「反マスク」で苦境テスラ、意外にも「新たな顧客層」を開拓か--その中身は

Omar Gallaga (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年03月11日 17時10分

 オーナーであるイーロン・マスク氏の政治への関与でテスラが評判を落とす一方、 新たな顧客層を開拓しているとの見方もある。

 ほんの2年前まで、テスラは飛ぶ鳥を落とす勢いだった。値下げ戦略が功を奏し、史上最多の131万台のEVを売り上げた。だが現在、テスラ車の中古市場は「崩壊寸前」とさえ言われている。イーロン・マスク氏が米政府効率化省(DOGE)のトップに就任したことで、テスラ車のショールームでは抗議デモが発生。海外でも不買の動きが広まり、株価も半減している。

  1. 中古価格下落は「将来のテスラにプラス」
  2. 政治色を帯びたマスク氏が「新たな顧客層を開拓」も

 とはいえ、2024年はEV市場が失速すると言われたが、テスラの悪評は電気自動車全体の売上にはあまり影響しなかった。Motor Intelligenceによると、2024年にはハイブリッド車とEVを合わせて320万台が売れ、そのうちEVも高水準を保った。米国におけるEV補助金の不安定さやテスラへの悪評を考えても、EVは記録的に普及している。

中古価格下落は「将来のテスラにプラス」

 自動車情報サイトEdmundsのアイバン・ドルーリー氏は、「EVを取り巻く状況は激変している」とCNETのインタビューで語った。「テスラだけではなく、ここ数カ月でこれまでの10年分に匹敵するような変化が起きている」という。

 ドルーリー氏によると、テスラはEVのトップメーカーとして、税額控除に加えて購入者向けのインセンティブを提供できる強みがある。また中古車価格が下がることで、予算重視の新規顧客がEV購入に踏み切りやすくなり、長期的にはテスラにプラスになる可能性があるという。

 さらに、EVは新モデルや新規参入の増加で競争が激化し、航続距離も伸びている。加えてリース契約の条件も向上している。「2024年は新車EVのディーラー販売のうちリース契約が全体の4分の3近くを占めた」「航続距離が約400〜500kmに到達したことで実用性が増し、移行を考える人が増えた」とドルーリー氏は指摘した。

政治色を帯びたマスク氏が「新たな顧客層を開拓」も

 また、皮肉なことに、マスク氏がドナルド・トランプ政権と同調していることが、まったく別の新規顧客層を取り込むきっかけとなる可能性がある。

 EVを紹介するイベント「Electrify Expo」を全米8都市で主催しているBJ・バートウェル氏は、何千人もの潜在顧客を相手にするなかで「はっきりとした客層の変化」を感じている。

 これまでの来場者は、テクノロジーに詳しい層が大半を占めていたが、ここ1年ほどで「専門用語がわからない来場者」が増えたという。「EVが自分に合うかどうか確かめに来ているだけで、細かい仕組みはわかっていない」とバートウェル氏は述べた。

 同氏によると、環境面でのメリットが政治色を帯びたことで、EV全体のイメージが傷ついた面は否めない。しかし、環境に特に強い関心を持っていない“新しい層”がマスクの政治的スタンスに共感し、EVに前向きになっている流れもあるそうだ。

 「2024年の半ばあたりからこうした変化が目立ち始めた。レッドステート(共和党支持傾向の強い州)の1つであるオーランドではチケットの売上が3倍になった。『政府にあれこれ言われず、自分の意思で車を選びたい』という層がEVに興味を持ち始めている」と言う。

 ただ、マスク氏の政治観が原因でテスラを敬遠する人と、新たに購入を検討し始めた人。最終的にどちらが多くなるかは未知数だ。「どちらにも振れていて、今のところどれだけプラスが大きくなるかはわからない」とバートウェル氏は結んだ。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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