OpenAIの「小説を書くAI」に賛否、「真に創造的ではない」との指摘も

Samantha Kelly (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年03月13日 11時38分

 OpenAIは創作の分野で限界を押し広げている。同社の最高経営責任者(CEO)であるSam Altman氏は米国時間3月11日、文芸創作を「得意とする」新たなAIモデルを訓練したと、ソーシャルメディア「X」に投稿した。

広げた両手の中央にAIと書かれたイラスト 提供:Surasak Suwanmake/Getty Images
※クリックすると拡大画像が見られます

 「AIが書いたもので本当に衝撃を受けたのはこれが初めてだ」とAltman氏は書いている。

 同氏が入力したプロンプトは「AIと悲しみについてのメタフィクション短編小説を書いてください」というものだ。

 AIは1172語の短編小説を生成した。主人公の「ミラ」が、大切な人である「カイ」を失い、数カ月にわたってAIチャットボットに語りかけるという物語で、語り手はAI自身という設定になっている。

 この作品に対し、説得力に欠けると批判する人がいる一方、「美しい」と称賛する人もいる。

 「このAIは悲しみを理解しているだけでなく、悲しみを表現する方法も分かっている。恐ろしくもあり、素晴らしいことでもある」と、あるXユーザーは投稿している。

Sam Altman氏 Sam Altman氏
提供:Stephen Shankland/CNET

※クリックすると拡大画像が見られます

AIに向けたさらなる野心

 今回の動きは、OpenAIが正確性や予測性の向上だけでなく、より広い分野に野心を持ち始めていることを示している。例えば2月、同社は新モデル「GPT-4.5」を発表し、以前のモデルより感情知能が高いと説明した。パターン認識、関連性の整理、創造的な洞察を生成する能力も向上しているという。

 Altman氏は、新しい創作向けAIモデルをリリースする時期や方法については未定とした。

 市場調査会社ABI Researchのアナリスト、Reece Hayden氏は、知的財産に関する懸念から、AI主導の文芸創作は実用性が限られると警鐘を鳴らしている。

 「この発表は、OpenAIが収益性のある製品の開発に苦戦している数学やプログラミングなど数値的分野を離れた、新たな分野の研究開発に基づくものかもしれない」とHayden氏は米CNETに語った。「しかし、知的財産をめぐるクリエイティブ業界の懸念がおそらく現実のものになりつつある中、同社は大きな反発を受ける可能性が高い」。

 Hayden氏は、OpenAIの主張がどのようなものであれ、このAIの出力は真に創造的とはいえないと述べた。

 「すべての生成AIのユースケースと同様、このAIも情報を集めて再構築しているだけなので、創造的とはいえない。既存の能力を新しい形で応用しただけだ」(同氏)

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

Amazonで現在開催中のセールを見る

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]