一方は超知性を目指し、もう一方はそうではない。この違いは両社の提携にどう影響するのだろうか──。
OpenAIがChatGPTを2年以上前に公開して以来、同社はAI競争の最前線でより優れたモデルや関連製品を次々に開発し続けてきた。そして、その最終目標は自律的で人間並みの知性を持つAGI(汎用人工知能)の実現だ。
「われわれのミッションは、AGIが人類全体に恩恵をもたらすようにすることだ」と、同社のサム・アルトマンCEOはブログに投稿。 「AGIはある意味、人類がこれまで積み上げてきたイノベーションという足場の延長線上にある、1つのツールに過ぎない」とも述べた。
ところが、OpenAIの最大の戦略的パートナーであるマイクロソフトは、少し異なるスタンスをとっている。最近のインタビューで、CEOのサティア・ナデラ氏は、MicrosoftはAGIを長期目標とはしていないと語った。AGIは過大評価されていると考えているからだ。
長年の提携関係があり、マイクロソフトはOpenAIに莫大な投資を行っているが、この相違点をどう折り合っているのだろうか?
先日SXSWで開催された「Building Trustworthy AI: Evolving Safety Practices for GenAI」というパネルの中で、MicrosoftのResponsible AI部門CPOサラ・バード氏が両社の関係について語った。アプローチは違っていても「緊張感」はないという。
「一見すると、両社の間には緊張がありそうに思えが、現実にはそういうことは起きていない」(バード氏)
むしろ、OpenAIが掲げる大きな目標によって「大胆な発想」が生まれ、これまで世の中にない新しい能力を追求する原動力になっているとバードは考えている。段階的な進化だけでなく、本質的に新しいものを生み出すには、このような意欲と集中力が必要だというわけだ。
マイクロソフトがAGIを追求していない理由は、人間を完全に置き換えるのではなく「人々と共に働く」AIを提供したいからだ。
その代表例が「AIコンパニオン」として位置づけられているCopilotで、Microsoft 365の各アプリやGitHubなど、主要なMicrosoftのサービスを横断してユーザーをサポートするように設計されている。
「自分にとってAGIはゴールではないし、Microsoftにとってもそうだ。我が社には人間がたくさんいるし、それはとても素晴らしいことだ。むしろ、人間が苦手なことややりたくないことを代わりにこなして、人間の能力を高めてくれるテクノロジーであってほしい」(バード氏)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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