客観的に考えて、電動一輪車(EUC)に一度も乗ったことのない人がこの乗り物を見て怖く感じるであろうことは、よく理解できる。車輪が2つではなく1つしかない乗り物で、一体どうすればバランスを取れるのかと思うだろう。筆者は手すりを使って練習したが、わずか20分程度で乗れるようになり、家に帰るときは何もつかまなくても大丈夫なほどになっていた。筆者にできるのだから、ほとんどの人ができるはずだ。重要なのは、自分の身体を新しいものに適応させることである。
「InMotion V13 Challenger」は、初心者に最適な製品とは程遠い。このEUCの乗り方を練習している人々の話を聞いたこともあるが、InMotion V13は、高さが3フィート(約91cm)近くあり、重さも110ポンド(約50kg)ある。さらに、最高時速は56マイル(約90km)だ。しかし、経験豊富なライダーにとっては、こうした特徴こそが魅力になっている。これほど高速な乗り物に乗るときは、両脚の間にある車体の面積が大きい方がいいので、車体の高さと幅が重要になってくる。重量は、持ち運ぶのには適していないが、車輪を地面の上で安定させるのに最適だ。
確かに、1899ドル(約28万3000円)という価格を考えると、InMotion V13は身体的にも経済的にも覚悟がいる。だが、このような乗り物を乗りこなせるベテランライダーにふさわしい優秀なEUCを探している人にとって、InMotion V13は十分に価値がある製品だ。
InMotion V13 Challengerの特徴は、最適化された重量配分と洗練された形状だ。また、現在市販されているなかでも最上級の安全性を備えたEUCになるように設計されており、堅牢で革新的なバッテリー管理システムと車体の急停止を防ぐ予備のセンサーを搭載している。大型の22インチハイブリッドタイヤが、エアサスペンションと連携して衝撃を吸収し、110ポンド(約50kg)という重量のおかげで安定性が確保され、転倒を防止する。車高も比較的高い。
動力源は3024Wh、126Vのバッテリーだ。モーターの最大出力は1万Wで、トルク(回転力)は300N・m。最高時速は56マイル(約90km)に達する。充電は、5Aの充電器を使用して、4~6時間で完了する。走行可能距離は約88マイル(約142km)だが、速度やライダーの身体の大きさ、地形、風の状態などによって変化する。性能的に最高速度は簡単に超えることができるが、車体の急停止を防ぐために、速度の上限が設けられている。この安全措置のおかげで、ライダーが加速し続けようとしても車体から振り落とされることはなく、車両も制限速度内で、前進する動きとバランスを維持できる。
ただし、速度制限はアプリや車体から追加で設定することも可能だ。
InMotionのほかの製品と同様、V13もBluetoothで「iOS」アプリや「Android」アプリに接続して、機能を拡張したり、走行実績を追跡したりできる。アプリ内の統計情報では、走行実績やバッテリーの残量、車両の状態、温度、使用習慣などを確認することができる。
安全上の予防措置として、初期状態では、速度が時速56マイル(約90km)に達しないようになっており、ライダーはまずアプリから、最高速度のロックを解除することに同意しなければならない。設定した速度に達すると、車体が後ろに傾いてビープ音を発し、ライダーに警告する。
車体の前部には、2.4インチの小型LCDタッチスクリーンも搭載されているので、スマートフォンを使わなくても、現在の速度やバッテリー残量を確認したり、設定を調整したりできる。筆者が気に入っているもう1つの機能は、車体の電源をオンにするパスコードを設定できることだ。これは、外出中に車両をベビーカーコーナーに置いておきたいときに重宝する。パスコードを設定しておけば、誰かに勝手に電源をオンにされることもない。
前面と背面には保護用のケージが付いており、転倒や衝撃から車体を保護する。前面のケージは、使用しないときにスタンドとしても機能する。別売りのスタンドもあり、こちらは背面を下にして、車体を固定するタイプのものだ。筆者の場合、車から出し入れするときや、時々ではあるが階段を上るときにも、ケージの部分を利用している。
車輪の両側には折りたたみ式のフットパッドが付いている。頑丈で広さもあるのでグリップがしっかりしており、筆者のサイズ12(30cm)の靴でも安心して置くことができる。
さらに、電源がオンのときに点灯し続ける昼間走行用のLEDリングライト、暗い場所を走行する際に使用する18Wの明るいヘッドライト、視認性を高めるリアブレーキライトも搭載されている。
最後に、充電ポートが2つあるほか、モバイルデバイスの充電にUSB Type-AとType-Cのポートも付いている。
それでは、InMotion V13のような乗り物には、どのように乗ればいいのだろうか。EUCはどれもそうだが、V13で直立状態を保つ仕組みも驚くほど簡単だ。車体が前後のバランスを取り、ライダーが左右の動きを制御する。体重をつま先にかけると車体が前進し、かかとにかけると車体が減速または後退する。自転車に乗るのとよく似ている。身体がその乗り物に慣れると、習得するのになぜあんなに時間がかかったのだろうと不思議に思うはずだ(これは、InMotion V13にも、ほかの電動一輪車にも当てはまる)。
筆者はInMotion V13に乗って、1300マイル(約2092km)以上を走行した。そして、走行距離は今も増え続けている。選択肢はほかにもあるが、InMotion V13は今でも日常的に使用するお気に入りのEUCの1つだ(車体を持ち運ぶ必要がある場合は除く)。ミネソタ州やサウスカロライナ州、シカゴ、ニューヨーク市内への旅行にも持っていった。筆者がInMotion V13を旅行に持っていくのが好きな理由の1つは、SUVの車内であまり場所を取らないことだ(自転車はもっとかさばる)。それに、どんな場所でもパワーもスピードもしっかりと出るし、タイヤも大きいのでほとんどの道路や未舗装の道も問題なく走行できる。
筆者は身体が大きいので、このサイズの車両がもたらす安定感と安心感は本当にありがたい。ただし、注意点もある。InMotion V13は安定していて、矢のようにまっすぐに感じるが、高速走行時はロケットのようだ。最初のうちは、身体を傾けてカーブを曲がるのに苦労するが、しばらく練習すれば、スムーズに乗りこなせるようになる。
本稿執筆時点で、筆者の最高速度は時速48マイル(約77km)である。もっと速度を出せるスペースがあればいいのだが。
InMotion V13には引き手となるハンドルが付いているので、車体を引いて歩くのも簡単だ。全体的にしっかりとした作りだが、使っているうちにハンドルのネジが緩んできたので、締め直さなければならなかった。これは、ネジ緩み止め用の接着剤を少し塗るだけで解決できるささいな問題だが、言及しておく価値はあるだろう。
もうひとつ気になるのが、車体の重量だ。小柄な人や体重の軽い人には少し重すぎて、操縦が難しいかもしれない。サスペンションも、使用しているうちに空気圧が下がる傾向があるため、定期的な点検が必要だ。付属のポンプを接続しなくても圧力をチェックできれば便利になると思う。ただし、乗り物はどれもそうだが、一番良い状態の性能を維持したければ、定期的なメンテナンスが必要になってくる。
品質や性能、速度、安全性に関して言えば、InMotion V13は間違いなく称賛に値する。個人的には、かなりお気に入りの製品だ。EUCを試してみたいと思っている大柄なライダーにとって、素晴らしい選択肢となっている。でこぼこ道や荒れた道路、草の生い茂った丘も問題なく走行でき、スムーズで安定した乗り心地を提供する。
筆者はフル装備でバックパックを背負い、推奨最大体重の265ポンド(120kg)よりも重い状態で乗ったこともあるが、走行に全く影響はなかった。十分なパワーを備えるInMotion V13 Challengerは、乗り物に強さと性能を求める人にとって、頑丈で信頼できる選択肢といえる。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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