OpenAIは創作の分野で限界を押し広げている。同社の最高経営責任者(CEO)であるSam Altman氏は米国時間3月11日、文芸創作を「得意とする」新たなAIモデルを訓練したと、ソーシャルメディア「X」に投稿した。
「AIが書いたもので本当に衝撃を受けたのはこれが初めてだ」とAltman氏は書いている。
同氏が入力したプロンプトは「AIと悲しみについてのメタフィクション短編小説を書いてください」というものだ。
AIは1172語の短編小説を生成した。主人公の「ミラ」が、大切な人である「カイ」を失い、数カ月にわたってAIチャットボットに語りかけるという物語で、語り手はAI自身という設定になっている。
we trained a new model that is good at creative writing (not sure yet how/when it will get released). this is the first time i have been really struck by something written by AI; it got the vibe of metafiction so right.
— Sam Altman (@sama) March 11, 2025
PROMPT:
Please write a metafictional literary short story…
この作品に対し、説得力に欠けると批判する人がいる一方、「美しい」と称賛する人もいる。
「このAIは悲しみを理解しているだけでなく、悲しみを表現する方法も分かっている。恐ろしくもあり、素晴らしいことでもある」と、あるXユーザーは投稿している。
今回の動きは、OpenAIが正確性や予測性の向上だけでなく、より広い分野に野心を持ち始めていることを示している。例えば2月、同社は新モデル「GPT-4.5」を発表し、以前のモデルより感情知能が高いと説明した。パターン認識、関連性の整理、創造的な洞察を生成する能力も向上しているという。
Altman氏は、新しい創作向けAIモデルをリリースする時期や方法については未定とした。
市場調査会社ABI Researchのアナリスト、Reece Hayden氏は、知的財産に関する懸念から、AI主導の文芸創作は実用性が限られると警鐘を鳴らしている。
「この発表は、OpenAIが収益性のある製品の開発に苦戦している数学やプログラミングなど数値的分野を離れた、新たな分野の研究開発に基づくものかもしれない」とHayden氏は米CNETに語った。「しかし、知的財産をめぐるクリエイティブ業界の懸念がおそらく現実のものになりつつある中、同社は大きな反発を受ける可能性が高い」。
Hayden氏は、OpenAIの主張がどのようなものであれ、このAIの出力は真に創造的とはいえないと述べた。
「すべての生成AIのユースケースと同様、このAIも情報を集めて再構築しているだけなので、創造的とはいえない。既存の能力を新しい形で応用しただけだ」(同氏)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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