけ容量があれば、1回の充電で1日中使ってもおつりが来る。また、ワイヤレス逆充電(ワイヤレス充電対応のデバイスをPOCO F7 Ultraから充電できる機能)は非常にありがたい機能で、筆者の場合、外出先で他のスマートフォンを充電する必要ができた時に(移動が多い記者にはよく起きる問題だ)助けられた。

 ストリーミング、ソーシャルメディアの閲覧、ビデオ通話への参加、ゲームなどを組み合わせた45分間の耐久テストでは、バッテリーが満充電から97%まで低下した。これは「OnePlus 13R」と同じ成績で、2025年に入ってから最高の結果だ。YouTubeの動画を全画面モードで、最大輝度にしてWi-Fi経由で再生する3時間のストリーミングテストでは、バッテリーは100%から87%に低下した。また充電テストでは、なんと30分間で0%から90%まで充電でき、満充電までにかかった時間はわずか35分強だった。

 POCO F7 UltraにはAndroid 15が搭載されており、RAMが12GB、内蔵ストレージが256GBのモデルが649ドル(日本では9万9980円)、RAMが16GB、ストレージが512GBのモデルが699ドル(同10万9800円)となっている。

POCO F7 Ultraのカメラ

 続いて、スマートフォンを購入する人の多くが重視しているカメラに話を移そう。POCO F7 Ultraには、5000万画素のメインカメラ、5000万画素の2.5倍望遠カメラ、3200万画素の超広角カメラ、そして3200万画素の前面カメラが搭載されている。

 一般に、F7 Ultraの写真は色が柔らかで、色調は抑えめになる。友人のDanaをポートレートモードで撮った以下の写真がその好例だ。全体的にベージュがかった色調が彼女の衣装を引き立て、写真全体に落ち着いた印象を与えている。筆者は、前面の友人が非常に鮮明に写っており、背景に穏やかなボケ効果が入っているところが気に入っている。

 自撮り写真も同じように色調はソフトで落ち着いた感じになるが、その代わり肌が美しく滑らかに見える。それはポートレートモードで撮った自撮り写真についても同じで、こちらもしっかり被写体にピントが合っている。

著者の自撮り写真 通常の自撮り写真
提供:Abrar Al-Heeti/CNET

※クリックすると拡大画像が見られます

 筆者はもう少し色彩が鮮やかな写真が好みなのだが、特に屋外では、F7 Ultraのカメラでもそのような写真が撮れる場合がある。小鳥用の水盤を写した以下の写真では、石材の色や、花びらの明るいピンクや、背景の鮮やかな緑が織り成す幅広い色相が、よりパンチの効いた色合いで表現されている。白い花の花びらは少しぼやけて境界が分かりにくくなってしまっているが、それ以外の部分は、石もレンガもくっきりと写っていることが分かるだろう。

 F7 Ultraの5倍ズームでは、シャープネスと鮮明さがしっかりと保たれている。次のチューリップの画像を見てもらえば、花びら一枚一枚に入っている細い線などの細かい部分まではっきり写っていることが見て取れるはずだ。この写真の色彩は特に鮮やかだが、その代償として背景の陰影も強くなってしまっている。ユーザーは、そうした欠点も含めて、どちらの色調がいいかを自分で選択するしかない。

チューリップの写真 そしてこの写真も素晴らしい。
提供:Abrar Al-Heeti/CNET

※クリックすると拡大画像が見られます

 F7 Ultraのカメラが苦手とする場面もある。例えば、昼下がりに強い日差しの中で撮影した次の写真は、かなり白飛びしてしまっている。ただし幸いなことに、これは例外的なケースだった。

 筆者が特に感心したのは夜の写真だ。このトルコランプの写真は、真っ暗闇に近い中で撮影したものだが、鮮明でクリアに写っており、模様の色の違いも判別できる。

 AIで写真から不要なもの削除する機能を使えば、タップ2回で邪魔なものを消すことができるのだが、この機能は完璧ではない(これは、他社の同様の機能にも言えることだ)。何かを消す処理に数秒間かかるだけでなく、以下の写真で「人間を消す」オプションを選んだケースでは、人間が立っていた部分がぼやけた感じになった。トートバッグの残骸も残っており、筆者は再度これを手動で消す必要があった。

開いた扉越しに庭園が見えており、そこに2人の人物が立っている写真 修正前の写真。
提供:Abrar Al-Heeti/CNET

※クリックすると拡大画像が見られます
AIで修正した写真をさらに手動で修正したもの 手動で修正を行い、残骸を消した。
提供:Abrar Al-Heeti/CNET

※クリックすると拡大画像が見られます

 総じて言えば、これらの写真のほとんどはソーシャルメディアへの投稿に相応しいものだった。これは、筆者としてはかなり高い評価のつもりだ。

POCO F7 Ultraはどんな人向け?

 POCO F7 Ultraは、価格の割には機能が充実したスマートフォンで、処理性能が非常に高く、充電速度も驚異的で、総合的なプレミアム感も備えている。これらの特徴は、同価格帯の「Galaxy S24 FE」やOnePlus 13Rなどとは一線を画すものだ。ディスプレイのシャープさや、一般的なラグや、一部のカメラ機能に多少の弱点があるが、長所が短所を大きく上回っている(重量に関してはもう少し軽ければよいとは思うが、購入をためらうほどの問題ではない)。

 大金を払うことはできないが、処理能力、バッテリー容量、カメラが優れているスマートフォンを探しているという人なら、POCO F7 Ultraは魅力的な選択肢に感じられるだろう。

POCO F7 Ultra

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

「POCO F7 Ultra」(価格をAmazonでチェック)

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]