まず残念な知らせだが、これは購入できない。しかしApple TV Plusの『セヴェランス』が好きな人には朗報だ。米国のAppleオンラインストアに、ドラマ内に数多く仕込まれているイースターエッグの新作として「Lumon Terminal Pro」が登場している。この架空のコンピュータはMacのストアページ上部に表示されており、専用の紹介ページまで用意されている。
ルーモン社(Lumon)の端末という設定なので、具体的にどんなハードウェアなのかは不明だが、そのページには「ネタバレ注意」という警告が掲示され、約11分のメイキング映像へのリンクも張られている。
同ドラマはApple TV Plusでシーズン2の配信が最近終わり、すでにシーズン3の制作も決定している。Appleオンラインストアの「Lumon Terminal Pro」のページにある映像では、共同制作者のベン・スティラー氏が、83TBにも及ぶ映像を3人の編集スタッフがどのようにしてシーズン2の最終回へまとめ上げたかを語っている。
最終話のマーチングバンド・シーンの編集方法や、作品内で大きく雰囲気が変化する第7話の映像処理なども解説されている。また3番目のパートでは、音楽がドラマのトーンをどれほど支えているかが語られている。
もちろんこれは宣伝の一環でもある。Appleが制作したドラマに登場する架空のレトロ端末を通じ、映像編集者や音楽家へ向けて最新のAppleハードウェアをアピールしているわけだ。
サンタクララ大学リービー経営大学院のビジネス・アナリティクス教授、アンディ・ツァイ氏によると、Appleはこうしたクロスオーバー演出を違和感なく実行できるユニークな立ち位置にあるという。他のハードメーカーのタイアップや、実在企業の製品を登場させる「逆・プロダクトプレイスメント」ほど「押しつけがましい」印象にならないからだ。
「とてもいいアイデアだと思う」とツァイ氏は言う。「これは少し特殊な状況の組み合わせだ。アイコニックなハードウェアを販売しながら、自社で番組を制作し、その視聴者層も含めて一体化している。まさに理想的な条件がそろっている」。
ツァイ氏によれば、AppleがApple TV Plusに何十億ドルも投資し、自社のデバイスで再生されるコンテンツを制作するというモデル自体には前例があるという。ゼネラル・エレクトリックがラジオやテレビの番組を作り、同時に受信機やテレビを販売していた時代にまでさかのぼる。
「Appleがハードウェアとコンテンツのエコシステムを構築しようとしているのは、決して新しい発想ではない。しかし彼らはそれを非常にうまくやっている。多くの競合企業ではそこまでの利益率を確保できず、このように潤沢な資金を投じる戦略は難しいだろう」(ツァイ氏)
ツァイ氏は、Apple TV PlusはあくまでAppleがサービス部門を拡大する長期的な目標の一端に過ぎないと述べる。
「ハードウェアよりサービスのほうが利益率は高い」ともツァイ氏は指摘する。ただし現時点では、Apple TV Plusの購読料だけで制作費をまかなうには至っていないと見られている。
一方、Lumon Terminal Proそのものについてツァイ氏は「ファンだ」と語る。もしスティーブ・ジョブズが絶頂期に、iMacを世に出したあの時代に「Apple IIe」をレトロ風にリメイクしていたら、ちょうどこんな仕上がりになったのではないかと想像できるからだという。
コンセントに挿して充電器にもなるAnkerのモバイルバッテリー(価格をAmazonでチェック)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力